【大学入試】化学~目次一覧~
第1編 物質の状態
粒子の結合と結晶の構造
物質の状態変化
気体
溶液 ⇒現在はここのページ
第2編 物質の変化
化学反応とエネルギー
電池と電気分解
化学反応の速さとしくみ
化学平衡
第3編 無機物質
非金属元素
金属元素Ⅰ 典型元素
金属元素Ⅱ 遷移元素
第4編 有機化合物
有機化合物の分類と分析
脂肪族炭化水素
アルコールと関連化合物
芳香族化合物
第5編 高分子化合物
天然高分子化合物
合成高分子化合物
計17章ほど
【大学入試】化学《溶液》重要語句と典型問題まとめ・総チェック
溶解とは、液体に他の物質が混合して均一な混合物になること。
溶媒とは、他の物質を溶解する液体のこと。
溶質とは、溶媒に溶かす物質のこと。
溶液とは、溶解によってできた均一な混合物のこと。
水和とは、イオンなどの粒子が水分子と結びつくこと。
電離したときに、水分子のプラスの極性を持ったH側と陰イオンがくっつき、マイナスな極性を持ったO側と陽イオンがくっつくこと。
《溶解》物が溶けるときのルール
溶液が極性を持つなら、極性を持つ物質が溶けやすい。
例 水とイオン結晶(水と塩化ナトリウムNaClなど)
ただし、例外あり。
例 水と塩化銀AgCl、水と硫酸バリウムBaSO4
溶液が極性を持たないなら、極性を持にい物質が溶けやすい。
例 四塩化炭素CCl4とヨウ素I2
濃度の種類(単位変換、希釈の計算)
問題文で、
98%と出てきたら、質量パーセントを表している。
同様に、98mol/Lと出てきたら、モル濃度を表している。
計算の基礎となるので、濃度の3種類をチェック
①質量パーセント濃度
※密度がヒントで与えられた場合、密度✖️体積で質量が求められる
②モル濃度
③質量モル濃度
※ 「希薄溶液の性質」というテーマでのみ使用
分母に溶液ではなく、溶媒のkgが使われる
→溶媒を主役として、溶媒に対して質量がどのくらいかを表現できる
溶液の希釈
溶液の希釈
溶質の量は変化しないのがポイント
よって、方程式 希釈前の溶質の量=希釈後の溶質の量 で式を作ると良い。
*溶質の単位は、「g」でも「mol」でもよい。
固体の溶解度とは
*気体ではなく固体の話なので注意
固体の溶解度とは
水 100g に溶解する限界量 g をさす。
*気体と異なり、水は100gと決まっている。
比例式で問題を解くと良い。
水:溶質:溶液
100:x:x+100
溶解度の計算(水和物の場合)
★溶質が水和物の場合
水和物は、解けると水と混ざって溶媒である水に混ざるので、溶質の量が減ることになるから問題となる
例 硫酸銅五水和物 CuSO4・5H2O の場合
CuSO4・5H2O(式量 250)をxとすると、CuSO(式量 160)より
水:溶質:溶液
100:x×160/250:x+100
溶解度の計算(析出する場合)
★溶解度の析出計算のコツ
①温度変化前後と、②析出量、これら全体の関係を比にすれば良い。
前【水:溶質:溶液】→ 析出量 → 後【水:溶質:溶液】
溶解度の計算(飽和水溶液の水を蒸発させる問題)
考え方
飽和溶液から水を蒸発させると、蒸発させた水に溶けていた溶質が析出する。
水:溶質:溶液
100:x:x+100
=蒸発させた水:蒸発させた水に溶けていた溶質:溶液は考えなくて良い
気体の溶解度とは
★温度
温度が上がると溶けにくくなる(固体と逆)
理由:熱運動が激しくなると、溶媒から脱する分子が出てきてしまうから
★気圧
気圧に比例(ヘンリーの法則)
★水の体積
水の体積に比例する
★気体の溶解度とは
固体の溶解度が水100gと溶媒が固定されていたルールだったが、
気体の溶解度は、圧力が固定され、
大気圧(1.013 × 10^5 Pa)のもとで、一定量の水(問題で指定される)に溶解する量をさす。
「溶解する量」について
問題文中の溶解度のヒントは、溶解量の単位がモルや質量、体積どれかで表現される。
例1 酸素は20℃,1.0×105Paのもとで、水1Lに対し,1.4×10−3mol溶解する。
例2 酸素は20℃,1.0×105Paのもとで水1Lに対し,標準状態に換算すると0.031L溶解する。
*溶解度のヒントが体積で与えられる場合は標準状態での体積が与えられる。
気体の溶解量=溶解度(問題文に与えられるヒント) ×圧力倍 ×水の体積倍
ヘンリーの法則とは
★ヘンリーの法則とは《イメージ:気体を押し込めば水にたくさん溶ける》
温度が一定のとき,水に溶解する気体の量は,その気体の圧力(混合気体のときは分圧)に比例する
★ヘンリーの法則が成立しない気体
アンモニア NH3 と塩化水素 HCl は圧力に関係なく,水に非常によく溶けるため,ヘンリーの法則が成立しない。
気体の溶解度の計算パターン(溶解量がモルや質量で与えられた場合)
★溶解量がモルや質量の場合
環境によって変化しないため、公式にあてはめるだけで良い。
気体の溶解量=溶解度(問題文に与えられるヒント) ×圧力倍 ×水の体積倍
気体の溶解度の計算パターン(溶解量が体積で与えられた場合)
気体の体積は条件(特にここでは圧力)によって変化してしまうため、
→「標準状態に換算した体積」を求めるときは、公式通りに代入して求める
気体の溶解量=溶解度(問題文に与えられるヒント) ×圧力倍 ×水の体積倍
→「その圧力(条件)下での体積」を求めるとき は、圧力倍は考えずに「溶解量=溶解度×水の体積倍」の式で求める
*気体の状態方程式(PV=NRT)を見ればわかるが、圧力Pを2倍3倍すると、気体の体積は1/2倍1/3倍になるので、結果的に体積に変化はない。よって、問題文のヒントからさらに「圧力倍」をする必要はない。圧力倍してもよいが、その分体積を小さくする必要がある。
希薄溶液とは
希薄溶液とは、一般的に質量モル濃度が0.1mol/kg以下の溶液をさす
*大学入試では希薄溶液がほとんど。
→薄いということは、粒子間が離れているため、分子間力などは無視できる。(分子量が大きかったとしても無視)
→分子間力ではなく、粒子数(溶液の濃度)のみが問題となる。
*粒子数は、イオン結晶の場合、1つの分子から2粒以上のイオンが解けることになるので注意。
例 NaCl → Na+ + Cl-
《希薄溶液の性質》蒸気圧とは、蒸気圧降下とは
水の蒸気圧とは
液面付近の水分子のうち,熱運動の激しい分子のみが気相に飛び出していく(蒸発)。そのときの圧力のこと。
蒸気圧降下とは
溶質があると、蒸気圧が下がってしまうこと。
水溶液の蒸気圧<水の蒸気圧、の関係になってしまうこと。
*溶質があると、液面付近の水分子の数が少なくなってしまうため。
《希薄溶液の性質》沸点上昇とは
沸点上昇度とは
沸点上昇度とは
水(溶媒)の沸点100℃に対して、どのくらい沸点が上昇したのかをさす。
沸点上昇度は、濃度に比例する。
理由:気圧が低くなると沸点は上昇するところ、濃度が高いと、水面の水分子数が減り、蒸気圧が低くなるため。
沸点上昇度=モル沸点上昇(溶媒の比例定数)×質量モル濃度(mol/kg)
*モル沸点上昇について、ケルビンでも℃でも、上昇した分の定数なので、どちらでも使える。
*質量モル濃度について、電離したときの水溶液中のモルなので、例えば、問題文のヒントが「塩化ナトリウムが2モル」なら、水溶液中のモル(ナトリウムイオン、塩化物イオン)は2倍の4モルとなる。
《希薄溶液の性質》凝固点降下とは
水溶液は、水のみの場合と比べ、蒸気圧降下と同様に、気圧が下がるため、水の状態図全体が下がった状態になる。
そのため、凝固点も下がることになる。
凝固点降下度とは
*沸点上昇度と同様の話。
凝固点降下度とは
水(溶媒)の凝固点0℃に対して、どのくらい凝固点が降下したのかをさす。
凝固点降下度は、濃度に比例する。
理由:気圧が低くなると凝固点は降下するところ、水溶液は溶質の存在ゆえに、水のみと比べて、気圧が低くなるため。
凝固点降下度=モル凝固点降下(溶媒の比例定数)×質量モル濃度(mol/kg)
冷却曲線(水のみの場合と、水溶液の場合の違い)
水のみの場合は、以下の冷却曲線になる。
★水溶液の場合の冷却曲線(水のみとの違い)
・まず凝固点は、凝固点降下により0℃よりも低くなる
・水のみの場合、凝固した後は一定に温度が保たれるが、水溶液の場合は徐々に下がっていく。理由:水が氷になることで、溶質の濃度が上がり、濃度が上がるということは凝固点降下度も上がって、さらに低い温度でしか氷になれないから。
《希薄溶液の性質》浸透圧とは
そもそも浸透圧とは
侵入する圧力をさす。
半透膜(溶質は通れず、水だけが通れる獏)をつくった状態で、溶媒(水だけ)の側から、溶液側(溶質+水)へ侵入する力のこと。
*溶質が存在するがゆえに、水粒子の数が少なく、圧力も弱くなる。
ファントホッフの法則
希薄溶液の浸透圧πは、
①溶液のモル濃度C(mol/L)と *侵入される側(溶液側)の濃度
②絶対温度Tに
比例する。
気迫溶液の浸透圧π = 溶液のモル濃度C(mol/L) ×比例定数R ×絶対温度T
コロイドとは
コロイド粒子とは
比較的大きい粒子(直径10^-9~10^−7mの粒子)をさす。
*半透膜は通過できないが、ろ紙は通過できるレベルの大きさ。
コロイドとは
コロイド粒子が分散した状態または物質をいう。
例
コロイド:水酸化鉄Ⅲの水溶液
分散質:水酸化鉄Ⅲ
分散媒:水
コロイドの分類
*有機物と無機物、金属と非金属のように、あくまでも分類であるため重複しているものもある。
例 水酸化鉄Ⅲの水溶液は、ゾルであり、分散コロイドでもある。
★流動性による分類
流動性を持つ
→①コロイド溶液(ゾル):例 水酸化鉄Ⅲの水溶液
→②コロイド溶液(ゾル)を乾燥させたもの:例 ゼラチン
流動性がない
→③ゲル:例 シリカゲル
★粒子の構造による分類
通常は沈殿となる粒子が,少しだけ溶けてあまり大きくならずにコロイド粒子として分散しているもの
→分散コロイド:例 水酸化鉄(Ⅲ)
分子量が大きく,1分子でコロイド粒子になるもの
→分子コロイド:例 タンパク質,デンプン
多数の分子が集まった集合体(ミセル)でコロイド粒子になるもの
→会合コロイド(ミセルコロイド):例 せっけん
コロイドの性質(チンダル現象、ブラウン運動、透析、電気泳動)
★チンダル現象
コロイド溶液に強い光線を照射すると光の通路が明るく輝いて見える現象。
理由:コロイド粒子が大きく,光を散乱させるため
★ブラウン運動
コロイド粒子の不規則な運動をさす
理由:他の分子は温度によって熱運動をするが、コロイド粒子は大きいがゆえに、コロイド自身は熱運動はせず、他の分子の衝突によって不規則な運動をするため
★透析
コロイド粒子の大きさを利用した分離方法。
例 セロハンに入れた塩化鉄(Ⅲ)水溶液を、沸騰水に入れることで、塩化水素(H+とCl-)だけがセロハンを通過して、水酸化鉄(Ⅲ)のコロイド溶液がセロハン内に残って分離できる
★電気泳動
コロイド溶液に直流の電圧をかけると,コロイド粒子がどちらかの電極に移動する現象。
例 水酸化鉄(Ⅲ)はプラスの電気を帯びた正コロイド → 陰極側へ移動
親水コロイド・疎水コロイド
親水コロイドとは
分子内に多くの親水基を持ち,多くの水分子と水和しているコロイド粒子をさす。
例 タンパク質,デンプンなど有機化合物のコロイド
★塩析
親水コロイドに多量の電解質を加えていくと沈殿する現象
コロイドが水和している水分子が、加えた電解質にとられ、水分子をとられたコロイドは電解質の片方に中和されて析出・沈殿する。
疎水コロイドとは
親水性が弱く,ほとんど水和されていないコロイド粒子。
例 水酸化鉄(Ⅲ),粘土など無機化合物のコロイド
★凝析
疎水コロイドに少量の電解質を加えていくと沈殿する現象
*「疎水コロイドに少量の電解質を加えても凝析が起こらないようにするため」に加える親水コロイドを保護コロイドという。親水コロイドが疎水コロイドを取り囲むことで,少量の電解質では沈殿しなくなる。
例 にかわ(墨汁に加える親水コロイド)
★塩析・凝析と電解質の価数
電解質の価数が高いものほど、塩析・凝析の能力が高く、沈殿させやすい。
例 塩化ナトリウム(NaCl) 2mol と、 硫酸ナトリウム(Na2 SO4)1molであれば、2モルの塩化物イオンより、2価の硫酸イオンの方が能力が高い。
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化学反応とエネルギー