【司法書士試験】物権「抵当権」(第369条から第398条)

このページは、司法書士試験に出題された民法の物権「抵当権」(第369条から第398条)をまとめたページになります。

司法書士試験で必要な全単元は、コチラのページにまとめてあります。
>>【司法書士試験】全科目攻略・論点まとめページ(全論点リンク集)

ディスプレイ

【民法物権】論点「抵当権」ガチ解説

抵当権の総則

第十章 抵当権
第一節 総則(第三百六十九条―第三百七十二条)
第二節 抵当権の効力(第三百七十三条―第三百九十五条)
第三節 抵当権の消滅(第三百九十六条―第三百九十八条)
第四節 根抵当(第三百九十八条の二―第三百九十八条の二十二)

抵当権の総則(第三百六十九条―第三百七十二条)

(抵当権の内容)
第三百六十九条 
「抵当権者」は、「債務者又は第三者」が「占有を移転しないで」「債務の担保に供した不動産」について、「他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利」を有する。
2 「地上権及び永小作権」も、「抵当権の目的とすることができる」。この場合においては、この章の規定を準用する。

準用読み替え:
抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した「地上権及び永小作権」について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

【抵当権のターゲット(目的物)】
不動産というモノ(所有権)だけでなく、「地上権」や「永小作権」といった特定の「権利」も、例外的に抵当権のターゲットとすることができる。

【抵当権の目的物の滅失した場合】
抵当権の目的である建物が滅失すると、抵当権は消滅します。
その後同じ場所に新しい建物が再築されても、新しい建物に抵当権は復活しません。
*土地は滅失しないので問題とならない

【抵当権の性質】
非占有担保:担保に入れても引き渡す必要はなく、「占有を移転せず」に債務者がそのまま使用し続けることができる
留置的抗力なし:
約定担保物権:当事者の合意だけで成立し、物の引渡しや金銭の授受は不要
対抗要件:「登記」177条により登記の先後

【抵当権の被担保債権の種類】
金銭債権
金銭債権以外の債権(例:物の引渡し請求権)
将来発生する債権(例:保証人の将来の求償権)

であっても、抵当権で担保することが可能

【抵当権に基づく物権的請求権】
原則として抵当権者は使用収益権を持たないため、口出しできません。
しかし、例外的に、第三者の不法占有によって「不動産の交換価値の実現が妨げられ、優先弁済請求権の行使が困難となるような状態」になった場合には、これを抵当権侵害とすることができるとし、この抵当権侵害があるときは、抵当権の効力として、抵当権者は、抵当不動産所有者に対し、そうした侵害を是正し抵当不動産を維持・保存するよう求める請求権(抵当不動産の維持保存請求権)を有し、この請求権を保全するために、抵当権者は、不法占有者に対する所有者の妨害排除請求権を代位行使することができる(建物の明渡しを求めることができる)

【物的請求権によって、抵当権者自身への明渡しも可能か】
抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり、抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には、抵当権者は、占有者に対し、直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができる

【抵当権の「侵害」とは?】
抵当権侵害に対しては、不法行為に基づく損害賠償請求をすることができるが、この場合「損害」(709)は、価値減少だけでは足りず、被担保債権の弁済を受けられなくなることが必要である。
例:不法占有に対して「賃料相当額の損害」は認めらない
例:山林の立木が通常の用法を超えて伐採された場合、抵当権者はその伐採や搬出の禁止を請求できる

【抵当権実行前の、損害賠償請求の可否】
抵当権が侵害されたことによる損害賠償は、抵当権を実行して損害額が確定する「前」であっても請求できます。
損害額は専門家の評価で算定できるため、わざわざ競売が終わって額が確定するまで待つ必要もない。

【残存価値が十分な場合の、抵当権の「侵害」】
目的物が損傷されても、残りの価値で債権全額をカバーできるのであれば、抵当権者は損害賠償を請求できません。
抵当権者には実質的な「損害」がないため。

【担保損傷による抵当権の実行】 民法137②
債務者自身が担保を損傷させた場合、期限の利益を喪失するため、抵当権者は弁済期前でもただちに抵当権を実行できます。

【第三者異議の訴えと抵当権者】民事執行法38Ⅰ、民執59Ⅰ、民執87Ⅰ④
一般債権者が抵当不動産を差し押さえても、抵当権者は「第三者異議の訴え」によってその強制執行(競売)を止めることはできません。
理由:他人が起こした強制執行によって「自分の権利が不当に奪われてしまう第三者(例:競売にかけられた家の本当の所有者など)」は、第三者異議の訴えを起こして執行を止めることができます(民事執行法38Ⅰ)。
ここで、抵当権の本質は、目的物が売却された「代金」から優先的にお金を回収することにあります。他の一般債権者が競売を申し立てて不動産が売却されても、先順位の抵当権者は自動的に配当手続きに参加でき、その売却代金から優先して配当を受けられる手厚い保護の仕組み(当然配当)があります。
つまり、競売が進んでも抵当権者は損をしないため、あえて競売手続き自体を止める法的な利益(必要性)がないのです。

過去問:保証人の将来の求償債権のための抵当権設定
AのBに対する金銭債権を担保するために、Cの所有する甲建物を目的とする抵当権が設定された。AのBに対する金銭債権をDが保証した場合において、その保証債務を履行していないときには、Dの求償権を被担保債権として甲建物を目的とする抵当権を設定することはできない。

解答表示
× 抵当権の被担保債権は、現に存在している債権だけではなく、将来の債権であっても、債権発生の基礎となる具体的な法律事実関係が存在し、債権が確定さえしていれば、債権の発生前に抵当権を有効に設定し、その登記をすることができる。

過去問:抵当権の対抗要件
AがBに対して金銭を貸し付け、この金銭債権の担保のため、C所有の不動産に抵当権が設定されてその登記がされた後、Aがその貸金債権をDに譲渡した。AがBに対して確定日付のある債権譲渡の通知をした場合には、抵当権の移転の登記がされていなくても、Dは、その後にAから債権譲渡を受けたEに対して、抵当権の取得を主張することができる。

解答表示
○ 債権の二重譲渡における譲受人間の優劣は、確定日付ある証書による通知又は承諾の先後によって決するから(467 II)、先に確定日付ある証書による通知を得たDが債権の譲受人となる。そして、抵当権は被担保債権に随伴するから、Dは債権とともに抵当権をも取得することができる。一方で、Eは第三者対抗要件を備えていない以上抵当権につき無権利者であるから、Dは、抵当権の移転の登記がなくても、Eに対して、抵当権の取得を主張することができる。

過去問:抵当権侵害に基づく損害賠償請求権
AのBに対する金銭債権を担保するために、Cの所有する甲建物を目的とする抵当権が設定された。Cの行為により甲建物の価格が減少しても、甲建物の残存価値がAのBに対する金銭債権の弁済のために十分である場合には、Aは、Cに対して不法行為に基づく損害賠償請求をすることができない。

解答表示
○ 抵当権侵害に対して、「損害」(709)とは、価値減少だけでは足りず、被担保債権の弁済を受けられなくなることが必要。そのため、甲建物の残存価値がAのBに対する金銭債権の弁済のために十分である場合、損害は認められない。

過去問:抵当権に基づく物権的請求権
抵当権は抵当不動産の所有者の使用収益を排除することができない権利であるため、抵当不動産の所有者に由来する占有権原を有する占有者に対し、抵当権者は、抵当不動産の明渡しを請求することはできない。

解答表示
× 抵当権設定登記後に抵当不動産の所有者から占有権原の設定を受けてこれを占有する者に対しても、その占有権原の設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ、その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、当該占有者に対し、抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり、明渡しを請求することができる
(抵当権の効力の及ぶ範囲)
第三百七十条 
「抵当権」は、「抵当地の上に存する建物を除き」、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に「付加して一体となっている物に及ぶ」。ただし、「設定行為に別段の定めがある場合」及び債務者の行為について第四百二十四条第三項に規定する「詐害行為取消請求をすることができる場合」は、この限りでない。

条文構造
【原則(付加一体物への拡張)】
抵当権の効力は、抵当不動産に「付加して一体となっている物(庭木や庭石など)」に自動的に及ぶ。(87Ⅰ)
ただし、権限がある場合には符合しない(242但)
【例外①(土地と建物の別個性)】
土地に抵当権を設定しても、その上にある「建物」には効力は及ばない(建物は付加一体物ではない)。
【例外②(特約による排除)】
当事者間で「この付加物には抵当権を及ぼさない」という合意(別段の定め)をした場合は、効力は及ばない。
【例外③(詐害行為による排除)】
他の債権者を害する目的で行われた悪質な付加行為(詐害行為)による場合は、効力は及ばない。

【付合の復習】242条の構造
原則: 不動産にくっつけた物(動産)は、不動産の所有者のものになる(付合:民法242条本文)。
例外: 賃借権などの「正当な権原」に基づいてくっつけた物は、くっつけた人(賃借人)の所有物のままになる(242条ただし書)。
例外の例外「強い付合」:いくら賃借人が権原に基づいて取り付けたものであっても、壁、屋根、建具などのように「建物の構成部分(それが無いと建物として成り立たないもの)」になってしまった場合は、もはや別々の物として扱うことができず、独立性を失う

【従たる権利への抵当権の効力】:
借地上の建物に抵当権を設定した場合、「敷地の賃借権(または地上権)」にも及びます。
⇒結果として、建物の競落人は、賃借権も一緒に取得します。

過去問:土地抵当の場合の樹木にも抵当権の効力が及ぶか
土地に設定された抵当権は、その土地の地上権者が植栽した樹木には及ばない。

解答表示
○ 抵当地上に植栽された樹木について抵当権の効力が及ぶかについて、判例は、242条本文及びただし書をそのまま適用し、無権原者が他人の土地に植栽した樹木は土地に付合するが、権原がある場合には付合せず、植栽者がその所有権を保留すると解している。

過去問:強い付合
AのBに対する金銭債権を担保するために、B所有の甲土地及びその上の乙建物に抵当権が設定され、その旨の登記をした後に、CがBから乙建物を賃借して使用収益していた場合、CがBの承諾を得て取り替えた乙建物の内外を遮断するガラス戸には、Aの抵当権の効力が及ばない。

解答表示
× 抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶ(370本文)。建物の内外を遮断するガラス戸は付加一体物に該当する
(抵当権の効力が及ぶ果実)
第三百七十一条 
「抵当権」は、その担保する債権について「不履行があったときは」、「その後に生じた」抵当不動産の「果実に及ぶ」。

条文構造
【原則(収益の自由)】
抵当権は不動産を取り上げない権利なので、原則として、抵当不動産から生じる「果実(家賃など)」には抵当権の効力は及ばない(設定者が自由に受け取れる)。
【例外(不履行後の拡張)】
ただし、「債務不履行があった後」に発生した果実については、例外的に抵当権の効力が及ぶ(抵当権者が家賃などを差し押さえて回収のターゲットにできる)。

物上代位の要件(民法第372条・第304条)
①代償財産が発生していること
そもそも抵当権設定者は、抵当権付きの不動産として、抵当権者に無許可で処分(賃貸、売却)できる
②「払渡し又は引渡し前の差押え」
⇒債権譲渡は「引渡し」に含まれない。債権譲渡された後でも差し押さえて物上代位できる
⇒相殺は「払い渡し」に含まれる。相殺される前に、差し押さえる必要がある。

【抵当不動産が貸し出された場合の、賃料債権への物上代位】
代位できます(そもそも賃料を回収するっていう段階は、債務不履行が生じている段階)。

【抵当不動産が転貸された場合の、転貸賃料への物上代位】
代位できない。
抵当不動産の賃借人は、被担保債権の履行について抵当不動産につき物的責任を負うものではないため、「抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、賃借人が取得すべき転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない。

【抵当不動産の売買代金への物上代位】
場合分けが必要。
1、抵当権が第三者に優越する場合
物上代位できない。
抵当不動産が売却されても、抵当権はそのままくっついていく(追求効がある:第三者は抵当権付きの不動産を手に入れる)ため、代位できなくても問題ない。
2、抵当権が第三者に劣後する場合
物上代位できる。

【物上代位による差押えと、第三者の相殺の優劣】
第三債務者(賃借人)の相殺主張が、債権者(抵当権者)の「差押え後」である場合、抵当権設定「登記後」に、債務者(賃貸人)に対して取得した何らかの債権(自働債権)を、物上代位権行使によるは抵当権者Aに対抗することができない

⇒時系列でチェック1
自働債権取得①: 賃借人が、家主(抵当権設定者)に対して何らかの債権を取得する。
抵当権登記: その後、家主が不動産に抵当権を設定し、「登記」がされる。
自働債権取得②:
差押え: 家主が借金を滞納したため、抵当権者が(登記があることを前提に)物上代位による「差押え」を行う。
相殺の主張: 差押えをされた後になって、賃借人が「家賃と私の債権を相殺します」と主張する。
⇒賃借人の相殺主張は、差押え後であり、①(登記前に取得した自働債権)は相殺できるものの、②(登記後に取得した自働債権)は相殺できない
*前提知識:抵当権の登記がないと、物上代位による差し押さえは困難(民事執行法193Ⅰ後段)

⇒時系列でチェック2
自働債権取得①
抵当権登記
自働債権取得②
相殺の主張
差押え
⇒賃借人の相殺主張は、①(登記前に取得した自働債権)は相殺できるのは当たり前だが、差押え前なので②も相殺主張できる

【賃料債権の物上代位と敷金】
債権者(抵当権者)が、債務者(抵当権設定者・賃貸人)の第三債務者(賃借人)に対する賃料債権を差し押さえても、賃貸借終了・明渡しにより未払賃料は敷金充当で当然に消滅します(物上代位できない)。
敷金債権は、賃借人の保護のため、未払いの賃料との相殺(清算・充当)が最優先される

【物上代位と転付命令】
一般債権者の「転付命令の送達」=「払い渡し」に該当し、一般債権者の転付命令が第三債務者に送達された『後』は、もはや抵当権者が物上代位するための債権が設定者の元に残っていないため、物上代位できません。
そもそも「転付命令」とは何か?
転付命令とは、一般債権者が、借金回収のために、債務者が第三債務者に対して持っている債権を、「自分に直接移転させてくれ」と裁判所に申し立てる強制執行の手続きです。
この転付命令が第三債務者に「送達」されると、法的にはその時点で「債権の額面通りに弁済がされたものとみなされる」という非常に強力な効果が生じます。
つまり、現実のお金が動いていなくても、法律上は「払い渡された(債権が消滅した)」のと同じ状態として扱われるのです。

【抵当権実行の第三取得者への通知】
抵当権者は、抵当不動産の第三取得者がいる場合において、抵当権を実行しようとするときであっても、あらかじめ第三取得者に対してその旨を通知する必要はない(平成15年の民法改正)。

【物上保証人の事前求償権】
債務者の委託を受けた物上保証人であっても、事前求償権を行使することはできません。
原則: 頼まれて保証人になった者は、自分が支払う前に債務者へ「あらかじめ(事前に)」お金を請求できます(民法460)。
例外と理由: 物上保証人には、この事前求償権の規定が準用されていません。物上保証人は「自分の提供した財産を失う」という限度でしか責任を負わず、保証人のように無限責任を負うわけではないため、事前に資金を確保させる必要性が薄いからです。

過去問:物上代位による「差押え」vs一般債権者の「転付命令」
抵当権の設定の登記がされた後、抵当権設定者Aが抵当不動産の買収に伴う補償金債権を取得した場合において、当該補償金債権をAの一般債権者Bが差し押さえて転付命令を得て、その転付命令が第三債務者に送達された後であっても、当該抵当権の抵当権者Cは、当該補償金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

解答表示

転付命令が第三債務者に送達される時までに抵当権者が被転付債権の差押えをしなかったときは、転付命令の効力は妨げられず、被転付債権は、第三債務者への送達のときをもって債権及び執行費用の弁済に充当されたものとみなされ、抵当権者が被転付債権について抵当権の効力を主張することはできない

過去問:抵当不動産の賃料とその譲渡
AのBに対する金銭債権を担保するために、Cの所有する甲建物を目的とする抵当権が設定された。Cが甲建物をDに賃貸し、敷金が授受された後、Aが甲建物から生じる賃料債権について物上代位権を行使し、甲建物の未払の賃料債権を差し押さえた場合において、CD間の賃貸借契約が終了し、甲建物が明け渡されたときは、甲建物の未払の賃料債権は、敷金の充当によりその限度で当然に消滅する。

解答表示

相殺が優先される結果として、抵当権者の物上代位は残された敷金しかできない

過去問:抵当不動産の賃料とその譲渡
Aのための抵当権の設定の登記がされた後に、抵当権の設定者Bが抵当不動産をCに賃貸し、その賃料債権をDに譲渡した場合には、当該債権譲渡について第三者対抗要件が具備された後においても、Aは自らその賃料債権を差し押さえて、物上代位権を行使することができる。

解答表示

物上代位における差押えの意義は、第三債務者を二重弁済の危険から保護することにあるため、このような趣旨に照らすと304条にいう「払渡し又は引渡し」には債権譲渡は含まれず、債権が譲渡され対抗要件が具備された後においても、その弁済前であれば、抵当権者は目的債権につき物上代位権を行使することができるとされる

過去問:抵当不動産の賃料と相殺したい賃貸人
Aが自己所有の不動産にCのために抵当権を設定し、その旨の登記をした後に、当該不動産をBに賃貸した場合においてBは、抵当権者Cが物上代位権を行使して賃料債権の差押えをする前は、抵当権の設定の登記の後にAに対して取得した債権と賃料債権との相殺をもって、Cに対抗することができる。

解答表示
○ 物上代位権の行使としての差押えがされた後は抵当権の効力は賃料債権に及ぶが、差押えがされる前においてはお賃借人がする相殺は何ら制限されるものではない

過去問:差押えの意味
建物を目的とする抵当権の抵当権者がその建物の賃料債権に物上代位権を行使するためには、賃料債権の差押えをする必要があるが、他の債権者によって既に差押えがされている場合には、抵当権者は、重ねて差押えをする必要はない。

解答表示
× 物上代位における差押えの意義は、第三債務者の二重弁済を防ぐためである
抵当権者の物上代位権が一般債権者の差押えに優先するためには、第三債務者にその優先権を公示するために抵当権者自ら差押えをする必要がある。

抵当権者が裁判所に「物上代位による差押え」を申し立てると、裁判所から第三債務者(賃借人・店子など)に対して**「差押命令」という公的な通知(書面)が直接送達(配達)されます
この通知を受け取った店子は、その瞬間から**「家主(抵当権設定者)に家賃を払うこと」を法的に禁止されます。

過去問:賃料への物上代位
A所有の建物についてBが抵当権を設定した後に、Aがその建物をCに賃貸して引き渡した場合、AのCに対する賃料請求権については、Bは、抵当権を行うことができない。

解答表示
× 抵当不動産が賃貸された場合、抵当権者は、賃料につき372条、304条の規定の趣旨に従い、抵当権を行使することができる。

過去問:売買代金への物上代位(抵当権劣後)
Aは、その所有する不動産につき、債権者Bとの間で抵当権設定契約を締結したが、その登記をしないうちに、この不動産をCに売却して所有権移転の登記をした。Bは、AのCに対する売買代金請求権を差し押さえて、これに対し抵当権を行使することができる。

解答表示
○ 
抵当権登記がされていない以上、第三者には対抗できない。
つまり、Cは「抵当権の負担が全くない、きれいな不動産」を手に入れることができる。
BはCに対して不動産を競売にかけることができないが、AB間の抵当権は有効であるので、Aが受け取るはずの『売買代金』に物上代位ができる(372・304 I)。
ただし、抵当権の登記のない場合、物上代位による差押えは困難である(民執193 I 後段参照)。

過去問:抵当権設定者の買戻権行使により生じる買戻代金債権に対する物上代位
買戻特約付売買の買主Aから目的不動産につき抵当権の設定を受けたBは、売主Cの買戻権の行使によってAが取得した買戻代金債権について、物上代位権を行使することができる。

解答表示
○ 買戻代金は、実質的には買戻権の行使による目的不動産の所有権の復帰についての対価とみることができ、目的不動産の価値変形物として、民法304条にいう債務者が受けるべき金銭といえる
(留置権等の規定の準用)
第三百七十二条 「第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定」は、「抵当権について準用」する。
※以下、準用した場合の読み替え

【第296条の準用:不可分性】
「抵当権者」は、「債権の全部の弁済を受けるまで」は、「抵当不動産の全部」についてその権利を行使することができる。

【第304条の準用:物上代位】
「抵当権」は、その目的物の「売却、賃貸、滅失又は損傷」によって債務者が受けるべき「金銭その他の物」に対しても、行使することができる。ただし、「抵当権者」は、その「払渡し又は引渡しの前に差押え」をしなければならない。

【第351条の準用:物上保証人の求償権】
「他人の債務を担保するため抵当権を設定した者(物上保証人)」は、その債務を弁済し、又は抵当権の実行によって「抵当不動産の所有権を失ったとき」は、保証債務に関する規定に従い、「債務者に対して求償権」を有する。

抵当権の効力(第三百七十三条―第三百九十五条)

以下の事例で、抵当権でどこまでとれるか?(375条)
貸付元本:100万円
元本の返済期限:3年
約定利息:年3%
利息は毎年支払う約束
返済期限後も未払い:1年

解答表示
元本:100万円
1年目利息:3万円
2年目利息:3万円
3年目利息:3万円
期限後1年の遅延損害金:3万円
発生額総額 = 112万円

① 利息の「特別の登記」をしていない場合
民法375条(後順位抵当権者の保護規定)により、利息・定期金・遅延損害金は、抵当権で優先回収できるのは原則「直近2年分まで」なので、
抵当権で優先回収できるのは
元本:100万円
直近2年分の利息・遅延損害金:6万円
合計 106万円

② 利息の「特別の登記」をしている場合
1年目利息・2年目利息がそれぞれ支払期を過ぎた後に特別登記をしたとします。
抵当権で優先回収できるのは
発生額総額 = 112万円

条文チェック
(抵当権の被担保債権の範囲)
第三百七十五条 「抵当権者」は、「利息その他の定期金」を請求する権利を有するときは、その「満期となった最後の二年分についてのみ」、その「抵当権を行使することができる」。ただし、「それ以前の定期金」についても、満期後に「特別の登記」をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。
2 前項の規定は、抵当権者が「債務の不履行によって生じた損害の賠償」を請求する権利を有する場合におけるその「最後の二年分についても適用する」。ただし、利息その他の定期金と通算して「二年分を超えることができない」。

もし何十年分もの利息を無制限に優先回収できるとすると、後順位の抵当権者(2番目、3番目にお金を貸した人)が全くお金を回収できなくなるという不測の損害を防ぐための、後順位者保護のルールです。

債務者が元本と満期となった最後の2年分の利息を払えば、抵当権は消滅するか。(375条)

解答表示
消滅しない。
375条は、「後順位抵当権者等との関係では、古い利息については優先的に抵当権を行使できない」というだけで、抵当権の消滅原因を定めた規定ではない。
古い利息債権自体は残るので、被担保債権全額を弁済しない限り、抵当権は消えない。

法定地上権の成立要件は?(388条)

解答表示
1. 抵当権設定時に、土地の上に建物が存在すること。
2. 抵当権設定時に、土地と建物が「同一の所有者」であること。
3. 土地または建物(あるいは両方)に抵当権が設定されること。
4. 競売の結果、土地と建物の所有者が別々になること。

効果
建物について、地上権が設定されたものとみなす
無償ではなく、当事者の協議または裁判所の決定による「地代」を支払う義務が生じる。

抵当権者の土地とともにその建物の「一括競売」とは?(389条)

解答表示
土地のみ抵当権を設定後、その土地の上に建物が建てられた場合、土地とセットでまとめて競売「できる」制度
ただし、建物まで売れても、抵当権者が優先して回収できるのは土地代金からだけです。

ひっかけ注意:
抵当権者が土地のみを競売に付するか、土地と建物とを一括競売に付するかは自由であり、一括競売は義務ではない

要件
更地に抵当権を設定し、その後に建物が建てられること
土地とともに「建物も」一緒に売却できるように、建物に土地利用権がないこと

法定地上権を排除する、当事者間の特約は有効か?

解答表示
無効。
法定地上権は成立します。

抵当権設定時に、土地と建物の登記名義が別人のままであっても、法定地上権は成立するか?

解答表示
土地と建物が「実体として」同一人物の所有であれば、成立する。

事例
甲が自己所有の土地上にある建物を所有者の乙から譲り受けた後、その土地のみについて抵当権を設定していた(土地と建物の登記名義が別人)。
その抵当権が実行されて丙がその土地を買い受けた場合、建物が乙の登記名義のままであっても、甲は、丙に対して、法定地上権を主張することができる。
理由
登記面では土地と建物が別人に属していたとしても、実体面で土地及び建物が同一人に属していれば、建物の所有者は、土地の買受人に対して、法定地上権を主張することができる。
法定地上権制度の趣旨は、社会経済的見地から建物の存続を図るという点にあるから、建物につき対抗要件を備えている必要はない。

更地に抵当権設定後、建物築造につき法定地上権が成立すると、抵当権者にどのような不利益が生じるか。

解答表示
土地が更地価格ではなく、地上権負担付土地として低く評価され、担保価値が下がる。

銀行(抵当権者)はもともと、
3000万円の更地を担保に取ったつもりで
2000万円を貸しています。
ところが、法定地上権を認めると、競売で売れるのは実質
1800万円の負担付き土地
になってしまう。

土地と建物が同一所有で、土地のみに抵当権を設定したが、その後建物を取り壊して再築した場合でも、法定地上権は成立するか。

解答表示
成立する。
判断基準は抵当権設定時であり、法定地上権の内容は原則として旧建物を基準にする。
抵当権者は最初から「この土地には家が建っているから、その分の負担がある土地だ」と計算してお金を貸しています。そのため、家が新しく建て直されたとしても、お金を貸した側にとって予想外の損害にはなりません。

土地と建物が同一所有で、土地と建物に共同抵当権を設定したが、その後建物を取り壊して再築した場合でも、法定地上権は成立するか。

解答表示
原則として成立しない。
(例外として、抵当権者が新築建物について土地と同順位の共同抵当権の設定を受けた等特段の事情があれば成立。)
もともとお金を貸すときに、抵当権者は「土地の価値 + 建物の価値」という、全体としての高い価値を担保として確保しています。
建物を取り壊したときに、「建物の担保が消えた分、土地を更地(建物のない状態)として高く売って回収しよう」と考えるのが合理的です。
それにもかかわらず、新しく建てられた建物のために法定地上権を成立させてしまうと、土地が「法定地上権付きの土地」として安く評価されてしまい、抵当権者が不測の損害を被る。

土地と建物が同一所有で、建物と土地に別の債権者による抵当権が設定されていた場合、まず建物が競売され、その後土地の競売がされたとき、法定地上権は成立しているか。

解答表示
成立している。
建物が競売にかけられた時点で法定地上権が成立し、すでに成立している以上、その後、土地が競売にかけられても問題ない。

土地建物が別人所有で、建物のみに1番抵当権を設定したが、その後同一所有となって「建物」に2番抵当権が設定され、さらに1番抵当権が実行されたとき、法定地上権は成立するか。

解答表示
成立する。

法定地上権の成立は、土地の負担であり、建物の利益という本質
そして、法定地上権の成否は、常に**「1番抵当権設定時の状況」**を基準にします。

1番抵当権者からすると建物に法定地上権は成立してほしいし、2番抵当権者からすると法定地上権の成立要件を満たしている状況で設定しているから、だれも不利益を被らない

土地建物が別人所有で、「土地」のみに1番抵当権を設定したが、その後同一所有となって「土地と建物」に2番抵当権が設定され、さらに2番抵当権が実行されたとき、法定地上権は成立するか。

解答表示
成立しない

法定地上権の成立は、土地の負担であり、建物の利益という本質
そして、法定地上権の成否は、常に**「1番抵当権設定時の状況」**を基準にします。

今回の1番抵当権者は、「土地」であり、負担を受ける側です。
よって、法定地上権は成立しない。

*ちなみに実行については、1番でも2番でも関係ない。
1番を先に実行しようが、2番が先に実行されようが、1番抵当権者が優先弁済を受ける。

土地建物が別人所有で、「土地」のみに1番抵当権を設定したが、その後同一所有となって「土地」に2番抵当権が設定され、さらに1番抵当権が実行されたとき、法定地上権は成立するか。

解答表示
成立しない

法定地上権の成立は、土地の負担であり、建物の利益という本質
そして、法定地上権の成否は、常に**「1番抵当権設定時の状況」**を基準にします。

今回の1番抵当権者は、「土地」であり、負担を受ける側です。
よって、法定地上権は成立しない。

*ちなみに実行については、1番でも2番でも関係ない。
1番を先に実行しようが、2番が先に実行されようが、1番抵当権者が優先弁済を受ける。

更地に1番抵当権を設定したが、その後その土地に建物が建築され、土地と建物が同一所有となって「土地」に2番抵当権が設定され、さらに2番抵当権が実行されたとき、法定地上権は成立するか。

解答表示
成立しない

法定地上権の成立は、土地の負担であり、建物の利益という本質
そして、法定地上権の成否は、常に**「1番抵当権設定時の状況」**を基準にします。

今回の1番抵当権者は、「土地」であり、負担を受ける側です。
よって、法定地上権は成立しない。

更地に1番抵当権を設定したが、その後その土地に建物が建築され、土地と建物が同一所有となって「土地」に2番抵当権が設定され、さらに抵当権の順位を入れ替えた。この場合、抵当権が実行されたとき、法定地上権は成立するか。

解答表示
成立しない

法定地上権の成立は、土地の負担であり、建物の利益という本質
そして、法定地上権の成否は、常に**「1番抵当権設定時の状況」**を基準にします。
順位変更をしても、基準は「一番最初の抵当権(B)が設定された時点」から動かない

今回の1番抵当権者は、「更地」であり、負担を受ける側です。
確かにBはCに1番の座を譲りましたが、それはあくまで「『更地としての高い価値』があるこの土地から、先にCさんに配当を持っていってもいいよ」と同意したに過ぎません。決して、「法定地上権が成立して、土地の価値が底地価格に暴落してもいいよ」とまで同意したわけではないのです。
もし、順位変更をしたことを理由に法定地上権の成立を認めてしまうと、更地だと思って順位変更をしたBもCも、「ただ配当の順番を入れ替えただけなのに、土地全体の価値が下がって大損してしまった!」という不測の大損害を被ることになってしまいます。

抵当権設定時に「更地」だった場合
→ その後どうなろうが、当事者間でどんな合意をしようが、競落人を守るために法定地上権は「絶対に成立しない」

建物AB共有、その土地Aが単独で所有している場合、その土地に抵当権を設定され、その実行により土地と建物の所有者が異なるに至ったとき、法定地上権は成立するか。

解答表示
成立する。

建物AB共有、その土地Aが単独で所有している場合、その建物のAの持分に抵当権を設定され、その実行により土地と建物の所有者が異なるに至ったとき、法定地上権は成立するか。

解答表示
成立する
法定地上権の成立は、土地の負担であり、建物の利益という本質
建物の共有者(B)の立場: 法定地上権が成立すれば、土地を使う権利が確保されるため、建物を壊さずに済みます。
土地の所有者(A)の立場: 負担を負うことになる土地所有者Aですが、Aは自分から建物の持分(または土地)に抵当権を設定しています。そのため、Aは「将来、法定地上権が成立して自分の土地に負担がかかるかもしれない」と最初から覚悟(予測)できたはずです
結論: 建物共有者には利益となり、土地所有者にとっては想定内(自業自得)なので、誰にも不測の損害は生じません。だから「認めて良い(成立する)」

建物A単独所有、その土地ABCが共有している場合、その土地のAの持分に抵当権を設定され、その実行により土地と建物の所有者が異なるに至ったとき、法定地上権は成立するか。

解答表示
成立しない
ただし、BとCが法定地上権の発生をあらかじめ容認していたならこの限りではない。

法定地上権の成立は、土地の負担であり、建物の利益という本質
土地の共有者(BやC)の立場: 法定地上権が成立してしまうと、BやCにとっては自分の土地が他人の建物のために半永久的に占拠されてしまうという「かなりの負担(不利益)」
Aの勝手な行動との関係: Aが自分の持分に抵当権を設定しただけで、全く関係のないBやCにまで「法定地上権の負担」という不測の損害を負わせることは、到底許されません

建物AB共有、その土地もABが共有している場合、その土地のAの持分に抵当権を設定され、その実行により土地と建物の所有者が異なるに至ったとき、法定地上権は成立するか。

解答表示
成立しない
法定地上権の成立は、土地の負担であり、建物の利益という本質
Aの勝手な行動によって、他の土地共有者であるBに**「不測の損害(かなりの負担)」を強いることは許されません。
Bにとっては、建物をそのまま使えるという一定の利益はあるものの、**「Aが勝手に借金をして担保に入れたせいで、自分の持分も含めた土地全体に『法定地上権』という半永久的な重い負担がつき、土地の資産価値が激減してしまう」**という大損害を被ることになります。

抵当権の実行と、一般債権者の強制競売は、法定地上権が成立するかどうかの場面においては違いはない。

解答表示
違いはない。

土地及びその上にある建物が債務者の所有に属する場合において、その土地又は建物の差押えがあり、その売却により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす(民執81 前段)。

制度としての違い
抵当権の実行: 抵当権という強力な権利を持っている債権者が、「お金を返してくれないから、担保にとっているこの不動産を売って回収する!」と直接競売にかける手続きです。

強制競売: 抵当権を持たない一般の債権者が、裁判で勝つなどして公的なお墨付き(債務名義)を得た上で、債務者の財産(不動産など)を差し押さえて競売にかける手続きです。

建物の仮差押えの時点で土地と建物が同一所有、その後土地が第三者に譲渡された結果、差し押さえの時点で土地と建物が同一所有となっていない場合には、法定地上権は成立しない。

解答表示
成立する
一般債権者が差し押さえて強制競売をする場合、法定地上権が成立するかどうかを判断する「基準時」は「差押え時」。
土地及びその上にある建物が債務者の所有に属する場合において、その土地又は建物の差押えがあり、その売却により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす(民執81 前段)。

しかし、本問、一般債権者が「仮差押え」をしてから、本執行(強制競売の差押え)に移行した場合の「基準時」は「仮差押え時」
理由(判例の趣旨):強制競売の手続きの前に「仮差押え」がされていた場合、債権者は**「仮差押えをした時点」**の状況(土地と建物が同一所有者であること)を見て、「このまま競売に行けば法定地上権がつくぞ」と予測し、手続きを進めています。
もし、仮差押えの「後」に債務者が勝手に土地を他人に売って別々の所有者になったからといって、後の「差押え時」を基準にしてしまうとどうなるでしょうか?法定地上権が成立しないことになり、競売で建物を買う人(あるいは債権者)に不測の損害を与えてしまいます

法定地上権の地代は、誰が決めるか?

解答表示
388条文上「地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。」とあるが、裁判所が定めなければならないものではなく、当事者間の合意で定めることもできる。

法定地上権の第三者対抗要件としては、何があるか?

解答表示
×
地上権の登記(177)または建物所有権の登記(借地借家法10)
理由
法定地上権は建物所有のためのものであり、借地権として借地借家法の適用を受ける

法定地上権の消滅原因は?

解答表示
よくあるひっかけ注意:
建物が滅失しても法定地上権は消滅しない。
再び建て直して地上権を主張できる

法定地上権も民法上の「地上権」の一種であるため、他の一般的な消滅原因も適用されます。
1,地代の滞納(土地所有者からの地上権消滅請求):
地代を定期的に支払う約束がある場合に、地上権者が**「引き続き2年以上」**地代の支払いを怠ったときは、土地所有者から「地上権の消滅」を請求することができます

2,地上権の放棄: 地上権者自らが権利を手放すこと

3,消滅時効: 権利を長期間行使しないことによる消滅

4,「30年という期間満了」借地借家法3条
ただ、30年という期間が満了したとしても、借地人が希望すれば**「契約の更新」**が認められることが多く、30年経ったからといって当然に消滅して土地を追い出されるわけでもありません。

法定地上権が成立する土地の範囲は?

解答表示
『建物の維持・使用に必要な範囲』
建物の真下の土地だけではなく、玄関に出入りするための通路や、日常的な維持管理に必要な周りのスペースなども当然必要になります。

よくあるひっかけ注意:
「建物が接地する部分(真下)だけ」でもなく、「土地全体」でもない

共同抵当の定義、配当の仕方は?(392条)
*純粋な共同抵当(複数の不動産が全て債務者所有のケース、あるいは全て物上保証人のケース)の計算ルール

解答表示
定義
一つの借金を返すために、複数の土地や建物をまとめて担保に入れること

配当の仕方 
*純粋な共同抵当の計算ルールなので注意。
*もし、共同抵当が「Cさんの甲土地(物保)」と「Dさんの乙土地(別の物保)」だった場合、「純粋な共同抵当(すべて債務者所有)」のときと全く同じ計算ルール

場合分け
1,全部まとめて売る(同時配当)
その各不動産の価額に応じて、その「債権の負担を按分」する。
2,一つずつ売る(異時配当)
抵当権者は、その代価から「債権の全部の弁済」を受けることができる。

*いずれの配当の仕方でも、後順位抵当権者にとって、最終的な結果が同じになるように調整するルール
異時配当によって取りっぱぐれた後順位者は、同時配当の「割り合い」で計算した金額の分だけ、残った担保不動産に対して1番目の人の権利を引き継いで行使できる。

共同抵当権者(1番抵当権者)の勝手な「放棄」によって不測の損害を被った2番抵当権者を守るため、判例はどのようなペナルティを用意したか?

解答表示
1番抵当権者は、放棄していない不動産からの配当において、2番抵当権者に優先して配当を受けることができなくなる。


被担保債権2500万の1番共同抵当(甲土地の価値3000万、乙土地の価値2000万)
被担保債権2000万の2番抵当(甲土地)
この場合、
原則:同時配当したのであれば、
1番共同抵当権者は、甲土地から1500万、乙土地から1000万
2番抵当権は、甲土地から1500万

しかし、共同抵当権者は乙土地を放棄して一般債権者となっている。

異時配当であれば
1番共同抵当権者は、甲土地から2500万、
2番抵当権は、甲土地から500万、乙土地から1000万
となるはずである。

しかし、2番抵当権は、1番共同抵当権者が乙土地を放棄している以上、乙土地に代位できない。放棄の場合はそのペナルティとして
2番抵当権は、甲土地から優先的に1500万円となる。
結果的に残り、1番共同抵当権者は、甲土地から1500万円となる

ちなみに、もし3番以降の抵当権者がいたとしても、放棄者が最下位になるものでもなく、あくまでペナルティは「損害を与えた金額」まで。
同時配当のときの、配当を受けられる限度で損害を考える必要がある。

「債務者と物上保証人」の共同抵当のケースの配当の仕方は?

解答表示
原則として、債務者の不動産から先に配当する。

例外的に物上保証人の不動産から先に配当してしまった場合は、原則として債務者の不動産から先に配当した場合をもとにして、結論を同じになるように調整する。
このとき、物上保証人の求償権は、場合分けが必要。
①「債務者」の不動産にいる後順位抵当権者に対しては:勝つ(優先する) 物保が債務者の不動産に代位(スライド)した場合、債務者の後順位抵当権者よりも物保が優先します。債務者の後順位抵当権者は「債務者の借金なんだから、物保が枠を持っていっても文句は言えない」からです。
②「物保自身」の不動産にいる後順位抵当権者に対しては:劣る(枠を奪われる) 物保自身にくっついている後順位抵当権者に対しては、物保は劣後し、せっかくスライドした枠を横取り(物上代位)されます。

計算練習:純粋な共同抵当(両方とも債務者所有or物上保証人)のケース
甲土地(4000万): 所有者 B = 「債務者」
乙土地(6000万): 所有者 B = 「債務者」
Aの債権(1番共同抵当): 5000万
Cの債権(甲の2番): 6000万
Dの債権(乙の2番): 4000万

解答表示
同時配当だとすると
A(1番共同抵当):甲土地から2000万、乙土地から3000万
C(甲の2番):甲土地から2000万
D(乙の2番):乙土地から3000万

もし、Aが異時配当なら、
A(1番共同抵当):甲土地から4000万、乙土地から1000万
C(甲の2番):甲土地から0万、乙土地から2000万
D(乙の2番):乙土地から3000万

いずれも、同時配当を基準に、結論を同じにさせる

計算練習:「債務者と物上保証人」の共同抵当のケース
甲土地(4000万): 所有者 E = 「物上保証人」
乙土地(6000万): 所有者 B = 「債務者」
Aの債権(1番共同抵当): 5000万
Cの債権(甲の2番): 6000万
Dの債権(乙の2番): 4000万

解答表示
「按分(価額に応じて分ける)」という計算を一切使いません。

原則として、債務者の乙土地(6000万)から先に配当する。
A(1番共同抵当):乙土地から5000万⇒この1位の「5000万」の枠をイメージ
D(乙の2番):乙土地の残り1000万
C(甲の2番):Aがいなくなったので、甲土地から4000万(満額)回収できる!

例外として、物上保証人Eの甲土地(4000万)から先に実行してしまった場合

さっきの原則だった1位の「5000万」の枠が変化します。
A(1番共同抵当=王様):甲土地から4000万、乙土地から1000万

甲土地の求償権を考えると、
甲土地所有者E(求償権):失った4000万分、債務者の乙土地へ
しかし、この求償権は、失った自分の甲土地の2番Cには勝てない。
よって、C(甲の2番):甲土地から4000万(満額)回収!
これにて枠が消滅。
E(0円) せっかくスライドしたのに、Cに全部吸い取られてしまいました。

D(乙の2番):乙土地の残り1000万 *原則の結論通り

銀行(債権者)が融資をする際、銀行取引約定書などで結ばせる、「代位権不行使特約(行使しない特約)」とは?

解答表示
債権者と物上保証人との特約で、もし物上保証人が債務者の代わりに借金を払うことになっても、債務者の財産に設定されている『債権者の抵当権』に代位(スライド)しませんという特約。

この特約(代位権不行使特約)は、物上保証人の土地の「後順位抵当権者」に主張できない。

実務の理由: 物上保証人が後から債務者の財産に権利(抵当権)を主張してくると、債務者の別の財産の権利関係が複雑になったり、債務者が事業を立て直すための別の融資の邪魔になったりする可能性があります。そのため、銀行はあらかじめ「後からしゃしゃり出てこないでね」と釘を刺しておくのです。

銀行(債権者)が融資をする際、銀行取引約定書などで結ばせる、「担保保存義務免除の特約」とは?

解答表示
債権者が担保保存義務を違反した場合であっても(債権者が都合により他の担保を捨てたり変更したりしても)、民法504条の免責(私の抵当権も消して!)を物上保証人が主張しません、と約束する特約です。

この特約(担保保存義務免除特約)のついた土地を買った「第三取得者」は、後から免責を主張して抵当権を消すことはできない(第三取得者は特約に縛られる)

実務の理由:
銀行は、取引先の状況に合わせて「この土地は売却したいから抵当権を外して」といった要望に柔軟に応じます(担保の組み替え)。
その際、いちいち他の保証人全員から「同意」をもらうのは実務上不可能です。銀行が自由に担保をコントロールしてスムーズに経済を回すために、この特約が絶対に不可欠なのです。

「債務者と物上保証人」の共同抵当のケースで、物上保証人の求償権の範囲計算は、以下の事例でどうなるか?
被担保債権100万
債務者の抵当地60万
物上地90万

解答表示
求償権は90万
そのうち、優先弁済が50万
一般債権者レベルで40万

詳細
さきに物上地90万が取られたとすると、求償権は90万。
元の債権者は、残りの被担保債権10万を、債務者の抵当地60万からとる。
債務者の抵当地は残り50万分を物上保証人が引き継ぐ。
一般債権者レベルで40万

純粋な共同抵当(すべて債務者所有など)の場合で、共同抵当権者(1番抵当権者)が、複数の不動産のうち一部の抵当権を放棄した場合、残りの不動産にいる後順位抵当権者を守るため、どのようなペナルティが課されるか?

解答表示
放棄がなければ後順位抵当権者が代位(スライド)して配当を受けられたはずの金額の限度において、放棄した1番抵当権者は、残りの不動産からの配当で後順位抵当権者に優先することができなくなる

具体例
被担保債権2500万の1番共同抵当(甲土地の価値3000万、乙土地の価値2000万)
被担保債権2000万の2番抵当(甲土地)
この場合、
原則:同時配当したのであれば、
1番共同抵当権者は、甲土地から1500万、乙土地から1000万
2番抵当権は、甲土地から1500万

しかし、共同抵当権者は乙土地を放棄して一般債権者となっている。

異時配当であれば
1番共同抵当権者は、甲土地から2500万、
2番抵当権は、甲土地から500万、乙土地から1000万
となるはずである。

しかし、2番抵当権は、1番共同抵当権者が乙土地を放棄している以上、乙土地に代位できない。放棄の場合はそのペナルティとして
2番抵当権は、甲土地から優先的に1500万円となる。
結果的に残り、1番共同抵当権者は、甲土地から1500万円となる

ちなみに、もし3番以降の抵当権者がいたとしても、放棄者が最下位になるものでもなく、あくまでペナルティは「損害を与えた金額」まで。
同時配当のときの、配当を受けられる限度で損害を考える必要がある。

「債務者と物上保証人」の共同抵当のケースで、1番抵当権者が「債務者の不動産」の抵当権を身勝手に放棄した場合、物上保証人にはどのような保護が与えられるか?

解答表示
民法504条により、物上保証人が債務者の不動産から代位回収できたはずの金額の限度で、物上保証人の不動産の抵当権が消滅する(免責される)

具体例
被担保債権2500万の1番共同抵当(債務者の甲土地の価値3000万、物上保証人の乙土地の価値2000万)、被担保債権2000万の2番抵当(甲土地)、被担保債権2000万の2番抵当(乙土地)の場合で、甲土地を放棄したときの処理

本来なら、債務者の甲土地のみで1番抵当権の被担保債権2500万は満足できたはずである。
よって、物上保証人としては満額の2500万が期待額となり、1番抵当権は消滅する(504条)

2番抵当権者:1番が勝手に消えたので、全額回収できた(ラッキー!)。

乙の2番抵当権者:1番がペナルティで消えたので、全額回収できた(ラッキー!)。

1番抵当権者:確実にもらえたはずの2500万円の担保をすべて失い、無担保の一般債権者に転落(自業自得の大バカ!)。

抵当権の順位を変更する要件は?(民法374条)

解答表示
順位変更によって不利益を被る抵当権者全員の合意
合意だけでは効力が発生せず、登記が必須。


甲土地の抵当権者
1位のB(600万)
2位のC(2100万)
3位のD(2400万)
→1位と3位の入れ替えの場合、2位のCとしては枠の大きさが変わるため、Cの同意必要。

例2
甲土地の抵当権者
1位のB(600万)
2位のC(2100万)
3位のD(600万)
→1位と3位の入れ替えの場合、なんら2位に不利益がないため、Cの同意不要

「抵当権の譲渡」の定義と、その譲受人が実行するための要件は?(376Ⅰ)

解答表示
定義
「抵当権者が、何の担保も持っていないかわいそうな『一般債権者』に対して、自分の『優先的に配当をもらえる枠』をプレゼントすること」
※ちなみに、BとEの間だけで枠(600万円)を分け合っているだけなので、2位のCや3位のDには全く影響はありません。


・1位:B(枠600万)
・2位:C(枠2100万)
・3位:D(枠2400万)
・一般債権者:E(債権400万、担保なし)
1位のBが、一般債権者Eに抵当権を譲渡したとします。
【配当の結果はどうなる?】
Bの「600万円の1位枠」の中で、譲り受けたEが優先されます。
Eの取り分: 自分の債権額である400万円を、Bの枠を使って最優先で回収
Bの取り分: 600万円の枠のうち400万円をEに使わせたので、残りの200万円を回収します。

要件
抵当権譲渡の譲受人は、抵当権の実行としての不動産競売を申し立てることができる。
その要件としては、
①譲渡人の被担保債権の弁済期、譲受人の債権の弁済期が、いずれも到来していること
②民事執行法181条1項1号・2号・3号が定める文書のいずれかを提出することを要する。
※他の抵当権者の同意は不要

「抵当権の放棄」とは何か?

解答表示
①抵当権の「絶対的放棄」(=担保を完全に捨てる)
意味: 世の中の「全員に対して」自分の抵当権を完全に捨て、抵当権が消滅すること。

②もし、「BがEに対して抵当権を放棄」などという記述があった場合、抵当権の「相対的放棄」(=特定の相手とシェアする)を意味する。
考え方的に「シェアするだけなので、1位抵当権者の地位は残っている」と考える。
抵当権の譲渡の場合は、「譲受人が優先するので1位抵当権者の地位は残っていない」と考える。


・1位:B(枠600万)
・2位:C(枠2100万)
・3位:D(枠2400万)
・一般債権者:E(債権400万、担保なし)
1位のBが、一般債権者Eに抵当権を放棄(シェア)したとします。
【配当の結果はどうなる?】
Bの「600万円の1位枠」を、Bの債権 (600万円)とEの債権(400万円)の割合、つまり*「3:2」**で分け合います。
・Bの取り分:600万×(3/5)=360万円
・Eの取り分:600万×(2/5)=240万円

抵当権の放棄と譲渡は、枠内の話で完結するため、他の後順位抵当権者に不利益がないため同意不要

抵当権の順位の譲渡、順位の放棄とは?

解答表示
抵当権の順位の譲渡とは?
一般債権者ではなく、後順位抵当権者に対して枠を譲ること。
具体的には、譲渡当事者2人に与えられた枠の中で、後順位抵当権者に優先権を譲ること。

・1位:B(枠600万)
・2位:C(枠2100万)
・3位:D(枠2400万)
・一般債権者:E(債権400万、担保なし)
1位のBが、3位Dに抵当権を譲渡したとします。

【配当の結果はどうなる?】
まずは「本来の配当枠」を計算しなければならない。

土地が5000万円で売れた場合、
・1位Bの枠:600万(残り4400万)
・2位Cの枠:2100万(残り2300万)
・3位Dの枠:2300万(債権2400万ですが、配当金が尽きたので2300万が限界です)

今回の「順位の譲渡の当事者」は、1位のBと3位のDです。
BとDの枠を合計すると 「2900万円(Bの600万 + Dの2300万)」 になります。
俺たち2人の2900万のパイの中で、Dちゃんが最優先で持って行っていい
→Dは自分の債権額2400万円を満額・最優先で持っていきます。
→Bはパイの残りカスである500万円(2900万 - 2400万)しかもらえません。

抵当権の「順位の放棄」とは?
一般債権者ではなく、後順位抵当権者に対して枠をシェアすること。
具体的には、譲渡当事者2人に与えられた枠の中で、後順位抵当権者とシェアすること。
1位のBが、3位のDに順位を「放棄」しました。
これはBがDに対し、**「俺たち2人の2900万のパイを、お互いの債権額の比率でシェアしようぜ」**と約束したということです。
【配当の計算】
2900万円のパイを、Bの債権(600万円)とDの債権(2400万円)の比率、つまり**「1:4」**で分け合います。
Bの取り分: 2900万円 × (1 / 5) = 580万円
Dの取り分: 2900万円 × (4 / 5) = 2320万円

以下の事例で、1位と3位について、抵当権の順位を変更(374条)と、抵当権の順位の譲渡・放棄(376条)の2位抵当権者の同意は必要か?
甲土地の抵当権者
1位のB(600万)
2位のC(2100万)
3位のD(2400万)

解答表示
第374条【抵当権の順位の変更】
順位変更によって不利益を被る抵当権者全員の合意
→Cの同意必要

第376条【抵当権の処分】
枠内の話に過ぎないので、他の抵当権者の同意不要

抵当権の放棄・譲渡、抵当権の順位の放棄・譲渡、いずれ4パターンとも、条文上「同一の債務者」である必要はあるか?

解答表示
同じ債務者である必要はなく、同一の抵当権設定者(不動産の所有者)=物上保証人である必要がある。


物上保証人Aが、友人である債務者Bのために債権者Cに1位抵当権、同じく友人債務者Dのために債権者Eに2番抵当権を設定。
この場合にも、債務者は違うが、順位のやりとりなどができる。

「転抵当」の定義と成立要件、対抗要件、実行の要件は?(376Ⅰ)

解答表示
定義
自分の枠を、さらに別の借金の『担保(カタ)』に入れること。

成立要件
当事者(原抵当権者と転抵当権者)の合意のみでOK! 原抵当権設定者(土地の所有者など)の承諾は不要です。枠内の話で完結しており、誰にも不利益を与えないため。
また、被担保債権の種類や弁済期についての制限もありません。

対抗要件(2種類あります)
①第三者への対抗要件 =「付記登記」 世の中の第三者(他の抵当権者など)に対して「この枠は私が担保に取りましたよ」と主張するには、元の抵当権の登記に付け加える形で「付記登記」をする必要があります。
②債務者等への対抗要件 =「通知または承諾」 元の債務者に対して転抵当を主張するには、債務者への通知または承諾が必要です。
(※これがないと、債務者が元の抵当権者に借金を全額返済してしまい、転抵当権者が枠を失って損をする「二重払い」の危険があるためです)

実行の要件
転抵当権者は、転抵当権及び原抵当権双方の被担保債権の弁済期が到来しているときに限り転抵当権を実行することができる。

具体例
A(原抵当権者): 債務者Bの土地に「1000万円の1番抵当権(枠)」を持っている。
Y(転抵当権者): Aにお金を貸してくれる人。
Aが、新しくYから「800万円」を借りたいとします。しかしAにはめぼしい財産がありません。 そこでAはYに対して、**「俺がBの土地に持っている『1000万円を優先回収できる枠』を、君への担保(転抵当)として差し入れるよ。もし俺が君に800万を返せなかったら、俺の代わりにBの土地を競売にかけて、俺の1000万の枠から800万を持っていっていいよ」**と約束します。

転抵当とは

抵当権付き不動産を買った「第三取得者」が抵当権の負担から逃れる(消滅させる)方法は?

解答表示
1.代価弁済:抵当権者からのオファーに乗ってお金を払う。
*オファーではあるが、考え方的に「第三取得者は、代価弁済ができる」と考える。
*物上保証人は代価弁済をすることができません。なぜなら、代価弁済とは「抵当権者からの請求に応じて、不動産の購入代金を払う(代価を弁済する)ことで抵当権を消してもらう制度」なので、大前提として、**「その不動産を買い受けた人(代金を払う立場にある人)」**でなければなりません。

2.抵当権消滅請求:自分から「この金額で消してくれ」と交渉をしかける。

3.競売での買受け :競売にかけられても、自ら落札して権利を確定させる。

4.元の債務者の代わりに借金を全額弁済してあげること

代価弁済ができる者は誰か?

解答表示
抵当不動産について「所有権」または「地上権」を買い受けた第三者(第三取得者)のみです。

物上保証人は代価弁済をすることができません。

なぜなら、代価弁済とは「抵当権者からの請求に応じて、不動産の購入代金を払う(代価を弁済する)ことで抵当権を消してもらう制度」なので、大前提として、**「その不動産を買い受けた人(代金を払う立場にある人)」**でなければなりません。

代価弁済請求ができる担保物権は?

解答表示
①不動産先取り特権
家の修繕や増築をしたのに、まだ代金をもらっていない「リフォーム業者(不動産工事の先取特権者)」がいる家を、第三者が買ってしまった場合。
先取特権者(リフォーム業者)のセリフ: 「うちが綺麗にリフォームしたのに、まだ工事代金をもらってない家をあなたが買ったんだよね?だったら、売主(元の持ち主)に購入代金を払うんじゃなくて、代わりにうち(業者)にその代金を払ってよ。そしたら、この家を競売にかけずに先取特権を消してあげるからさ」

②不動産質権
お金を貸した担保として家を預かり、実際にその家を使用・管理している「債権者(不動産質権者)」がいる家を、第三者が買ってしまった場合
※不動産質権は、抵当権と違って担保権者自身が不動産を「占有」するのが特徴です
不動産質権者(家を預かっている人)のセリフ: 「私がお金を貸したカタとして預かって(使って)いる不動産を買ったんだよね?だったら、売主に代金を払うんじゃなくて、代わりにうち(質権者)にその代金を払ってよ。そしたら質権を消して、この家から出て行ってあなたに引き渡してあげるからさ」

③抵当権
抵当権者(銀行)のセリフ: 「抵当権付きの不動産を買ったんだよね?だったら、売主に代金を払うんじゃなくて、代わりにうち(銀行)にその代金を払ってよ。そしたら抵当権を消してあげるからさ」

抵当権消滅請求権の定義は?

解答表示
定義
抵当不動産につき
所有権を取得した第三取得者が←
代価又は自ら定めた任意の金額を提供して、
抵当権を消滅させることを請求する制度。

以下は、抵当権消滅請求できるか?
無償取得者
賃借権を取得した者
地上権・永小作権を取得した者
譲渡担保権を取得した者(担保権実行前で所有権未確定)
主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人(380条)
抵当不動産の共有持分を取得したにすぎない者
停止条件が未定の第三取得者

解答表示
本質
こちら側が勝手に不動産金額を決めて「嫌なら競売しろ」と迫る強力すぎる制度なので、不動産全体を確定的に買い取った完全な所有権者でなければ、抵当権者が可哀想

OK:無償取得者

以下、NG
賃借権を取得した者
地上権・永小作権を取得した者
譲渡担保権を取得した者(担保権実行前で所有権未確定)
抵当不動産の共有持分を取得したにすぎない者
停止条件が未定の第三取得者

本質
全額返す義務があるのに、「自分が評価したこの家の価値(借金額より安いかもしれない金額)だけ払うから、抵当権消して!」なんていう美味しいとこ取り(ズル)を認めるわけにはいかない
NG:主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人(380条)

抵当権消滅請求の要件について、時期、請求の相手方、効果は?

解答表示
時期:
請求が競売申立て後であっても、差押え前であれば、請求できる。

請求の相手方:
登記をした各債権者「全員」に対して不動産取得の原因などを記載した書面を送付しなければならない

効果
抵当権者が2か月間沈黙
→自動的に「その金額でOKした」という強力なペナルティ(承諾擬制)が働きます。

※そのため、提示された金額が安すぎて不満な場合、抵当権者は絶対に「競売」を起こさなければなりません。
しかし、競売を起こすには以下のような**「持ち出しの費用とリスク」*がかかります。
・予納金(自腹の費用):競売を裁判所に申し立てるには、最初に数十万円〜百万円単位の「予納金(手続き費用)」を自ら支払う必要があります。
・大損するリスク:いざ手間とお金をかけて競売にかけても、買い手が全然つかず、結局「第三取得者が最初に提示してくれた金額よりも安くしか売れなかった…」という結果になるリスク(損をするリスク)を負います。

抵当権付き不動産の賃借人が、「競売における買受人に対して、自分の賃借権を主張するためには?

解答表示
387条
抵当権者に対抗できるためには、

その賃貸借の登記「前」に登記をした【すべての】抵当権者が同意すること

その同意を得た旨の「登記」をすること
※賃借人は「カギをもらって住んでいる(建物の引渡し=借地借家法の対抗要件)」状態では足りず、「賃借権自体の登記」がされている必要

抵当権の登記よりも後に対抗要件を備えた賃借人は、競売で新オーナー(買受人)が決まった後、出ていかなければならないが、「建物」の賃借人か「土地」の賃借人かで対応がどう異なるか?

解答表示
395条
新オーナーが買い受けた時から「6か月間」は、建物の引き渡しを猶予されます(すぐには追い出されません)
※明渡猶予の特例は「建物」にしか適用されず、「土地」の賃借人は対象外

抵当不動産の賃借人(や第三取得者)が、その不動産に必要費や有益費を支出していた場合、競売代金からどのように処理されるか?

解答表示
競売代金は抵当権者に持っていかれるが、競売の代金から「他のどの債権者よりも先に(最優先で)」全額の償還を受けることができます。
そして、手違い等で先に抵当権者に代金が渡ってしまった場合は、その抵当権者に対して「不当利得返還請求」ができます。

先順位の抵当権の被担保債権が弁済されて消滅した場合、後順位の抵当権者がとりうる対処法は?

解答表示
先順位の抵当権登記の抹消を内容とする物権的請求権を行使する

抵当権の消滅(第三百九十六条―第三百九十八条)

抵当権は消滅時効にかかるか?

解答表示
かかりうる。
第三取得者との関係では、例外的に、抵当不動産に住み続け、抵当権者から一切請求がないまま20年経過した場合など。

しかし、債務者や抵当権設定者に対しては、抵当権は「被担保債権と同時」でなければ時効によって消滅しません(民法396条)

根抵当(第三百九十八条の二―第三百九十八条の二十二)

根抵当権の被担保債権は、「特定」債権でも可能か?

解答表示
可能
特定債権のみを根抵当権の被担保債権とすることはできないが、特定の債権であっても、一定の範囲に属する「不特定の債権と併せて」根抵当権の被担保債権とすることができる。

根抵当権で優先弁済が受けられる利息の範囲は?

解答表示
極度額の限度内であれば、確定前の利息、確定後に発生した利息等も担保される。

※普通の抵当権の場合、利息や遅延損害金を優先的に取れるのは原則として**「最後の2年分のみ」**という厳しい制限。
これは後順位抵当権者の保護のため。

※不動産売買の先取り特権も、抵当権と同様に2年の制限あり。

根抵当権の登記は、効力要件か対抗要件か?

解答表示
根抵当権の設定登記は、対抗要件
ただし、根抵当権で「登記が効力要件」になるものは以下。
・元本確定期日の設定・変更
・元本確定前の被担保債権の範囲・債務者の変更
・元本確定前の根抵当権の全部譲渡・分割譲渡など
·共同根抵当(純粋共同根抵当)の成立

※不動産工事の先取特権の登記は「効力要件」であり、工事着手「前」に登記しなければ無効となります。

根抵当権は、被担保債権と一緒に移転する性質(随伴性)を有するか?

解答表示
元本確定「前」の根抵当権には随伴性がありません(否定されます)。
そのため、元本確定前に債権を譲り受けた者や、代わりに借金を返した(代位弁済した)保証人や第三者は、その債権について根抵当権を行使することはできません。

※普通の抵当権の場合(随伴性あり) 普通の抵当権は「この1000万円の借金」という特定の債権と強く結びついています。
そのため、債権者がその債権を別の誰かに譲渡したり、保証人が代わりに借金を返して債権者の立場を引き継いだり(代位弁済)した場合、抵当権も債権に「くっついて(随伴して)」一緒に移転します。

「根抵当権」の一部譲渡の定義、要件は?

解答表示
「極度額という大きな箱(枠)」の共同オーナーに他人を招き入れる(相乗りさせる)ことを言います。
例 A銀行とB銀行が1つの根抵当権を「共有」する状態になります。

元本確定前であれば可能です。
必ず**「設定者の承諾」と「登記」**が必要になります(これがないと効力が発生しません)

根抵当権を実行するための要件は?

解答表示
1.元本が「確定」していること
根抵当権の最初の設定のときに、確定期日を定めるかどうかは当事者の「任意(自由)」であり、必須ではありません。
また、確定期日を定めた場合であっても、期日到来「前」に別の理由で元本が確定すれば、根抵当権を実行することができます。
期日前に以下のような「他の確定事由」が発生して枠が固定(確定)されれば、その時点で実行可能になります。
・根抵当権者(銀行など)からの「元本確定請求」(※請求直後に確定します)
・設定者からの「元本確定請求」(※設定から3年経過後に行え、請求から2週間後に確定します)
・債務者や設定者の破産、あるいは不動産が他の債権者に差し押さえられた時など

2.確定した借金が返済されないこと(債務不履行)

根抵当権において、後順位抵当権者(利害関係人)の承諾が「必要」な変更とは?

解答表示
極度額の変更:
枠そのものの大きさが変わり、直接的なダメージを与えるため、利害関係人の承諾が必要!

*確定期日・債権の範囲・債務者の変更:
極度額の枠内の話なので、後順位者の承諾不要!

物上保証人(設定者)と根抵当権者(銀行など)の合意だけで、債務者の承諾なく被担保債権の範囲を変更することは可能か?

解答表示
可能
「お金を借りる契約(債権債務関係)」と「担保を提供する契約(根抵当権設定契約)」は、全くの別物だから

「被担保債権の範囲を変更する」というのは、あくまで「物上保証人が提供した不動産(極度額という箱)を、債務者のどの借金の担保として使わせるか」という担保のルールを変えるだけ

変更のイメージ:
当初は「A社の『手形債権』だけを担保する箱」だったものを、物上保証人と銀行が話し合って「A社の『銀行取引の債権』も担保する箱」に変更したとします。
このとき、債務者(A社)からすれば、「自分のどの借金に物上保証人の担保がくっつくか」が変わっただけ

根抵当権の元本確定前に「被担保債権の範囲(または債務者)」を変更する場合の要件、効果は?

解答表示
効果
担保される債権については、「旧条件の債権はすべて無担保になり、新条件の債権(過去のものも含む)がすべて担保されるようになる」という総入れ替えが起きます。

要件
この変更手続きに、債務者や後順位抵当権者の同意は「不要」ですが、効力を発生させるためには元本確定前に「登記」をすることが絶対に必要です(登記が効力要件となります)

第398条の9が、根抵当権者又は債務者に合併があった場合に、合併後も根抵当権は引き継がれるとしつつも、「もうこれ以上担保の範囲を広げないで!」とストップをかける権利(確定請求)を認めた趣旨は?

解答表示
想定外の相手との取引まで担保させられる危険が生じ、担保提供者(設定者)を守るために元本の確定請求を認めた。

第398条の9
元本の確定前に根抵当権者(または債務者)について合併があったときは、新しく根抵当権の被担保債権の範囲はどう変化するか?

解答表示
合併の時に存する債権のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に取得する債権
*根抵当権者でなかった方の法人が合併前に有していた債権は、当然には担保されない。

398条の9
「元本の確定前」に「根抵当権者」または「債務者」に合併があった場合に、「根抵当権設定者」は原則として元本の確定請求ができるが、例外的にできない場合は?

解答表示
「根抵当権設定者」という言葉は、物上保証人が設定者である場合と、債務者自身が設定者である場合の2パターンあるが、
債務者に合併があった場合で、かつ、設定者自身が債務者である場合(自分が借りて、自分の不動産に設定している場合)は、自分自身が合併の当事者であり不意打ちにならないため、確定請求はできない。

それ以外の場合(根抵当権者が合併した場合、債務者が合併かつ物上保証人の場合)は、見知らぬ会社の新しい借金まで担保させられるのは担保提供者(設定者)にとって不意打ちになるため、設定者は「元本の確定請求」をして、担保の範囲を「合併時」の借金のみに限定することができる。

根抵当権者は、根抵当権の処分はできるか?

解答表示
元本の確定前、かつ転抵当ならできる(398条の11但)。
なぜ根抵当権で不確定な債権なのに転抵当はできるのか?
転抵当は「箱の中身のボール(不確定な個別の債権)」をどうこうする行為ではなく、「『最終的にこの箱から得られる配当金』を優先的に受け取る権利(極度額という枠の価値)」を、他人に担保として差し出す行為だから

376条の処分(根抵当権の譲渡・放棄、順位の譲渡・放棄の4種類)はなしえない(398条の11)
先順位の普通抵当権者から、根抵当権者が逆に376条の処分を受けることはできる。

元本の確定後であれば通常の抵当権になるので処分は自由

398条の5
根抵当権の「極度額」を変更するための要件と、変更が可能な時期は?

解答表示
①変更により不利益を受ける「利害関係人の承諾」を得た上で
②その変更の『登記』をしなければ効力が生じない(登記が効力要件)。

元本の確定の「前後を問わず」変更することができる。
理由:極度額は元本確定後も、利息の2年という限定を受けずに「優先弁済を受けられる上限枠」として機能し続けるため

398条の21
根抵当権設定者が極度額の減額請求することができる要件は?
できる場合、どの金額まで減額を求めることができるか?

解答表示
時期要件のみ:「元本確定後」のみ可能(確定前は現在の借金残高が計算できないため)。
設定者からの**一方的な意思表示(請求)**だけで効力が生じる(銀行の承諾は不要!形成権と呼ばれます)。

「現に存する債務の額(確定した元本残高)」と、「以後2年間に生ずべき利息その他の定期金および債務不履行による損害賠償の額」を合計した金額までである。

398条の21の趣旨・要点
根抵当権の元本が確定し、これ以上借金が増えることがなくなったにもかかわらず、極度額(担保の枠)が不必要に大きく設定されたままだと、その不動産を担保にして他からお金を借りることができなくなってしまいます。そこで、不要になった担保の「空き枠」を解放して不動産を有効活用できるようにするため、現在の借金と少しの余裕(2年分の利息等)の額まで、極度額を強制的にカットできる仕組みを定めた条文です。

共同根抵当権と累積根抵当権のそれぞれの定義は何か?
また、それぞれの設定において「登記」は効力要件か、対抗要件か?

解答表示
共同根抵当権(純粋共同根抵当権):
定義:複数の不動産に対して、**「同一の債権の担保として(被担保債権の範囲・債務者・極度額がすべて同一)」”根
抵当権を設定すること。
イメージ 「複数の土地で、1つの大きな箱を支える」甲土地と乙土地の両方を使って、極度額1000万円という**「1つの共通の箱」**を支える
登記:**『効力要件』**である。
設定と同時に共同抵当である旨を登記しなければ効力を生じない。

累積根抵当権:
定義:複数の不動産に対して、**「それぞれ独立して」*根抵当権を設定すること。
イメージ 甲土地に極度額1000万円の箱、乙土地にも極度額1000万円の箱を、それぞれ別個に設定するのが累積根抵当権です。
登記:“対抗要件(効力要件ではない)』*である。
設定契約により効力を生じる。

複数の不動産に設定された共同根抵当権、または累積根抵当権において、そのうち1つの目的不動産が滅失した場合、残りの不動産上の根抵当権の「極度額」は減額されるか?

解答表示
共同根抵当権・累積根抵当権の「いずれの場合であっても」、残りの不動産上の極度額が減額されることはなく、変更はない。

理由
共同根抵当権は、1つの債権を複数の不動産で支えているイメージであり、1つの不動産がなくなっても極度額には問題ない。
累積根抵当権は、そもそもバラバラの契約であるから、他の不動産に影響を与えない。

以下の抵当権の場合で、目的不動産の一つが競売されたとき(異時配当)、その後順位抵当権者は、他の目的不動産について先順位の抵当権者に「代位」して優先弁済を受けることができるか?
通常の共同抵当権
共同根抵当権(純粋共同根抵当)
累積根抵当権

解答表示
通常の共同抵当権:できる。同時配当の場合に、不動産価格で按分されるので、異時配当でも結論を同じにする代位が認められる。
共同根抵当権(純粋共同根抵当):できる。通常の共同抵当と同じ。
累積根抵当権:できない。そもそもバラバラなので、別契約である不動産に代位という考え自体がない。

根抵当権が確定するには、①根抵当権者からの請求、②根抵当権設定者からの請求、③強制的に元本が確定する法定事項がある。
③の法定事由は何か?
根抵当権者に生じた事由、抵当権設定者に生じた事由で分類すると良い。

解答表示
自らの実行
根抵当権者自らが、「競売」「担保不動産収益執行「物上代位による差押え:根抵当権者自らが、貸したお金を回収するために裁判所の手続きを利用してアクションを起こすこと。
理由:自分から回収に動いたということは、「これ以上継続的に取引する気はない」という明確な意思の表れなので、元本が確定します。

他人の実行を知る
根抵当権者が、他人が競売や滞納処分による差押えをしたことを知ること。
根抵当権者が「知ってから2週間」経過したときに確定する。
他の債権者に不動産を取られてしまう危機にあるため、それを知ってから2週間が経過した時点で、安全のために取引を打ち切って元本を確定させます。

破産
債務者や根抵当権設定者が「破産手続開始の決定」を受けたとき。

*根抵当権者が破産しても元本が確定しないので注意。

根抵当権が確定するには、①根抵当権者からの請求、②根抵当権設定者からの請求、③強制的に元本が確定する法定事項がある。
①と②について、確定期日を設定していなかった場合、それぞれの請求の要件を述べよ。

解答表示
①根抵当権者からの確定請求
要件:いつでも確定を請求することができる。
時期:請求をした時に*「直ちに」*確定する。

②根抵当権設定者からの請求
要件:根抵当権の*設定の時から「3年を経過」*したときに、確定を請求することができる。
時期:請求の時から***「2週間を経過」**したときに確定する。

根抵当権消滅請求の要件は?

解答表示
1、元本確定後
2、実際の債務額が「極度額」を超えている場合
3、「物上保証人」や「第三取得者(所有権や賃借権などを取得した者)」は、*請求できない者をチェック
4、極度額に相当する金額を支払うことで、根抵当権を強制的に消滅させることができる。

398条の22趣旨から考えると覚えやすい
根抵当権の元本が確定した際、実際の借金(債務額)が極度額(担保の枠)を大きくオーバーしてしまうことがあります。この場合、お金を借りた本人(債務者)は全額返すのが当然ですが、自分の不動産を担保に提供しただけの人(物上保証人)や、後からその不動産を買った人(第三取得者)までもが、極度額を超えた青天井の借金全額を背負わされるのは酷です。そこで、これらの保護されるべき人たちに限り、「極度額の分だけ払えば、残りの借金がどうなっていようと根抵当権を消滅させて、自分の不動産を守れる」という強力な権利を認めた条文

【例外①:請求できない者(3項・380条準用等)】
「主たる債務者」や「(連帯)保証人」は、全額を弁済する義務を負っているため、極度額だけを支払って消滅請求をすることはできない。また、条件付きで不動産を取得した者も、条件が未定の間は請求できない。

【例外②:共同根抵当権の特則(2項)】
複数の不動産に共同根抵当権が設定されている場合、「どれか1個の不動産」について極度額を支払い消滅請求を行えば、連動しているすべての不動産の根抵当権が同時に消滅する(極度額を不動産の数だけ二重三重に支払う必要はない)。

非典型担保物権の種類と、それぞれの定義は?

解答表示
非典型担保は、すべて**「お金を確実に回収する(または貸してもらう)ための、ちょっと特殊だけれど実践的なテクニック」**の集まりです。

1.譲渡担保(じょうとたんぽ)
・定義:お金を借りる担保として、目的物の所有権を形式的に債権者(貸した側)に譲渡(移転)してしまう制度。
・イメージ:「所有権は預けるから、物はそのまま使わせて!」工場経営者が銀行からお金を借りる際、「担保としてうちの
わせてね」という状態です。

2.所有権留保(しょゆうけんりゅうほ)
・定義:売主が商品を引渡した後も、*代金が全額支払われる(完済される)まで、その商品の所有権を売主の手元に留めておく(留保する)**制度。
・イメージ:「ローンを払い終わるまでは、まだ売主のモノ!」カーディーラーで自動車をローン(分割払い)で買った場合
が典型です。車は納車されて毎日乗っているけれど、ローンの支払いが完全に終わるまでは、車検証の所有者名義はディーラー(または信販会社)のままになっている状態です。

3.代理受領(だいりじゅりょう)
・定義:債務者が別の人(第三債務者)から受け取るはずの金銭金銭を、債権者が代わりに(代理で)直接受け取り、そのまま自分の借金の返済に充てる約束をする制度。
・イメージ:「私に入る予定のお金を、代わりに直接受け取って!」建設会社A(借金をしている人)が銀行B(お金を貸した
人)に対し、「私が発注者Cから後日受け取る予定の工事代金を、銀行Bさんが私の代わりに直接Cから受け取って、借金の返済に回していいですよ」と約束しておく状態です。

4.仮登記担保(かりとうきたんぽ)
・定義:もし借金が返せなかった場合、「代わりにこの不動産をあなたに譲ります」という約束(代物弁済の予約など)をし
ておき、それを『仮登記』という形で順番待ち(権利の保全)しておく制度。
・イメージ:「もし返せなかったら、この土地をあげる予約をしておく!」「期日までにお金を返せなかったら、代わりに私
の土地を借金のカタとして差し上げます。その予約の証拠として、あらかじめ登記簿にあなたの名前を『仮登記(仮の確
保)』しておきますね」という状態です。

将来発生する予定の債権を、譲渡担保の目的(対象)とすることはできるか?

解答表示
できる。
将来発生する債権であっても、譲受人(債権者)が有する他の債権から「どの債権のことか」が識別できる程度に特定されていれば、譲渡担保の対象とすることができます。

条文にない譲渡担保権者も、第三者異議の訴えによって、その差し押さえ(強制執行)の排除を求めることができるか?
*第三者異議の訴えとは:
それは私の物だから、勝手に差し押さえないで!と主張して、強制執行の不許(ストップ)や排除を求めるための裁判上の手続きのこと。

解答表示
求めることができる。
譲渡担保は、対外的には**「すでに所有権が債権者に移っている」**という形式をとるため、「それは私の物だから勝手に差し押さえないで!」と主張できる