【大学入試】生物~目次~
生物基礎
1.生物の特徴
2.遺伝子とその働き
3.ヒトのからだの調節
4.植生と遷移
5.生態系とその保全
生物
6.生物の進化
7.生物の系統と進化
8.細胞と分子 ⇒現在はここのページ
9.代謝
10.遺伝情報とその発現
11.遺伝子の発現調節と発生
12.遺伝子を扱う技術とその応用
13.動物の反応と行動
14.植物の成長と環境応答
15.生態系のしくみ
生物《細胞と分子》重要語句と典型問題まとめ・総チェック
細胞の構造
★細胞を構成する物質
動物細胞:水―タンパク質―脂質
植物細胞:水―炭水化物(セルロース)―タンパク質
★有機物(炭水化物、脂質、核酸、タンパク質など)
炭水化物(C,H,O):主たる呼吸基質となる。また,セルロースは細胞壁の主成分となる。
脂質(C,H,O,P):脂肪は呼吸基質となる。リン脂質は生体膜の主成分となる。
核酸(C,H,O,N,P):DNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)がある。DNA は遺伝子の本体として,RNA は遺伝子発現の過程ではたらく。構成単位:ヌクレオチド
タンパク質(C,H,O,N,S):固有の立体構造を形成し,さまざまな生理活性を示す。酵素や抗体,ホルモンなどの主成分となる。構成単位:アミノ酸
★無機塩類
Na やK,Cl など
◆ 二重膜の構造
核:細胞の生命活動の中枢。
ミトコンドリア:酸素を使った異化である呼吸の場。
葉緑体:光エネルギーを用いた同化である光合成の場。
◆ 一重膜の構造
細胞膜:細胞の内外を区切る膜構造。
小胞体:細胞内の物質輸送に関与。
ゴルジ体:タンパク質の分泌に関与。
リソソーム:細胞内消化に関与。
液胞:物質の貯蔵や,細胞内の水分量や物質の濃度調節。
◆ 膜ではない構造
サイトゾル(細胞質基質):さまざまな代謝の場となる。
細胞壁:細胞の形の維持,細胞の保護に関与。動物細胞には存在しない。
リボソーム:タンパク質合成の場。
中心体:微小管の形成の起点。
細胞骨格:細胞内に張り巡らされたタンパク質でできた繊維状の構造。
微小管:タンパク質のチューブリンが重合して形成された中空の繊維。
中間径フィラメント:動物細胞で発達し,細胞に物理的な強度を与える。
アクチンフィラメント:タンパク質のアクチンが重合して形成された繊維。筋収縮やアメーバ運動,動物細胞の細胞質分裂に関与。
生体膜とは
★生体膜とは
細胞膜や細胞小器官を構成する、全般の膜をさす。
★生体膜の構造
生体膜は、①リン脂質と②タンパク質から成る。
*①と②は動くことから、流動モザイクモデルという。
★物質の取り込みや放出
直接透過できないくらい大きい物質は、小胞をつくることで、膜内に取り込んだり、膜外へ放出したりできる。
エンドサイトーシス(endocytosis):細胞内への取り込み。
エキソサイトーシス(exocytosis):細胞外への放出。
タンパク質の成り立ち
★タンパク質とは
アミノ酸(側鎖の違いによって20種類)どうしが、ペプチド結合(カルボキシ基とアミノ基が結合。水分子が抜けたもの。)によって、多数のアミノ酸が結合してポリペプチド鎖を形成した高分子化合物のこと。
★タンパク質の立体構造
*次元の話ではなく、組合せの話。
一次構造:ポリペプチドにおけるアミノ酸の配列順序。
二次構造:多くのタンパク質が共通してもつ部分的な立体構造。例、αヘリックス、βシート
三次構造:二次構造がさらに組み合わさってできる,タンパク質全体としての固有の立体構造。
四次構造:複数の三次構造体(サブユニット)がさらに集合することで形成される構造。
★タンパク質の種類
タンパク質はフォールディングによって、固有の立体構造をとり、固有の機能を発揮するようになる。
立体構造はどうやって形成されるか?
ポリペプチドの折りたたみを補助するタンパク質(シャペロン)が存在し、アミノ酸の側鎖の部分でss結合と言われる特定の結合が起こることで、複雑な形となる。
その固有の立体構造の形ゆえに、特定の働きが存在する。
例 酵素…特定の基質と結合し触媒作用を発揮する。
例 抗体…特定の抗原と結合して抗原を不活性化する。
★タンパク質の「変性」による「失活」
その立体構造の形が変わる(変性)ことで、その働きを失う(失活)。
変性の原因:60℃以上の高温,酸やアルカリ,重金属
タンパク質の種類(化学反応に関わるもの)
★酵素とは
触媒作用(自身は変化しないが特定の化学反応を促進する物質)をもったタンパク質のこと。
酵素は特定の化学反応の活性化エネルギー(化学反応が進むために必要となるエネルギー)を下げることで反応を促進している。
★酵素の特性3つ
・基質特異性
・最適温度:無機触媒なら温度は高いほど活性化するが、生体触媒は最適な温度がある
・最適PH
★酵素の基質特異性
酵素が活性部位(酵素の基質と結合する部分)の形に合致する特定の物質だけに作用する性質のこと。
酵素は基質(酵素が作用する物質)と、酵素―基質複合体をつくるが、その後、酵素は触媒なので変化しないが、基質は反応生成物に変化する。
★酵素反応
酵素(医者)と基質(客、患者)に例えるとわかりやすい。
酵素は、触媒作用ゆえに、自ら変化しないので、その場にとどまる医者とする。
基質は、そのまま生成物に変化するので、患者とする。
基質(客、患者)の量を固定して、酵素(医者)の量を変化させると、酵素(医者)が多いほど基質(客、患者)の処理スピードは速くなる。
酵素(医者)の量を固定して、基質(客、患者)の量を変化させると、基質(客、患者)が多いほど順番待ちの基質(客、患者)が存在し、処理できない限界の状態となる。
★酵素反応の調節
反応しすぎの場合、フィードバック調節によって、阻害物質が促進されて、酵素反応が抑制される。
競争的阻害と、非競争的阻害(アロステリック酵素)の2種類がある。
タンパク質の種類(物質輸送と情報伝達に関わるもの)
★生体膜の透過性
①生体膜を透過しやすい物質
極性がなく小さい分子(酸素,二酸化炭素など)や、脂質となじみやすい疎水性の分子(ステロイド系ホルモンなど)は、そのまま生体膜を通過できる(拡散)。
そのまま通過できるというのは、濃度勾配に従って高濃度側から低濃度側に移動することになる。
これを受動輸送という。
②生体膜を透過しにくい物質
正や負の電荷をもった分子(ナトリウムイオン,塩化物イオンなど)や、極性がある分子(水,アミノ酸,糖など)は、そのまま生体膜を通過できない。
濃度勾配によって自動で輸送できないので、ATPを使って無理矢理輸送することになる。
これを能動輸送という。
生体膜には、輸送タンパク質(チャネル、ポンプなど)が存在しており、選択的透過性を持つ。
*チャネルとは
濃度勾配によって輸送するためにエネルギーを必要としない(受動輸送)、膜を貫通する筒状のタンパク質のこと。
*ポンプとは
ATP などのエネルギーを必要とし(能動輸送)、特定の方向に輸送するタンパク質のこと。
*担体(たんたい)とは
輸送する物質と結合することで立体構造が変化し,その結果として膜を介した物質輸送を行うタンパク質のこと。
★情報伝達にかかわるタンパク質(ホルモン)
ある細胞から放出された情報伝達物質(ホルモンなど)が、標的細胞の受容体に結合することで、細胞間のシグナル伝達が行われる。
色々なパターン
①イオンチャネル型の受容体
情報伝達物質がチャネルに結合するとチャネルが開き、イオンが細胞膜を通過できるようになる。
②酵素型の受容体
情報伝達物質が受容体を持つ酵素に結合すると,その酵素が活性化される。