このページは、司法書士試験に出題された民法の物権「占有権」(第180条から第205条)をまとめたページになります。
司法書士試験で必要な全単元は、コチラのページにまとめてあります。
>>【司法書士試験】全科目攻略・論点まとめページ(全論点リンク集)
【民法物権】論点「占有権」ガチ解説
占有権の全体像
民法の条文
第二章 占有権
第一節 占有権の取得(第百八十条―第百八十七条)
第二節 占有権の効力(第百八十八条―第二百二条)
第三節 占有権の消滅(第二百三条・第二百四条)
第四節 準占有(第二百五条)
占有の基本(取得・移転・消滅)
単元:占有のセンターピン(本質):
「本当の持ち主かどうかは関係なく、『今、現実にモノを持っている(支配している)状態』そのものを、とりあえず保護してあげる権利」である!
「占有権」が発生する条件と、赤ちゃん(意思無能力者)180条
要件: 占有権が生まれるには、ただモノを持っているだけでなく、「自分のためにする意思(これを自分のものとして持っておくぞ、という気持ち)」が必要です。
あてはめ: 赤ちゃんや重度の認知症の人(意思無能力者)は、この気持ちを持つことができないため、自分でモノを握りしめても占有権はゲットできません。
ただし、代わりに親(法定代理人)が受け取ってあげれば、親を通じて占有権をゲットできます。
「所有の意思」の有無(自主占有 or 他主占有)は権原の性質により客観的に定まる
⇒農地法などの行政上の許可の有無は関係がない
⇒悪意などの主観は関係がない
⇒相続による占有の承継は観念的に生じるため、相続人が相続財産の存在や占有の事実を知らなくても、被相続人の占有の性質(自主占有or他主占有)をそのまま承継する。
自主占有:「これは自分のモノだ!」と思って持っている状態のことです。
⇒買った人や、泥棒などがこれにあたります。
他主占有:「これは人から借りているモノだ」と思って持っている状態のことです。
【共同相続人の一人による占有(原則:他主占有)】
親が死亡し、兄弟で土地を共同相続しました。
原則:共同相続が開始した場合、相続人の一人が単独で占有を始めても、他の相続人の持分については他主占有となる。
例外:しかし、共同相続人の一人が、「単独に相続したものと誤信」し、相続開始とともに相続財産を占有し、「公租公課もその負担において納入」していたような例外的な事情がある場合には、その相続の時から、相続財産について単独所有者としての自主占有を取得する(最判昭47.9.8)
【論点:共同相続における占有権の観念的承継】
原則(観念的承継): 相続が開始すると、被相続人の占有権は、物理的な所持・管理の有無にかかわらず、当然に(観念的に)相続人に移転する(最判昭44.10.30)。
共同相続の場合: したがって、共同相続人の一人が現実に被相続人所有の家屋を占有していたとしても、その者だけが占有権を取得するわけではない。現実に占有していない他の共同相続人も含め、共同相続人全員が共同して占有権を承継取得する。
代理占有(間接占有)のイメージ:自分では直接モノを持っていなくても、**「別の人(代理人)に頼んで、自分の代わりにモノを物理的に持たせておくことで、自分も(間接的に)モノを支配している状態」**のこと。
代理占有(間接占有)の具体例
① 賃貸借契約(アパートやレンタカーなど)
賃借人(住人など):直接占有(占有代理人)
賃貸人(大家さんなど):代理占有(間接占有)
② 寄託契約(倉庫や荷物の預かりなど)
受寄者(預かった人):直接占有(占有代理人)
寄託者(預けた本人):代理占有(間接占有)
【論点:代理占有における占有権の二重帰属】
寄託契約の場合、受寄者だけが占有してる状態では?
占有の二重帰属: 寄託契約などの代理占有関係において、本人(寄託者)は代理人を通じて間接的に占有権を有する。と同時に、現実に物を所持している代理人(受寄者)自身にも「自己のためにする意思」があるため、直接の占有権が認められる。
【超重要】「代理占有」と「占有補助者」の違い
占有補助者になる人(アルバイトやお手伝いさん): あくまで社長や主人の「手足(道具)」に過ぎないため、持っている人には占有権が一切認められない
代理占有:「借りている間は自分が持っておくぞ」という独立した意思があるため、本人との「二重の占有」になる。
「占有補助者」の具体例
雇用契約など(手足として使われているだけの場合)
コンビニのアルバイト・住み込みのお手伝いさん:占有権なし(占有補助者)
店主・雇主:直接占有(唯一の占有者)
占有の基本:過去問演習
問 【論点:意思無能力者による占有権の取得】
意思無能力者は、法定代理人によって物の占有を取得することができるが、物を自ら所持することによっては、その占有を取得することはできない。
問 【論点:農地法の許可と自主占有の取得】
農地の賃借人が農地を買い受け、代金の支払も完了している場合でも、農地法の許可が得られないときには自主占有を取得することができない。
解答表示
問 【論点:他人の物であることの認識と自主占有】
売買により土地の引渡しを受けた買主は、引渡しの当時、その土地が売主の所有物ではなく他人の物であることを知っていた場合には、自主占有を取得することはできない。
解答表示
問 【論点:相続による占有の観念的承継と自主占有】
土地の所有者が死亡して相続が開始した場合、相続人が当該不動産が相続財産に属することを知らないときでも、自主占有を取得する。
解答表示
問 【論点:共同相続人の一人による単独の自主占有の取得】
亡Aの遺産をB及びCが相続した場合には、Bが、その相続の時から、Aの遺産に属する財産について単独所有者としての所有の意思をもってする占有を取得することはない。
解答表示
【論点:共同相続人の一人による単独の自主占有の取得(例外)】
原則: 共同相続が開始した場合、相続人の一人が単独で占有を始めても、他の相続人の持分については他主占有となる。
例外(判例のルール): しかし、共同相続人の一人が、「単独に相続したものと誤信」し、相続開始とともに相続財産を占有し、「公租公課もその負担において納入」していたような例外的な事情がある場合には、その相続の時から、相続財産について単独所有者としての自主占有を取得する(最判昭47.9.8)
問 【論点:共同相続人の一人による占有と自主占有の取得】
土地所有者が死亡し、共同相続が開始した場合において、他の相続人の承諾を得てその占有を始めたときは、その者は単独所有者として自主占有権を取得する。
解答表示
問 【論点:解除条件付売買における条件成就と自主占有権の帰趨】
所有者から、土地を解除条件付で買い受け、引渡しも終了している場合、後に条件が成就すれば、買主は所有権と自主占有権も失う。
解答表示
問 【論点:相続による占有の承継と取得時効】
AがB所有の甲土地に無権原で自宅として乙建物を建て、所有の意思をもって甲土地を15年間占有した後、Aが死亡し、その直後からAの単独相続人であるCが自宅として乙建物に住むようになり、5年間所有の意思をもって甲土地を占有した場合、Cは甲土地の所有権を取得する。
解答表示
問 【論点:新たな権原による占有の性質の変更】
Aは、Bが所有しAに寄託している動産甲をBから買い受け、その代金を支払った。この場合には、Aの動産甲に対する占有の性質は、所有の意思をもってする占有に変更される。
解答表示
問 【論点:共同相続における占有の承継】
被相続人所有の家屋を相続人の一人が占有している場合において、被相続人が死亡したときは、当該相続人のみが、その家屋の占有権を取得する。
解答表示
問 【論点:占有権の移転要件(引渡し)】
Aは、Bが所有しAに賃貸している動産甲について、Bの承諾を得て、動産甲の賃借権をCに譲渡した。この場合には、Aは、動産甲の占有権を失う。
解答表示
問 【論点:代理占有における占有権の二重帰属】(難)
Aが所有しBに寄託している動産甲について、Bによる動産甲の占有の効力はAに帰属することから、Bは、動産甲の占有権を取得しない。
解答表示
寄託契約の場合、受寄者だけが占有してる状態では?
⇒「代理占有(他人に預けておく状態)」の最大のポイントは、**「預けた本人(A)も、預かっている代理人(B)も、どっちも同時に占有権を持つ(二重構造になる)」**という点
第164問 【論点:占有改定による占有権の取得】
Aは、Aが所有し占有する動産甲をBに売却し、同時に、動産甲について、Bとの間で、Bを貸主、Aを借主とする使用貸借契約を締結した。この場合において、Aが以後のBのために動産甲を占有する旨の意思表示をしたときは、Bは、動産甲の占有権を取得する。
解答表示
問 【論点:指図による占有移転の要件】(難)
Aが所有する動産甲をBに賃貸している場合において、Aが甲をCに譲渡した。この場合において、Cが指図による占有移転により甲の引渡しを受けるためには、AがBに対して以後Cのためにその物を占有することを命じ、Cがこれを承諾することが必要である。