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権利能力(外国人)
「原則として、外国人も日本人と全く同じ!
ただし例外として、『ルール(法令・条約)』でダメと言われたら諦めろ。」
外国人の権利能力の原則
◦ 定義:外国人は、法令または条約に禁止されている場合を除き、私権(個人的な権利)を享有する。
◦ 条文:民法3条2項
◦ ポイント:原則は「ある」。例外は「法令・条約」のみ。
信託法による例外(脱法行為の防止)
◦ 定義:法令によりある財産権を享有できない者は、信託法の受益者(実質的な持ち主)として、その権利を有すると同一の利益を享受することができない。
◦ 根拠:信託法9条
◦ 趣旨:脱法行為(法律の禁止を潜脱すること)を防ぐため。
「脱法行為」とは?
法律で「外国人はこの権利を持てない(例:国の重要な土地など)」と禁止されているのに、信託を使って「名義上の持ち主は日本人(受託者)、でも実質的な利益は全部外国人(受益者)」という形を作ると、法律の禁止が無意味になってしまいます。これを「脱法行為」と言います。
問 外国人は、法令又は条約に禁止又は制限が規定されている場合を除き、我が国においても権利能力を有する。
外国人も日本人と同じ「人」として扱われます。
問 外国人の権利能力が制限される場合には、外国人は、信託法の受益者として、その権利を有すると同一の利益を享受することができない。
もし法律で「この権利は持てない」とされているのに、信託を使って「実質的に同じ利益」を得ることを許してしまえば、禁止している意味がなくなってしまいます(信託法9条)
制限行為能力
~全体像~
未成年者
成年被後見人(精神上の障害が重い方)
被保佐人(著しく不十分な方)
被補助人(不十分な方)
相手方の保護(催告権など)
未成年者
未成年者は『最強のキャンセル権(取消権)』を持つ無敵の存在。5条1項、2項
ただし、3つの例外。
1,もらうだけ(単なる利益)5条1項ただし書
2,お小遣い 5条3項
3,許可された商売 6条1項
の時は、大人扱いされる(キャンセル不可:「同意不要(単独でできる)=取り消せない」)
★取消しの効果と現存利益
◦ ルール:取り消された行為は「初めから無効」となる。
◦ 返還義務:制限行為能力者(未成年者)は、その行為によって**「現に利益を受けている限度(現存利益)」**において返還すれば足りる。全部返さなくてよい(使い込んでいても、生活費なら「現存」扱い、ギャンブル等は「なし」扱い)。
◦ 条文:121条、121条の2第3項
*「負担付贈与ではない(タダでもらう)」「債務の免除を受ける」**とあったら、それは「一方的に得する」ケース
⇒得するだけなら保護不要 → 「同意不要(単独でできる)=取り消せない」
★法定代理人(養子の特例)
◦ ルール:未成年者に親権を行う者があるときは、その者が法定代理人。養子の場合は、養親が親権を行う。実親ではない。
◦ 条文:818条
*ひっかけパターン:実親の同意があっても、法定代理人の同意はない状態なので、取り消せます。
(未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。
(未成年者の営業の許可)
第六条 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
2 前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。
(取消権者)
第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
2 錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵かしある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。
(取消しの効果)
第百二十一条 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。
「未成年者」の問題演習
問 未成年者が法定代理人の同意を得ないで贈与を受けた場合において、その贈与契約が負担付のものでないときは、その未成年者は、その贈与契約を取り消すことはできない。
解答表示
理由:「負担のない贈与(タダでもらう)」は、未成年者にとって100%得しかありません。
問 未成年者は、法定代理人の同意を得なくても、債務の免除を受けることができる。
解答表示
理由:借金をチャラにしてもらう(債務免除)ことも、「義務を免れる行為(=100%得する行為)」です。
問 養子である未成年者が実親の同意を得て法律行為をしたときは、その未成年者の養親は、その法律行為を取り消すことはできない。
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理由:養子縁組をすると、親権(法定代理権)は「養親」に移ります。実の親(実親)は、法律上は部外者です。
問 未成年者が特定の営業について法定代理人の許可を受けた場合には、その営業に関する法律行為については、行為能力の制限を理由として取り消すことができない。
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理由:商売(営業)の許可をもらった以上、そのビジネスに関しては「プロ(大人)」として扱われます。
問 法定代理人が目的を定めないで処分を許した財産は、未成年者が自由に処分することができる。
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解説:
◦ 定義:「目的を定めないで処分を許した財産」とは、いわゆる「お小遣い」のことです。
◦ 結論:お小遣いの使い道に親の同意はいりません。自由に処分できます。
問 意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に未成年者であったときは、表意者は、その意思表示を取り消すことができる。
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解説
• 表意者:意思表示をした人(例:壺を売りつけた業者)
• 相手方:意思表示を受けた人(例:未成年者のカツオくん)
相手方(業者)ができること・できないこと
× 取消権はない:業者の側から「やっぱ未成年者だったから契約なしで!」と一方的にキャンセルすることはできません。取消権は「弱者(未成年者)を守るための剣」なので、未成年者側だけが持っています。
〇 催告権はある(民法20条)
問 未成年者を一方当事者とする売買契約が行為能力の制限を理由として取り消された場合において、当該売買契約に基づく債務の履行として給付を受けた相手方は、現に利益を受けている限度において、その給付について返還の義務を負う。
解答表示
解説:
◦ 原則(相手方):契約が取り消されたら、普通の人(相手方)は「原状回復義務(全額返す)」を負います。
◦ 例外(未成年者):未成年者だけが特別ルールで、「現存利益(手元に残っている分)」だけ返せばよいとされています。
◦ 結論:問題文は「相手方は、現に利益を受けている限度において」となっているため誤りです。相手方は全額返還です。
成年被後見人(精神上の障害が重い方)
「成年被後見人の判断能力は『ゼロ(ホワイトアウト)』。
だから『同意』をもらっても無意味(取消可)。
ただし、『コンビニの買い物(日用品)』だけは許してあげよう。」
2. この単元の全体像(リーガルマインド)
◎被後見人とは
「事理弁識能力を欠く常況」にある者
*イメージをしっかりと。
おじいちゃんが、しっかり者の孫(成年後見人)に「この壺を買っていいか?」と聞き、孫が「いいよ(同意)」と言ったとします。しかし、おじいちゃんはその「いいよ」の意味さえすぐに忘れてしまい、言われたものとは違う高い壺を買ってくるかもしれません。
◎原則論:最強の保護
同意があっても取り消せる
※未成年者や被保佐人とは違う
◎例外の必要性:日用品は聖域
「日用品の購入(日常生活に関する行為)」だけは、一人で確定的に有効に行えます(取り消せません)。
条文:民法9条ただし書
◎被後見人は代理人になれる(おじいちゃんでもお使いができる)
• 状況:おじいちゃん(成年被後見人)が、近所の人に頼まれて、その人の代理人として契約をする場合。
• ルール:おじいちゃんの保護者(後見人)の同意は不要です。
• 理由:代理行為の効果(損得)は、すべて頼んだ本人(近所の人)に帰属します。おじいちゃんの財産は1円も減らないので、おじいちゃんを守る必要がないからです。頼んだ人がリスクを負えばいいだけの話です。
◦ (条文:民法102条)
◎後見開始の審判の請求権者
本人、配偶者、四親等内の親族(いとこ等まで)、検察官など。
条文:民法7条
*自己決定権の尊重により、本人による請求も認めている
◎審判の終了
【本質】「回復しても、手続は自動ではない。誰かが『終了ボタン』を押せ。」
• 状況:認知症だったおじいちゃんが奇跡的に回復し、ボケていない状態に戻りました(事理弁識能力を欠く常況でなくなった)。
• ルール:自動的に後見が終了するわけではありません。本人や親族などが「治ったので取り消してください」と請求して初めて終了します。
条文:民法10条
注意点:裁判所が気を利かせて勝手に(職権で)終了させることはできません。あくまで「請求」ベースです。
◎成年後見人とは?
成年後見人は、成年被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について成年被後見人を代表(代理)する。
条文:民法859条1項
*対比:保佐人には同意権あるが、代理権なし。
原則:孫(後見人)は、おじいちゃんの財産を管理する最強の権限(代理権)を持っています。
例外:しかし、おじいちゃんが住んでいる家(居住用不動産)を売る時だけは、家庭裁判所の許可が必要です。理由:住む場所を失うと、おじいちゃんの精神状態や生活環境が激変し、命に関わるかもしれないからです。ここだけは慎重にチェックします。
条文:民法859条の3
(後見開始の審判)
第七条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
(成年被後見人及び成年後見人)
第八条 後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。
(成年被後見人の法律行為)
第九条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
(後見開始の審判の取消し)
第十条 第七条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人(未成年後見人及び成年後見人をいう。以下同じ。)、後見監督人(未成年後見監督人及び成年後見監督人をいう。以下同じ。)又は検察官の請求により、後見開始の審判を取り消さなければならない。
「成年被後見人」の問題演習
問 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者の四親等内の親族は、その者について後見開始の審判の請求をすることができる。
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• 解説:
◦ 原則:裁判所に「この人を守ってあげて(後見開始)」とお願いできる人(請求権者)は決まっています。
◦ 理由:本人、配偶者、四親等内の親族(いとこ等まで)などが含まれます。家族や親戚が気づいてあげることが多いからです。
◦ 条文:民法7条
問 後見開始の審判は、本人が請求をすることができる。
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• 解説:
◦ 結論:自分でも「もう無理だ、助けてくれ」と言えます。民法7条
問 成年後見人は、成年被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について成年被後見人を代表する。
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• 解説:
◦ 結論:その通りです。後見人は「最強の代理人」です。
◦ 理由:本人は判断能力がないので、代わりに財産管理や契約をする人(代表=代理)が不可欠だからです。
◦ 条文:民法859条1項
問 成年被後見人は、成年後見人の同意を得てした行為も取り消すことができるが、被保佐人は、保佐人の同意を得てした行為を取り消すことができない。
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• 解説:【ここが最重要・未成年者や保佐人との違い】
◦ 未成年者や保佐人:「同意」があれば有効(取り消せない)。
◦ 成年被後見人:「同意」があっても取り消せる(無効にできる)。
◦ 理由:成年被後見人は判断能力が欠けているため、たとえ後見人が「いいよ(同意)」と言っても、その「いいよ」の意味すら正しく理解して行動できるか怪しいからです。だから、同意があってもやっぱり守ってあげて、取り消せるようにしています。
◦ 条文:民法9条、13条
問 成年被後見人がした行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為であっても、取り消すことができる。
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• 解説:
◦ 例外:日用品の購入(コンビニでおにぎりを買う、靴下を買うなど)は、取り消せません(完全に有効)。
◦ 理由:いくら守るといっても、パンを一つ買うたびに「後見人の代理」が必要だとしたら、本人は生きていけません(ノーマライゼーション)。社会生活を送るための最低限の自由は残されています。
◦ 条文:民法9条ただし書
問 家庭裁判所は、成年被後見人について精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるとはいえなくなったときは、職権で、後見開始の審判を取り消さなければならない。
解答表示
• 間違いポイント:**「職権で(勝手に)」**という部分です。
• 正しいルール:審判の取消しは、本人や親族などからの**「請求」**が必要です。
民法10条
被保佐人(著しく不十分な方)
「被保佐人は『普段は一人でできる中級者』。ただし、『人生を左右する重要行為(借金・不動産・相続)』だけは、マネージャー(保佐人)のOKがないと取り消される。」
(※「基本自由だが、重要事項だけロックがかかっている」というイメージが核心です。)
2. この単元の全体像(リーガルマインド)
◎被保佐人とは?
精神上の障害により事理を弁識する能力が**「著しく不十分」**である者。
保佐開始の審判
本人の同意不要(客観的にヤバければ開始)。
原則論(普段の生活):
日用品の購入は一人で自由にできます。
保佐人は取り消せない。
家庭裁判所ですら、日用品の購入に同意が必要とする審判は出せない。
例外(13条で列挙されている重要行為):
しかし、以下の行為を保佐人の同意なく行うと取り消すことができる。このリストを削る(同意不要にする)ことはできません。追加ならできるが(13Ⅱ)
1. 元本の領収・利用(貸した金を返してもらうなど)
2. 借財・保証(借金)
3. 不動産・その他重要な財産の売買(自動車も含まれることが多い[解答25])
4. 訴訟行為
5. 贈与・和解・仲裁合意
6. 相続の承認・放棄・遺産分割
7. 贈与・遺贈の拒絶など
8. 新築・改築・増築・大修繕
9. 短期賃貸借の期間を超える賃貸借
注1:単なる「保存行為(家の修繕など)」なら同意不要です。
保佐人の同意がない場合、それに代わる家庭裁判所の許可
◦ 状況:保佐人が意地悪で(利益を害するおそれがないのに)同意しない場合。
◦ 救済:家庭裁判所が保佐人の代わりに許可を出せる。
◎保佐人とは?
被保佐人(本人)を保佐する者のこと。
原則:
保佐人には同意権はあるが、代理権はない。
代理権の壁(お節介の禁止):保佐人のおせっかいは、本人の自己決定権を害するため、本人の同意が必要。
例外:
家庭裁判所の審判で、特定の行為について代理権を付与できる。
ただ、代理権付与の審判には、本人(被保佐人)の同意が必要。
(保佐開始の審判)
第十一条 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、第七条に規定する原因がある者については、この限りでない。
(被保佐人及び保佐人)
第十二条 保佐開始の審判を受けた者は、被保佐人とし、これに保佐人を付する。
(保佐人の同意を要する行為等)
第十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
一 元本を領収し、又は利用すること。
二 借財又は保証をすること。
三 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
四 訴訟行為をすること。
五 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
十 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。
2 家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
3 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
4 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
(保佐開始の審判等の取消し)
第十四条 第十一条本文に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判を取り消さなければならない。
2 家庭裁判所は、前項に規定する者の請求により、前条第二項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。
「被保佐人」の問題演習
問 家庭裁判所は、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について、保佐開始の審判をすることはできない。
解答表示
解説:
◦ 理由:「事理弁識能力を欠く常況」にある者は、最も重い**「後見」**の対象です。
◦ 対比:**「保佐」の対象は、能力が「著しく不十分」**な者です。
問 配偶者の請求により保佐開始の審判をする場合には、本人の同意は必要ない。
解答表示
解説:
◦ 原則:保佐開始(および後見開始)の審判には、本人の同意は不要です。客観的に保護が必要なら、本人が嫌がっても開始します。
◦ 例外(補助):一番軽い「補助」の場合だけは、本人の自己決定権尊重のため、本人の同意が必要です
問 家庭裁判所は、保佐開始の審判において、保佐人の同意を得ることを要する法定の行為に関し、その一部について保佐人の同意を得ることを要しない旨を定めることができる。
解答表示
解説:
◦ 理由:民法13条1項のリスト(借金、不動産売買など)は、「最低限これだけはチェックしよう」という法定の重要行為です。これを削る(同意不要にする)ことはできません。
◦ 補足:逆に、リスト以外の行為を「これも同意が必要!」と追加することはできます(13条2項)。
問 被保佐人が保佐人の同意を得ないで日用品の購入をした場合には、保佐人は、これを取り消すことができない。
解答表示
センターピン:「日用品は聖域」。
◦ 理由:コンビニ弁当を買うのに同意が必要だと生きていけません。日用品の購入は同意不要であり、確定的に有効です。
問 家庭裁判所は、被保佐人の請求により、被保佐人が日用品の購入をする場合にはその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。
解答表示
理由:たとえ家庭裁判所であっても、日用品の購入を制限する審判は出せません。生存に関わるからです。
問 保佐人の同意を得ることを要する行為につき、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないのに同意をしない場合には、被保佐人は、家庭裁判所に対し、保佐人の同意に代わる許可を求めることができる。
解答表示
解説:
◦ 趣旨:保佐人の権限濫用(意地悪)を防ぐための救済措置です。家裁が代わりに「OK」を出してくれます。
◦ 条文:民法13条3項
問 被保佐人が贈与をする場合には、保佐人の同意を得なければならない。
解答表示
解説:
◦ 理由:「贈与」は財産をタダであげる行為です。財産が減る重大な行為なので、13条1項リストに含まれます。
◦ 条文:民法13条1項5号
問 Aが被保佐人であっても、Bと遺産分割の協議をするについては、保佐人の同意を要しない。
解答表示
解説:
◦ 理由:「遺産分割協議」は、相続財産という重要財産の帰属を決める行為です。失敗すると大損するため、同意が必要です。
◦ 条文:民法13条1項6号
問 被保佐人である共同相続人の一人が保佐人の同意を得ることなく協議で遺産の分割をしたときでも、保佐人は、その遺産の分割が保佐人の同意なくされたことを理由としてこれを取り消すことができない。
解答表示
解説:
◦ 理由:同意が必要な行為(遺産分割)を同意なく行った場合、その行為は取り消すことができます。
◦ 条文:民法13条4項
問 被保佐人は、保佐人の同意を得ないで自己の所有する自動車を他に売却した場合であっても、その自動車が第三者に転売された後は、自己が締結した売買契約を取り消すことができない。
解答表示
理由:制限行為能力者の取消権は**「絶対的」**です。たとえ善意の第三者に転売されていても、取消しによって取り戻すことができます。
◦ リーガルマインド:取引の安全(第三者)よりも、判断能力の不十分な者(被保佐人)の保護を優先するのが民法の原則です。
◦ 条文:民法13条4項、120条1項
問 保佐人は、家庭裁判所の審判により、特定の法律行為についての代理権を付与されることがある。
解答表示
解説:
◦ 原則:保佐人には同意権はありますが、代理権はありません。
◦ 例外:申立て+審判+本人の同意があれば、特定の行為について代理権を持たせることができます(オプション機能)。
◦ 条文:民法876条の4第1項
被補助人(不十分な方)
「被補助人は『ほぼ健常者』。
だから、手助けする内容は『オーダーメイド』で決め、スタートには『本人の納得(同意)』が絶対条件。」
(※「勝手に決められない」「全部制限されない」というのが核心です。)
2. この単元の全体像(リーガルマインド)
被補助人とは?
精神上の障害により事理を弁識する能力が**「不十分」**である者。
*イメージでしっかりと
【国民的アニメで例えるなら:少し衰えた波平さんと、気遣う家族】
**波平さん(被補助人)**は、まだボケてはいません。普通に生活できます。
でも、最近少しだけ判断力が鈍ってきて、「オレオレ詐欺」や「怪しい訪問販売」が心配になってきました。
◎補助人の審判の開始
本人以外の者(配偶者や親族など)が請求する場合は、本人の同意がなければならない。
条文:15条2項
家族(カツオやサザエ)が心配して「お父さん、補助人を付けましょう」と言っても、波平さんが「わしはまだ大丈夫だ! 余計なお世話だ!」と拒否したら、無理やり開始することはできません。
趣旨:まだ判断能力がある人のプライド(自己決定権)を尊重するためです。
ここが、本人が嫌がっても開始できる「保佐」「後見」との最大の違いです。
◎同意権の範囲(オーダーメイド):
原則:補助人には当然には同意権はない。波平さんは基本的に何でも一人でできます。借金をしようが、家を売ろうが、原則は自由です。
例外:家庭裁判所の審判により、民法13条1項(重要な行為のリスト)の一部に限って、同意権を与えることができる。
波平さんが「わかった。じゃあ『高額な借金』と『土地の売却』の時だけ、チェックしてくれ」と頼みます。
裁判所は、この**「選んだリスト」**についてだけ、補助人にチェック権(同意権)を与えます。
同意権が付与された行為を、同意なく行うと取り消すことができる。付与されていない行為は単独で有効。
条文:17条1項、4項
◎意思表示の受領能力:
被保佐人や被補助人は、相手方の意思表示(手紙など)を正しく理解できるため、受領能力がある(受け取ったら効力発生)。
対比:未成年者と成年被後見人は受領能力がない(保護者に届くまで効力発生しない)。
条文:98条の2
◎相手方の催告権(応用)
◦ ルール:本人は、受領能力があるので、相手方が被補助人(本人)に対して、「補助人の同意をもらってくれ」と1ヶ月以上の期間を定めて催告したが、返事がない場合(催告の無視)。
◦ 効果:その行為は**「取り消したもの」**とみなされる(=契約不成立)。本人(被補助人)が無視したということは、同意を取り付ける自信がないか、無理だったということ。
◦ 注意:未成年者等の保護者は「追認した(=有効)」とみなされるが、本人の場合は「取消し」とみなして守る。
◦ 条文:20条4項
【被補助人:試験に出る最重要条文リスト】
被補助人において**「本人の同意」**が登場するのは以下の3回です。
①補助開始の審判(15条2項)
②同意権付与の審判(17条2項)
③代理権付与の審判(876条の9第2項準用)
1. 補助開始の審判(スタート地点)
■ 民法15条
第1項 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。
第2項 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。
• (ガチ勢メモ):第2項が命です。「不十分」レベルならまだ判断能力があるので、本人が「余計なお世話だ!」と言えば、無理やり開始することはできません。
2. 同意権の付与(オーダーメイドのブレーキ)
■ 民法17条
第1項 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者(本人や親族など)の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。
第2項 本人以外の者の請求により前項の審判(同意権付与)をするには、本人の同意がなければならない。
第4項 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないのに同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。
• (ガチ勢メモ):
◦ 範囲:13条1項(借金や不動産売買などの重要行為リスト)の中から、「これとこれだけ制限して」と選ぶ方式です。
◦ 同意:ここでも「本人の同意」が必要です。勝手に制限をかけられません。
3. 代理権の付与(お助けマン機能)
■ 民法876条の9(代理権の付与)
第1項 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者の請求により、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
第2項 第八百七十六条の四第二項(保佐人の代理権付与時の本人同意)…の規定は、前項の審判について準用する。 (※つまり、代理権を付与するにも本人の同意が必要)
• (ガチ勢メモ):補助人には、当然には代理権はありません。欲しいなら別途「審判」が必要です。そしてそれにも「本人の同意」が不可欠です。
4. 相手方の催告権(返事がない時の扱い)
■ 民法20条
第4項 制限行為能力者の相手方が、被保佐人又は第十七条第一項の審判を受けた被補助人に対しては、第一項の期間内(一箇月以上)にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をして、その期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
• (ガチ勢メモ):これが第37問の答えです。被補助人(本人)に催告して無視されたら、**「取消し(ナシ)」**になります。無理に契約を有効にして本人を困らせないための配慮です。
5. 意思表示の受領能力(郵便を受け取る力)
■ 民法98条の2
意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。…(中略)…ただし、被保佐人及び被補助人については、この限りでない。
• (ガチ勢メモ):被補助人には手紙を受け取って理解する能力(受領能力)があるので、直接渡せば有効になります。
「被補助人」の問題演習
問 補助開始の審判は、本人が請求をすることができる。
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問 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者の四親等の親族は、その者について補助開始の審判の請求をすることができない。
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問 被補助人が贈与をする場合には、贈与をすることについて補助人の同意を得なければならない旨の審判がなければ、補助人の同意を得ることを要しない。
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問 借財をすることについて補助人の同意を得なければならない旨の審判がない場合には、被補助人は、補助人の同意を得ることなく、借財をすることができる。
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理由:オーダーメイドなので、13条の列挙事由(法定事由)に限られず、その人の場合によって異なる。その人に審判がない場合には、同意不要。
問 配偶者の請求により補助開始の審判をする場合には、本人の同意がなければならない。
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問(相手方の催告権) Aは成年被後見人又は被保佐人であり、Bは、Aが成年被後見人である場合の成年後見人又はAが被保佐人である場合の保佐人である。AがBの同意を得ないで不動産を購入した場合において、その売主がAに対し1か月以内にBの追認を得るべき旨の催告をしたにもかかわらず、Aがその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないとき、その売買契約を取り消したものとみなされるのは、Aが被保佐人である場合だけである。
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解説:
◦ 状況:相手方が、制限行為能力者**本人(A)**に対して、「保護者(B)の追認をもらってこい!」と催告しました。
◦ 成年被後見人の場合:本人は「受領能力」がない(手紙の内容を理解できない)ため、本人への催告は無効です。よって、「みなす」効果も発生しません。
◦ 被保佐人の場合:本人は「受領能力」がある(手紙の内容はわかる)ため、本人への催告は有効です。しかし、自分で確定させる権限はないので、無視したら**「取消し(ナシ)」**とみなされます。
◦ 結論:本人への催告で効果が生じるのは、この二択なら「被保佐人の場合だけ」となります。
問(意思表示の受領能力) 未成年者の法定代理人乙から甲において土地を買い受ける旨の申込みを受けた丙が、土地を売り渡す旨の意思表示を直接甲にしたときは、契約の成立を主張することができる。
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解説:
◦ 状況:相手方(丙)が、契約のOK(承諾)の返事を、代理人(乙)ではなく、**未成年者本人(甲)**に直接してしまいました。
◦ ルール(受領能力):未成年者は、重要な法律関係の変動を含んだ意思表示を正しく理解し、受領する能力がないとされています(民法98条の2)。
◦ 結論:未成年者本人に「承諾したぞ!」と言っても、それは聞こえていないのと同じです。法定代理人がその事実を知らない限り、契約の成立は主張できません。
制限行為能力者の相手方の保護(催告権など)
~全体像~
1. 催告権(返事を急かす権利)
2. 詐術(さじゅつ=嘘つきへの制裁)
3. その他(法定追認・個別論点)
「相手方は『返事を迫る(催告)』か、相手が『騙した(詐術)』ことを証明して、取消権を封じるしか道はない。」
(※相手方は自分から契約を取り消すことはできません。できるのは「白黒つけろと迫る」ことだけです。)
2. この単元の全体像(リーガルマインド)
◎催告権(ハッキリしてくれ!):
相手方が、1ヶ月以上の期間を定めて「追認するかどうか確答せよ」と求めること。
条文:民法20条
業者は、カツオの親である**波平(保護者)**に手紙を送ります。「この契約、認めるの(追認)? 取り消すの? 1ヶ月以内に返事して!」
無視(確答なし)の効果
保護者(法定代理人・後見人・保佐人)に催告して無視された場合
効果:「追認したものとみなす」(契約は有効になる)。
▪ 理由:判断能力のある大人が放置した責任。
被保佐人・被補助人(本人)に催告して無視された場合
▪ 効果:「取り消したものとみなす」(契約はナシになる)。
▪ 理由:本人は独断で決められない。同意を取り付けるのが無理だったと判断して、契約を消してあげる(保護)。
*未成年者・被後見人本人への催告は、受領能力がないのでそもそも無効です。効果は生じません。
◎ 詐術(嘘つきは守らない):
制限行為能力者が「行為能力者である」と信じさせるために**詐術(さくじゅつ)**を用いたとき。
契約の時、カツオが「僕は20歳の大学生です」と精巧な偽造免許証を見せて騙していたらどうでしょう? 民法は「人を騙すような悪知恵の働くやつまで保護する必要はない」と考えます。
◦ 効果:その行為を取り消すことができなくなる。
◦ 条文:民法21条
単なる黙秘:単に「未成年だと言わなかった」だけでは、通常は詐術にならない。
◦ 例外:黙秘が他の言動と相まって、相手を強く誤信させた場合は詐術になることがある(判例)。
悪意の相手方と詐術
◦ ルール:相手方が、本人の嘘(偽造など)を見抜いていた場合(悪意)、相手方は保護に値しない。
◦ 効果:本人は通常通り取り消すことができる。
どれだけ嘘をついても、相手が**「知っていた(悪意)」**なら、取消しできる。
【相手方の保護:試験に出る最重要条文リスト】
1. 相手方の催告権(返事を迫る権利)
■ 民法20条
第1項 制限行為能力者の相手方は、その行為能力者となった後、その者に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
第2項 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者がまだ行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項と同様とする(=追認とみなす)。
第4項 制限行為能力者の相手方が、被保佐人又は第十七条第一項の審判を受けた被補助人に対しては、第一項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をして、その期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
• (ガチ勢メモ):
◦ 1項・2項(プロへの催告):能力者になった本人や保護者(法定代理人など)は、判断能力があるので、無視したら**「追認(契約有効)」**とみなされます。
◦ 4項(ハンデあり本人への催告):被保佐人・被補助人本人は、独断で決められないので、無視(同意を得られなかった)したら**「取消し(契約無効)」とみなされます。この「無視の効果の逆転現象」**が最大の急所です。
2. 詐術(嘘つきへの制裁)
■ 民法21条
制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
• (ガチ勢メモ):
◦ シンプルですが、「詐術」の定義が深いです。単に黙っていただけではダメで、**「積極的な術策(偽造など)」**を用いたり、他の言動と相まって相手を強く誤信させた場合に適用されます。
3. 意思表示の受領能力(手紙を受け取る力)
■ 民法98条の2
意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。(中略) ただし、被保佐人及び被補助人については、この限りでない。
• (ガチ勢メモ):
◦ 未成年者・成年被後見人に直接「催告」しても無効です(耳が聞こえない扱い)。
◦ 被保佐人・被補助人には直接「催告」しても有効です(耳は聞こえる)。ただし、効果は上記の20条4項(取消し擬制)になります。
【+α:代理の基本】
■ 民法102条
制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。
• (ガチ勢メモ):「お使い(代理)」なら制限行為能力者でも一人で有効にできる(本人の損にならないから)というルールです。
「制限行為能力者の相手方の保護」の問題演習
問 甲乙夫妻の子丙(17歳)が丁から50万円借金して、大学の入学金の支払に充てた。丁が消費貸借契約を締結して1週間後に、丙に対して、1か月内に当該契約を追認するかどうかを確答すべき旨を催告したにもかかわらず、1か月経過後も丙から何らの返答もなかった場合は、追認したものとみなされる。
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• 解説:
◦ 相手:未成年者(丙)。
◦ 判定:未成年者には「受領能力」がありません。本人に催告しても無効です。無視しても「みなす」効果は生じません。
問 Aが未成年者Bに対して建物を売却し、Bが成年に達した後、AがBに対し相当の期間を定めて催告したが、Bがその期間内に確答を発しなかったときは、Bは追認したものとみなされる。
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• 解説:
◦ 相手:元未成年者(今は大人)。
◦ 判定:大人の無視は「OK(追認)」です。
問 未成年者Aが、A所有のパソコン甲をAの唯一の親権者Bの同意なく成年者Cに売る契約(以下「本件売買契約」という。)を締結した事例に関して、Aが成年に達する前に、CがBに対し1か月以上の期間を定めて本件売買契約を追認するかどうか催告したにもかかわらず、Bがその期間内に確答を発しないときは、Aは、本件売買契約を取り消すことができない。
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• 解説:
◦ 相手:親権者(保護者=プロ)。
◦ 判定:プロの無視は「OK(追認)」とみなされます。追認された以上、もう取り消せません。
問 Aは成年被後見人又は被保佐人であり、Bは、Aが成年被後見人である場合の成年後見人又はAが被保佐人である場合の保佐人である。AがBの同意を得ないで不動産を購入した場合において、その売主がBに対し1か月以内にその売買契約を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をしたにもかかわらず、Bがその期間内に確答を発しないときは、その売買契約を追認したものとみなされるのは、Aが被保佐人である場合だけである。
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• 解説:
◦ 相手:保護者(後見人 または 保佐人)。
◦ 判定:どちらも「プロ」です。後見人も保佐人も、無視したら「追認」とみなされます。「被保佐人の場合だけ」ではありません。
問 Aは成年被後見人又は被保佐人であり、Bは、Aが成年被後見人である場合の成年後見人又はAが被保佐人である場合の保佐人である。AがBの同意を得ないで不動産を購入した場合において、その売主がAに対し1か月以内にBの追認を得るべき旨の催告をしたにもかかわらず、Aがその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないとき、その売買契約を取り消したものとみなされるのは、Aが被保佐人である場合だけである。
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• 解説:
◦ 相手:本人(成年被後見人 または 被保佐人)。
◦ 成年被後見人の場合:受領能力なし。催告は無効。
◦ 被保佐人の場合:受領能力あり。無視=「取消し」。
◦ 結論:本人への催告で「取消し」になるのは、被保佐人(および被補助人)だけです。
問 Aは成年被後見人又は被保佐人であり、Bは、Aが成年被後見人である場合の成年後見人又はAが被保佐人である場合の保佐人である。AがCの任意代理人として不動産を購入した場合において、Bの同意を得ていないとき、Bの同意を得ていないことを理由として、その売買契約を取り消すことができるのは、Aが被保佐人である場合だけである。
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• 解説:
◦ 論点:代理行為の能力(民法102条)。
◦ 判定:制限行為能力者が「代理人(お使い)」としてやった行為は、未成年だろうが被保佐人だろうが成年被後見人だろうが、制限行為能力を理由に取り消せません。
問 Aは成年被後見人又は被保佐人であり、Bは、Aが成年被後見人である場合の成年後見人又はAが被保佐人である場合の保佐人である。BがAの法定代理人として不動産を購入するには、Bにその代理権を付与する旨の家庭裁判所の審判がなければならないというのは、Aが被保佐人である場合だけである。
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• 解説:
◦ 成年後見人:もともと「包括的な代理権」を持っています。不動産購入に新たな審判は不要です。
◦ 保佐人:原則「同意権」のみで、「代理権」はありません。代理するには「代理権付与の審判」が必要です。
問 被保佐人Aは、その所有する甲土地を、保佐人Bの同意を得ずにCに売却した。この場合において、Aは、Bの同意がなくても、Cとの間の甲土地の売買契約を取り消すことができる。
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• 解説:
◦ 論点:取消権者。
◦ 判定:制限行為能力者本人(A)も、立派な「取消権者」です。保護者の同意なしに、単独で取り消すことができます。
問 Aは成年被後見人又は被保佐人であり、Bは、Aが成年被後見人である場合の成年後見人又はAが被保佐人である場合の保佐人である。Aが行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いて不動産を購入したとき、その売買契約を取り消すことができないのは、Aが被保佐人である場合だけである。
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• 解説:
◦ 論点:詐術(さじゅつ=嘘)。
◦ 判定:詐術を用いた場合、未成年者でも成年被後見人でも被保佐人でも、一律に**「取り消せなくなります」**。区別はありません。
問 成年被後見人が契約を締結するに当たって、成年後見人に登記された記録がない旨を証する登記事項証明書を偽造して相手方に交付した場合には、相手方がその偽造を知りつつ契約を締結したとしても、その成年後見人は、成年被後見人の行為能力の制限を理由として当該契約を取り消すことができない。
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• 解説:
◦ 論点:詐術と悪意の相手方。
◦ 判定:原則、詐術を使えば取り消せなくなります。しかし、相手方が嘘を見抜いていた(悪意)なら、相手を守る必要はありません。よって、本人は取り消すことができます。
問 未成年者Aが、A所有のパソコン甲をAの唯一の親権者Bの同意なく成年者Cに売る契約を締結した。本件売買契約を締結するに際し、AとCとの間での年齢について話題になったことがなかったため、AはCに自己が未成年者であることを告げず、CはAが成年者であると信じて本件売買契約を締結した場合には、Aは、本件売買契約を取り消すことができない。
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• 解説:
◦ 論点:単なる黙秘。
◦ 判定:ただ黙っていただけでは「詐術」には当たりません。詐術じゃないなら、通常通り取り消せます。
問 甲乙夫妻の子丙(17歳)が丁から50万円借金して、大学の入学金の支払に充てた。丁が第三者の言葉により丙を成年者と信用していた場合、丙は未成年を理由に消費貸借契約を取り消すことはできない。
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• 解説:
◦ 論点:誰が騙したか。
◦ 判定:詐術による取消権封じは、「本人が」取り消せます。
問 未成年者と契約をした相手方が、その契約締結の当時、その未成年者を成年者であると信じ、かつ、そのように信じたことについて過失がなかった場合には、その未成年者は、その契約を取り消すことはできない。
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• 解説:
◦ 論点:相手方の善意無過失。
◦ 判定:相手がいかに善意無過失でも、未成年者が詐術を使っていない限り、未成年者保護が優先されます。よって、取り消すことができます。これが制限行為能力制度の恐ろしさ(強さ)です。
