このページは、司法書士試験に出題された民法の物権「地役権」(第270条から第279条)をまとめたページになります。
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【民法物権】論点「地役権」ガチ解説
地役権の基本(意義・設定・当事者・存続期間)
第二百八十条
「地役権者」は、「設定行為で定めた目的」に従い、「他人の土地」を「自己の土地の便益」に供する権利を有する。ただし、「第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)」に違反しないものでなければならない。
条文構造
【原則】
地役権者は、当事者間の契約で定めた目的に従って、他人の土地を自分の土地のために利用することができる(内容決定の自由)。
【例外(制限)】
ただし、その利用目的や方法は、所有権の限界に関する規定(公の秩序に関するもの)に違反するものであってはならない。
また、あくまで「自己の土地の便益」のためでなければならず、個人的な利益のための利用は地役権としては認められない。
条文の文言
「地役権者」:
他人の土地を利用させてもらう権利を持つ人(要役地の権利者)のこと。
「設定行為で定めた目的」:
通行するため、水を引くため、日当たりや見晴らしを確保するためなど、当事者間の契約(設定行為)によって自由に決めた目的のこと。
「他人の土地」:
便益を提供する側、つまり利用される側の土地(承役地:しょうえきち)のこと。
「自己の土地の便益」:
便益を受ける側、つまり利用する側の土地(要役地:ようえきち)の使い勝手を良くすること。
特定の「人」の利益ではなく、あくまで「土地」自体の価値を高めるための便益でなければならないのがポイントです。
「第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)」:
民法の相隣関係などの規定のこと。いくら当事者間で自由に契約できるといっても、公の秩序(隣人同士の最低限のルールなど、強行規定)に反するような無法な使い方は認められないということです。
地役権は、要役地と承役地が隣接していない場合でも設定することができる
例 眺望地役権
土地A⇒土地B⇒土地Cの順で、離れていた場合で、土地が「素晴らしい景色を見渡せること」という便益を自分の土地(要役地A)に確保するために、他人の土地(承役地C)に対して「一定の高さ以上の建物を建てないこと」などを約束させる地役権です。
地役権のみを目的とする抵当権設定の禁止(282Ⅱ付従性)
*地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。(369)
地役権について存続期間を定めることができる。
存続期間について規定がないことから、当然に設定契約で定めることができる。
ただし、存続期間は地役権の登記事項とされていないので第三者に対抗できない。
地役権は要役地の所有者のみならず、要役地の地上権者や永小作人、賃借人も行使できる。
地役権は、所有者である地主だけでなく、地上権者であっても設定できるが、自身について重複して地役権は設定できない
第二百六十六条 第二百七十四条から第二百七十六条までの規定は、地上権者が土地の所有者に定期の地代を支払わなければならない場合について準用する。
2 地代については、前項に規定するもののほか、その性質に反しない限り、賃貸借に関する規定を準用する。
条文構造
【大原則】
地上権は 本来「無償」でも成立する権利であるが、特約で「定期の地代」を支払う約束をした場合は、この条文が発動する。
【適用ルール①:永小作権の準用】
地代を支払う場合、まずは同じ物権である「永小作権」のルールが強力に適用される。(例:不可抗力による減額不可、2年以上の滞納で地主から消滅請求される)
【適用ルール②:賃貸借の準用】
上記①のルールでカバーしきれない細かいルール(支払いの時期や、事情変更による地代増減額請求など)については、性質に反しない範囲で、一般的な「賃貸借」のルールを借りてきて適用する。
地代を払う旨の特約は、それを第三者(新しい地主など)に主張(対抗)するためには、地代に関する「登記」が必要です。
地役権の基本(意義・設定・当事者・存続期間):過去問厳選コレクション
地役権の設定要件(要役地と承役地の隣接の要否)
地役権は、要役地と承役地が隣接していない場合には設定することができない。
解答表示
地役権は、要役地の便益になるのであれば、離れた土地間(例:眺望地役権など)でも設定可能です。
地上権と地役権の重複設定の可否
Aが「電線路及びこれを支持するための鉄塔を施設し、保持すること」を目的として、Bからその所有する甲土地(1筆の土地)について地上権の設定登記を受けていた。当該地上権が甲土地の全部を対象として設定されたものである場合には、Aは、「電線路(支持物を除く。)を施設、保持し、その架設・保守のために土地に立ち入ること」を目的としてBから別途、地役権の設定を受けることはできない。
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すでに甲土地の「全部」を対象に包括的な地上権を取得しているAにとって、その土地に立ち入る目的の地役権は地上権の内容に包含されており、重ねて設定する実益がないため許されません。
地上権者による第三者への地役権設定
Aが「電線路及びこれを支持するための鉄塔を施設し、保持すること」を目的として、Bからその所有する甲土地、一筆の土地の全部について地上権の設定登記を受けていた。当該地上権が甲土地の全部を対象として設定されたものである場合には、Aは、第三者Eのために「電線路(支持物を除く。)を施設、保持し、その架設・保守のために土地に立ち入ること」を目的とする地役権を設定することができる。
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ひっかけポイント: 「地役権は、土地の所有者(B)しか設定できず、地上権者(A)は、第三者のために地役権を設定できないのではないか?」と勘違いさせる点です。
地上権者(A)は土地を全面的に使用する権限を持っているため、その権限の範囲内であれば、第三者(E)に対して有効に地役権を設定(承役地と)することができます。
承役地の一部に対する地役権設定
Aが「電線路及びこれを支持するための鉄塔を施設し、保持すること」を目的として、Bからその所有する甲土地、一筆の土地の全部について地上権の設定登記を受けていた。当該地上権が甲土地の全部を対象として設定されたものである場合には、Bは、甲土地のその余りの部分について、通行地役権を設定することができる。
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ひっかけポイント: 「要役地」は一筆の土地全部でなければならないというルールと、「承役地」のルールを混同させる点です。
便益を提供する側である「承役地」は、一筆の土地の「一部(その余りの部分)」であっても設定可能です。
また、土地所有者Bは地上権者Aの使用を妨げない範囲で設定できます。
地役権のみを目的とする抵当権
地役権は、その権利のみを目的とする抵当権を設定することができない。
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ひっかけポイント: 「地上権」や「永小作権」が単独で抵当権の目的になることから、同じ用益物権である地役権も抵当権の目的にできると思わせる点です。
地役権は要役地と運命を共にする性質(付従性)があるため、単独で抵当権の目的にしたり分離譲渡したりすることは絶対にできません。
地役権の存続期間
地役権について存続期間を定めることができる。
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存続期間について規定がないことから、当然に設定契約で定めることができる。
ただし、存続期間は地役権の登記事項とされていないので第三者に対抗できない。
地役権の有償・無償の自由
地役権は、無償のものとして設定することができない。
解答表示
ひっかけポイント: 永小作権(小作料が必須要件)のルールと混同させる点です。
地役権においては、地代は成立の要素ではないため、有償でも無償でも自由に設定することができます。
地役権の行使権者(地上権者、賃借人、永小作人)
要役地の地上権者又は賃借人は、いずれも地役権を行使することができる。
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地役権を行使できるのは、要役地の所有者だけでなく、その土地を使用収益する正当な権利を持つ地上権者や賃借人、永小作人も、要役地の便益のために地役権を行使できます。
要役地の地上権者による地役権の行使
Aが所有する甲土地を承役地とし、Bが所有する乙土地を要役地とする通行地役権が設定され、その登記がされた後、Cが乙土地に地上権の設定を受けた場合には、Cは、当該通行地役権を行使することができない。
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事例問題の形をしていますが、本質は「要役地(乙土地)の地上権者(C)は地役権を使えるか」という前の問題と同じ。
Cは乙土地(要役地)を使用する権利を得たため、Bが設定した通行地役権を当然に行使できます。
地役権の性質①「付従性」と「随伴性」
第二百八十一条
「地役権」は、「要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)」の「所有権に従たるもの」として、その「所有権とともに移転」し、又は「要役地について存する他の権利の目的」となるものとする。ただし、「設定行為に別段の定め」があるときは、この限りでない。
2 「地役権」は、「要役地から分離して譲り渡し」、又は「他の権利の目的」とすることができない。
主役はあくまで土地(要役地)であり、地役権はそのオマケであるという関係性を示しています。
地役権が特定の「人」ではなく「土地(要役地)」の使い勝手を良くするための権利であることから、地役権は要役地と運命を共にすること(付従性・随伴性)を定めた条文です。
条文構造
【原則(1項本文):随伴性】
地役権は要役地の所有権の「オマケ」であるため、要役地が売却されれば一緒に移転し、要役地に抵当権が設定されれば一緒に巻き込まれる。
【例外(1項ただし書):特約の有効性】
ただし、当事者間で「要役地が売却されても、地役権は一緒に移転させない(消滅させる)」といった特約を結ぶことは自由である。
【絶対の禁止事項(2項):分離処分の禁止】
地役権だけを要役地から切り離して別の人に売ったり、地役権だけを担保に入れたりすることは、特約があっても絶対にできない(強行規定)。
条文の文言
「所有権に従たるもの」:
要役地の所有権が「主(メイン)」であり、地役権はそれにくっついている「従(オマケ)」の権利であるということ。
「所有権とともに移転」:
主役である要役地が売却されれば、オマケである地役権も自動的に新しい所有者へと引き継がれる性質(随伴性)のこと。
「要役地について存する他の権利の目的」:
例えば、要役地に抵当権が設定されれば、その効力は当然にオマケである地役権にも及ぶということ。
もし要役地が競売にかけられたら、落札者は地役権ごと手に入れます。
「設定行為に別段の定め」:
当事者間の特約のこと。地役権の移転については、当事者同士の合意で「土地を売っても地役権は移転しない、つまり土地を売ったら地役権は消滅する」と決めることが認められています(任意規定)。
「要役地から分離して譲り渡し」:
地役権というオマケの権利だけを切り離して、第三者に売却すること。これは不可能です。
「他の権利の目的」:
地役権だけを担保にしてお金を借りる(抵当権に入れる)ようなこと。これも不可能です。
国民的アニメのストーリ―風
土地と一緒に引っ越す通行ルート(のび太の家の売却)
要件:
のび太の家(要役地)の出入りのために、スネ夫の庭(承役地)の一部を通行させてもらう地役権が設定されているとします。
ある日、のび太の家族が引っ越すことになり、のび太の家と土地を出来杉くんに売却しました。
効果:
原則として、スネ夫の庭を通る権利(地役権)も、家や土地(要役地の所有権)にくっついて、自動的に出来杉くんに移転します。
出来杉くんは、わざわざスネ夫と新しい契約を結ばなくても、スネ夫の庭を通行できます。
例外(注意!):
のび太とスネ夫が最初に契約したとき、「のび太の家族が住んでいる間だけ通してあげる。
他人に売ったら通行権はナシね」という特約(別段の定め)をしていれば、出来杉くんに通行権は移転しません。
しかし、のび太が「家は出来杉くんに売るけど、スネ夫の庭を通行できる権利(地役権)だけは便利だから、ジャイアンに売ってあげよう!」と考えることは絶対に許されません。
通行権だけを切り売りすること(分離処分)は、法律で固く禁じられているからです。
要役地の所有権と共に地役権が移転した場合、要役地の「所有権移転登記」がされていれば、地役権自体の移転登記がなくても、地役権の移転を第三者に対抗することができる。(民法第281条1項本文)
登記無くして対抗できるとしても何か不都合はないのか?
承役地の登記簿で「地役権の存在と、要役地がどこか」が分かる
要役地の登記簿で「現在の所有者(=現在の地役権者)」が分かる
つまり、承役地を買おうとする第三者は、登記簿を見れば「この土地には地役権の負担があり、その権利は『あの要役地』に紐付いている」ということが一目で分かるので、不都合は生じない。
要役地の共有持分に抵当権が設定され実行された場合、地役権の付従性により抵当権の効力は当然に地役権にも及ぶため、買受人は承役地所有者の承諾なくして地役権を行使できる。(民法第281条1項本文)
通行地役権は、設定行為(当事者の合意)により、要役地が譲渡されたときは地役権が消滅する(共に移転しない)旨の別段の定めをすることができる。
一方で、囲繞地通行権は所有権の内容として法定されているため、消滅する旨の合意は物権法定主義に反し、することができない。(民法第281条1項ただし書、第175条、第210条1項)
地役権は要役地所有権の従たるものとして当然に共に移転するため、要役地の買受人が地役権を取得するにあたり、売買契約において「地役権も移転する」という別段の定めをする必要はない。(民法第281条1項本文)
地役権の性質①「付従性」と「随伴性」:過去問厳選コレクション
地役権移転の対抗要件(要役地の所有権移転登記)
要役地の所有権とともに地役権が移転した場合、要役地の所有権の移転の登記がされていても、地役権の移転の登記をしていなければ、地役権の移転を受けた者は、これを第三者に対抗することができない。
解答表示
判例により、要役地の「所有権移転登記」さえあれば、地役権の移転登記がなくても、地役権の移転を第三者に対抗できるとされています。
登記無くして対抗できるとしても何か不都合はないのか?
不都合が生じない理由
承役地(使わせている側の土地)には、「地役権の設定登記」自体はすでに存在しています。
省略されているのは、要役地が売買されたことに伴う地役権の「移転登記(名義変更)」だけです。
承役地の登記簿で「地役権の存在と、要役地がどこか」が分かる
要役地の登記簿で「現在の所有者(=現在の地役権者)」が分かる
つまり、承役地を買おうとする第三者は、登記簿を見れば「この土地には地役権の負担があり、その権利は『あの要役地』に紐付いている」ということが一目で分かります。
要役地の共有持分に対する抵当権設定と地役権への効力(付従性・随伴性)
A及びBは、甲土地を共有しているが、隣接する乙土地の所有者Cとの間に、甲土地の利用のために乙土地を通行する旨の地役権設定契約を締結した。AがDに対する債務を担保するために、甲土地における自己の持分に抵当権を設定した場合において、その抵当権が実行されDが甲土地のAの持分を競落したときは、DはCの承諾なくして、乙土地の地役権を行使できない。
解答表示
地役権の付従性により、要役地(の持分)の上に抵当権を設定した場合、その効力は当然に地役権に及ぶため、競落人DはCの承諾なくして当然に地役権を行使できます。
通行地役権と囲繞地通行権における随伴性排除特約の可否
甲土地を所有するAは、Bが所有する乙土地を通行する権利を有している。AとBが、甲土地の所有権を他人に譲渡した場合には、この通行権が消滅する旨の合意をすることができるかは、この通行権が通行地役権であるか相隣関係に基づく囲繞地通行権であるかによって結論が異なる。
解答表示
通行地役権は特約で消滅させる(共に移転しない)合意が可能ですが、囲繞地通行権は物権法定主義に反するため消滅の合意はできず、結論は異なります。
通行地役権と囲繞地通行権の分離譲渡の可否(付従性)
甲土地を所有するAは、Bが所有する乙土地を通行する権利を有している。Aがこの通行権を甲土地の所有権から分離して譲渡することができるかは、この通行権が通行地役権であるか相隣関係に基づく囲繞地通行権であるかによって結論が異なる。
解答表示
通行地役権も囲繞地通行権も、どちらも土地所有権から分離して譲渡することは絶対にできないため、結論は異なりません(同じです)。
要役地譲渡に伴う地役権の当然移転(随伴性)
甲土地を所有しているAがB所有の乙土地上に通行地役権の設定を受けた。その後、CがAから甲土地を買い受けた場合において、Cが地役権を取得するためには、甲土地の売買契約において別段の定めをする必要はない。
解答表示
随伴性により、要役地が譲渡されれば地役権も原則として「当然に」一緒に移転するため、移転させるための特約は不要です。
地役権の性質②「不可分性」
第二百八十二条
「土地の共有者の一人」は、「その持分につき」、「その土地のために又はその土地について存する地役権」を「消滅させることができない」。
2 「土地の分割」又はその「一部の譲渡」の場合には、地役権は、「その各部のために又はその各部について存する」。ただし、地役権が「その性質により土地の一部のみに関する」ときは、この限りでない。
地役権は「特定の人のため」ではなく「土地(要役地)という物理的なまとまり全体のため」に存在し、あるいは「土地(承役地)全体」に負担をかけるものであるため、切り売りしたり一部だけを消滅させたりすることはできないという「不可分性」を定めた条文です。
条文構造
【原則①(1項):共有の場合の不可分性】
要役地や承役地が共有されている場合、共有者の一人が勝手に「自分の持分(割合)だけ地役権を消滅させる」ことはできない。
地役権は全員について存続するか、全員について消滅するかのどちらかである。
【原則②(2項本文):分割・一部譲渡の場合の不可分性】
土地が分割されたり一部が売却されたりしても、地役権は消滅せず、分割された「すべての土地」のために、あるいは「すべての土地」の負担としてそのまま存続する。
【例外(2項ただし書):性質上の制限】
ただし、土地が分割された結果、地役権の利用目的(特定の場所の通行など)から見て、明らかに無関係となった部分の土地については、地役権は消滅する(存続しない)。
条文の文言
「土地の分割」・「一部の譲渡」:1つの土地を2つ以上に切り分ける(分筆する)ことや、その切り分けた一部を他人に売却すること。
「その各部のために又はその各部について存する」:土地が複数に分かれても、地役権は分割されたそれぞれの土地のために存続するし、それぞれの土地に対する負担として残り続けるということ。
「その性質により土地の一部のみに関する」:例えば「庭の右端の幅1メートルだけを通行する」という地役権において、土地が左右に分割された結果、右側の土地にしか物理的に関係がなくなったような場合のこと。
国民的アニメのストーリ―風
空き地の通行ルート(ジャイアンとスネ夫の共有地)
要件①(承役地が共有のケース):
のび太の家(要役地)から大通りに出るために、ジャイアンとスネ夫がお金を出し合って買った共有の空き地(承役地)を通行する地役権があるとします。
ある日、ジャイアンがのび太と喧嘩をして、「俺の持分(半分)については、のび太が通る権利を消滅させてやる!」と言い出しました。
効果①:
しかし、地役権は「空き地全体」にかかっているため、ジャイアン一人の一存で自分の持分だけを消滅させることはできません。
のび太はこれまで通り空き地を通行できます。
要件②(要役地分割のケース):
のび太の家の敷地(要役地)が広すぎたので、土地を半分に分割し、半分を出来杉くんに売却しました。
効果②:
この場合、要役地が分かれたからといって地役権が消滅するわけではありません。
のび太も出来杉くんも、それぞれの土地のために、ジャイアンとスネ夫の空き地を通行する権利を持ち続けます。
例外(注意!):
もし、ジャイアンとスネ夫の空き地(承役地)が分割され、ジャイアンの土地とスネ夫の土地に真っ二つに分かれたとします。
のび太の「通行ルート」がスネ夫の土地の側にしかなく、ジャイアンの土地には全くかすっていない場合。
このときは例外として、「物理的に全く関係なくなった」ジャイアンの土地についてのみ、地役権の負担は消滅します。
共有者の1人が自己の持分について地役権設定契約を解除する合意をしても、その合意は効力を生じない。(民法第282条1項)
要役地の共有者の1人が、自己の持分を承役地の所有者に譲渡した場合であっても、その持分についての地役権のみが混同によって消滅することはない。(民法第282条1項)
土地(要役地)の共有者の1人が時効によって地役権を取得したときは、他の共有者もこれを取得する(取得の不可分性)(民法第284条1項)
要役地が数人の共有に属する場合に、その1人のために地役権の消滅時効の更新事由があるときは、その更新は要役地の他の共有者全員に及ぶ(消滅時効更新の不可分性)。したがって、1人についてのみ時効の更新事由が生じた場合であっても、全員のために時効が更新し、地役権が存続する。(民法第292条)
共有要役地における承役地所有者への地役権設定登記請求は「保存行為」に該当するため、各共有者は単独で、承役地の所有者に対して地役権の設定登記手続を請求することができる。(民法第252条5項)
地役権の「権利内容」に関する可分性(民法第293条)
地役権者がその権利の一部に関してのみ地役権を行使していた(一部を行使しない)場合、その行使していない部分のみが時効によって消滅する。
地役権の性質②「不可分性」:過去問厳選コレクション
地役権の不可分性(共有者の一部による消滅の可否)
A及びBは、甲土地を共有しているが、隣接する乙土地の所有者Cとの間に、甲土地の利用のために乙土地を通行する旨の地役権設定契約を締結した。AがCとの間で、Aの持分に対する自己の持分について地役権設定契約を解除する旨合意をしても、その合意は、効力を生じない。
解答表示
地役権には消滅の不可分性(民法第282条1項)があるため、要役地の共有者の一人は、自己の持分についてだけ地役権を消滅させることはできません。
地役権の不可分性と混同(要役地持分の承役地所有者への譲渡)
A及びBは、甲土地を共有しているが、隣接する乙土地の所有者Cとの間に、甲土地の利用のために乙土地を通行する旨の地役権設定契約を締結した。Aが甲土地に対する自己の持分をCに譲渡したときは、Cの持分についての通行地役権は、混同により消滅する。
解答表示
消滅の不可分性が働き、他の共有者Bの権利を守るため、Cに譲渡された持分についてのみ地役権が混同で消滅することはありません。
地役権の取得時効の不可分性
甲地の共有者のうちの1名が時効により乙地の上に通行地役権を取得した場合には、甲地の他の共有者もまたこれを取得する。
解答表示
取得の不可分性(民法第284条1項)により、共有者の一人が時効によって地役権を取得したときは、他の共有者も当然に取得します。
地役権の消滅時効の更新の不可分性
要役地が数人の共有にかかわる場合、共有者の一人が地役権を行使して消滅時効を更新したときは、他の共有者の時効も更新する。
解答表示
一人のための消滅時効の更新事由は、他の共有者全員に及びます(民法第292条)。
共有要役地における承役地所有者への地役権設定登記請求(保存行為)
要役地が数人の共有に属する場合、各共有者は、単独で、承役地の所有者に対して地役権の設定の登記の手続を請求することができる。
解答表示
ひっかけポイント: 登記請求は共有者全員で行わなければならなかったり(変更行為)、持分の過半数であったり(管理行為)と思わせる点
地役権の設定登記手続きは、共有物(要役地)の現状を維持する「保存行為」に該当するため、各共有者が単独で行うことができます。
地役権の一部不行使による時効消滅
地役権者がその権利の一部に関して地役権を行使すれば、権利を行使していない部分についても時効により消滅しない。
解答表示
民法第293条により、権利の一部を行使しないときは、その「行使しない部分のみ」が時効によって消滅します。
地役権の「時効取得」と「時効消滅」
第二百八十三条 地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
他人の土地の所有者(承役地の所有者)にとっては大きな負担となるため、誰の目から見ても権利を行使していることが明らかな場合に限定して、例外的に時効取得を認めることにした条文です。
条文の文言
「外形上認識することができる」:
客観的に見て、地役権の行使が行われていることが一目でわかる状態のこと。
通行地役権の場合、判例は「時効取得を主張する者(要役地の所有者)自身によって、物理的な通路が開設されたこと」を要求しています。
単に人が歩いてできた獣道のようなものでは足りず、砂利を敷いたり舗装したりといった客観的な状態が必要です。
「時効によって取得することができる」:
一定期間(善意無過失なら10年、悪意・有過失なら20年)その状態が平穏かつ公然と続けば、当事者間の契約がなくても、法律上当然に地役権が成立すること。
国民的アニメのストーリ―風
のび太の家から大通りに出るためには、どうしてもスネ夫の家の広大な庭の端っこを通るのが一番の近道でした。
のび太はスネ夫に無断で、スネ夫の庭の端の草を刈り、砂利を敷き詰めて立派な通路を作ってしまいました(要役地所有者による通路の開設=外形上認識できる)。
そして、その道をのび太は毎日、20年間も通学や通勤のために使い続けました(継続的な行使)。
スネ夫も「まあ、端っこだからいいか」と文句を言わずに放置していました。
このとき、のび太はスネ夫と「土地を通らせて」という契約を結んでいなくても、20年間という時の経過によって「通行地役権」を時効取得し、これからも堂々とその道を通ることができるようになります。
第二百八十四条
「土地の共有者の一人が時効によって地役権を取得したとき」は、「他の共有者も、これを取得する」。
2 「共有者に対する時効の更新」は、「地役権を行使する各共有者」に対してしなければ、その効力を生じない。
3 地役権を行使する共有者が数人ある場合には、「その一人について時効の完成猶予の事由」があっても、「時効は、各共有者のために進行する」。
複数人で土地を共有している場合、地役権という権利は「土地全体」のために存在するため、共有者の一人だけが地役権を持ち、他の人は持たないといったバラバラな状態を認めません。
全体として**「地役権を取得・存続させやすい方向(共有者にとって有利な方向)」**にルールが作られているのが最大のポイントです
条文構造
地役権の人に関する不可分性(「地役権を成立させやすい方向(=要役地の共有者に有利な方向)」にルールを定めている)
【原則①:取得の不可分性(1項)】
1人が取得すれば = 全員が取得する。(連帯して権利を得る)
【原則②:取得時効更新(リセット)の不可分性(2項)】
全員に対してリセットしなければ = リセットの効果は生じない。
(他人の土地を使われている側にとっては、全員を相手にする必要があり厳しい)
【原則③:取得時効完成猶予(ストップ)の不可分性(3項)】
1人の時効がストップする事情があっても = 他の人の時効はストップせずに進む。
(他の人の時効がゴールに到達すれば、原則①により結局全員が取得できるため、権利取得が妨げられない)
*ちなみに「地役権の消滅時効」のストップ・リセットも、「地役権を消滅させない方向(=要役地の共有者に有利な方向)」にルールが働く(292条)
⇒地役権の人に関する不可分性は、「常に地役権を維持・取得しやすい方向(要役地の共有者に有利な方向)」に働く
国民的アニメのストーリ―風
ジャイアンとスネ夫は、2人でお金を出し合って空き地(要役地)を共有しています。
その空き地から大通りに出るため、ジャイアンは隣ののび太の土地(承役地)に勝手に通路を作り、毎日そこを通って20年間が経過しました。
スネ夫はその間、一度もその通路を通っていませんでした。
【1項の場面:取得】
ジャイアンが20年通い続けて「通行地役権」を時効取得すると、一度も通っていなかったスネ夫も、ちゃっかり一緒に地役権を取得します。土地は一体だからです。
【2項の場面:時効の更新(リセット)】
もし、のび太が「俺の土地を通るな!」と裁判を起こして時効をリセット(更新)したい場合。
ジャイアンとスネ夫の両方が通路を使っていたなら、のび太は「ジャイアンとスネ夫の2人全員」に対して裁判を起こさないと、時効はリセットされません。
ジャイアンだけに裁判を起こしても、スネ夫の分の時効カウントダウンが進んでしまい、結局スネ夫が時効完成した時点でジャイアンも一緒に権利を取得してしまうからです。
第二百八十九条
「承役地の占有者」が「取得時効に必要な要件を具備する占有」をしたときは、「地役権は、これによって消滅する」。
第二百九十条
「前条の規定による地役権の消滅時効」は、「地役権者がその権利を行使する」ことによって「中断する」。
他人の土地(承役地)を長期間占有した第三者が、その土地の所有権を時効取得した場合、「もともと設定されていた地役権はどうなるのか?」という問題を解決する条文です。
時効取得は、元の権利を引き継ぐのではなく、まっさらな新しい権利を手に入れる「原始取得」という性質を持ちます。そのため、原則として地役権などの負担はすべて消え去ります(289条)。しかし、地役権者が堂々と権利を行使し続けていたのであれば、「地役権付きの土地であることを前提として占有していた」と評価できるため、地役権は消滅せずに存続することになります(290条)。
第二百九十一条 第百六十六条第二項に規定する消滅時効の期間は、継続的でなく行使される地役権については最後の行使の時から起算し、継続的に行使される地役権についてはその行使を妨げる事実が生じた時から起算する。
第二百九十二条 要役地が数人の共有に属する場合において、その一人のために時効の完成猶予又は更新があるときは、その完成猶予又は更新は、他の共有者のためにも、その効力を生ずる。
第二百九十三条 地役権者がその権利の一部を行使しないときは、その部分のみが時効によって消滅する。
地役権の「時効取得」と「時効消滅」:過去問厳選コレクション
承役地所有者の義務と工作物の利用
対価(地代)の要否
地役権: 不要(無償でも有償でも可)
地上権: 不要(無償でも有償でも可)
賃借権: 絶対必要(無償なら使用借権になる)
永小作権: 絶対必要(小作料の支払いが要素)
権利の譲渡・転貸の自由
地役権: 要役地と分離しての譲渡は絶対不可(付従性)
賃借権: 原則不可(賃貸人の承諾が必要)
永小作権: 原則自由(ただし、設定行為で禁止特約が可能)
地上権: 絶対自由(地主の承諾不要。禁止特約も無効)
存続期間の制限
永小作権: 20年以上50年以下(50年より長く設定しても強制的に50年に短縮される。更新は可能だが更新時から50年以内)
賃借権: 最長50年(※借地借家法が適用される建物の所有目的などを除く、民法上の原則)
地上権: 上限なし(永久無限の地上権も設定可能)
地役権:制限する条文が存在しません。
第二百八十五条 「用水地役権」の「承役地」(地役権者以外の者の土地であって、「要役地の便益」に供されるものをいう。以下同じ。)において、水が要役地及び承役地の「需要に比して不足」するときは、「その各土地の需要に応じて」、「まずこれを生活用に供し」、「その残余を他の用途に供する」ものとする。ただし、「設定行為に別段の定め」があるときは、この限りでない。
2 「同一の承役地について数個の用水地役権」を設定したときは、「後の地役権者」は、「前の地役権者の水の使用を妨げてはならない」。
水は人間の生存にとって不可欠であるため、水不足に陥った場合の公平な配分ルールと優先順位(生活用水優先)、および複数の人が同じ水源を利用する場合のルール(早い者勝ち)を定めた条文です。
条文構造
【原則①:生活用水の優先(1項本文)】
水不足になった場合、土地の所有者(承役地)も権利者(要役地)も関係なく、お互いの需要に応じて水を分け合う。その際、「生活用水(飲み水など)」を絶対的に優先し、余った水を「他の用途(農業など)」に回さなければならない。
【例外①:特約による変更(1項ただし書)】
ただし、当事者同士で「生活用水より農業用水を優先する」などの特別な契約(別段の定め)を結んでいれば、そちらのルールが優先される。
【原則②:早い者勝ち(2項)】
一つの水源に対して複数の用水地役権が設定されている場合、先に権利を得た人(前の地役権者)が絶対的に優先される。後から権利を得た人(後の地役権者)は、前の人の水利用を邪魔してはならない。
第二百八十六条
「設定行為」又は「設定後の契約」により、「承役地の所有者」が「自己の費用で」「地役権の行使のために」「工作物を設け、又はその修繕をする義務」を負担したときは、承役地の所有者の「特定承継人」も、その義務を負担する。
(承役地の所有者の義務の免除)
第二百八十七条
承役地の所有者は、「いつでも」、地役権に必要な土地の部分の「所有権を放棄して地役権者に移転」し、これにより「前条の義務を免れることができる」。
土地を使わせている側が自腹で設備の維持管理をする特約を結んだ場合のルール。土地の新しい持ち主もその重い義務を引き継ぐが(286条)、耐えられない場合はその土地を相手にあげてしまうことで逃げ道が用意されている(287条)。
条文構造
【原則(286条):義務の引き継ぎ】
承役地の所有者が契約で「工作物の設置や修繕の義務」を負担した場合、その土地を買った新しい持ち主(特定承継人)も、その義務を引き継がなければならない。
【例外(287条):義務からの解放(委棄:いき)】
ただし、承役地の所有者は、地役権に使われている部分の「土地の所有権」を地役権者に押し付ける(放棄して移転する)ことで、いつでもその修繕義務等から逃れることができる。
第二百八十八条 「承役地の所有者」は、「地役権の行使を妨げない範囲内」において、その行使のために「承役地の上に設けられた工作物」を「使用することができる」。
2 前項の場合には、承役地の所有者は、「その利益を受ける割合に応じて」、「工作物の設置及び保存の費用」を「分担しなければならない」。
地役権者(他人の土地を利用させてもらう側)が自費で設置した設備について、土地の持ち主(使わせてあげている側)も相乗りして使っていいよ、という無駄を省くためのルールです。
ただし、便乗して使うからにはタダ乗りは許されず、恩恵を受ける分だけ費用も払いなさいという公平の観点からの規定でもあります。
条文構造
【原則(1項):工作物の相乗り使用】
承役地の所有者は、地役権者の邪魔にならない範囲であれば、地役権者が設置した工作物(道や水道管など)を自由に利用することができる。
【条件・義務(2項):費用の分担】
ただし、利用する場合はタダ乗りは許されず、自分が受ける利益の割合(使う量や頻度)に応じて、設置や維持にかかる費用を地役権者と分担しなければならない。
地役権に基づく「物権的請求権」
「物権的請求権」
①返還請求権(奪われた物を取り返す)
②妨害排除請求権(邪魔をどかす)
③妨害予防請求権(邪魔されそうな危険を防ぐ)
通行地役権と囲繞地通行権における妨害排除請求
通行地役権(当事者の契約による物権)も、相隣関係に基づく囲繞地通行権(所有権の内容として法律上当然に認められる権利)も、どちらも「物権」として、通行が妨害された場合には、どちらであっても物権的請求権としての「妨害排除請求権」を行使することができます(両者で結論は異なりません)。
過去問演習:
甲土地を所有するAは、Bが所有する乙土地を通行する権利を有している。Bが乙土地の通行を妨害する場合に、Aが、その妨害の排除を請求することができるか否かは、この通行権が通行地役権であるか相隣関係に基づく囲繞地通行権であるかによって結論が異なる。
解答表示
どちらも「物権」であるため、妨害された場合には物権的請求権としての妨害排除請求権を行使することができ、結論は異なりません
地役権に基づく物権的請求権の範囲(返還請求権の否定)
地役権は、他人の土地(承役地)を便益のために利用する権利であり、承役地を「排他的に占有する」権利ではありません。そのため、権利が侵害された場合、地役権に基づいて「妨害排除請求権」や「妨害予防請求権」を行使することはできますが、土地を自分に引き渡せという「返還請求権」を行使することはできません。
⇒承役地を不法占有している第三者が相手であっても、地役権者が自ら「地役権に基づいて」土地の返還を請求することはできません。
ちなみに
質権:質権自体に基づく返還請求権がない
理由: 質権は抵当権と異なり、債権の担保として目的物を「占有」する物権
抵当権:原則として返還請求権・妨害排除請求権がない(例外あり)
理由: 抵当権は、目的物を使用・収益せず、占有を設定者の手元に残したまま交換価値のみを把握する「非占有権」
【超重要・例外】: ただし、第三者の不法占有などによって抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ、優先弁済権の行使が困難となるような状態があるときに限って、例外的に抵当権に基づく妨害排除請求や(所有者のための)返還請求が認められます
過去問演習:
地役権者は、承役地を不法占有する第三者に対し、地役権に基づく返還請求権を行使することができない。
解答表示
地役権は承役地を利用する権利であって「排他的に占有する」権利ではないため、妨害排除請求や妨害予防請求はできても、土地の「返還請求権」は有していません