【入試・定期テスト対策】詩歌・短歌・俳句(形式、表現技法、句切れ、切れ字、枕詞、季語など)

テストによく出る人物と、その具体的な作品の解説一覧

随時追加予定

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詩歌・しいか(韻文・いんぶん)

詩の形式まとめ

口語:現代に使われている言葉(口語)で書かれた詩。
文語:昔に使われていた古い言葉(文語)で書かれた詩。例「~けり」

自由詩:音数に一定の決まりがない詩。
散文詩:「詩」は短く区切っているイメージだが、普通の文章(散文)のように文を続けて書く詩。
叙事詩:歴史上の事件や人物、神話などを客観的にうたった詩。
叙景詩:自然の風景などを写生的・客観的にありのままに描写する詩。
叙情詩:作者の感動や心情、メッセージが込められた詩。
定型詩:一定の決まり(七五調or五七調)がある詩。

*七五調はやわらかく流れるようなリズムを生み、「女性的」と言われる。
*五七調は重々しく力強いリズムを生み、「男性的」と言われる。

詩の表現技法一覧

擬人法:人間でないものを、人間がしたことのように表すこと。
倒置法:言葉の順序をかえて、意味を強調すること。
体言止め:文末を名詞で止めること。
直喩:「ようだ」「みたいだ」「ごとし」などの言葉を直接使って、たとえを表すこと。
隠喩(暗喩):「ようだ」「みたいだ」「ごとし」などの言葉を直接使わずに、たとえを表すこと。
対句:内容の対立する言葉や似た言葉、対照的な言葉などを並べること。
反復法(リフレイン):同じ言葉や、ほぼ同じ表現を二度以上繰り返して強調すること。
押韻:同じ響きの音を、行のはじめや終わりに置くこと。
呼びかけ:「ああ、自然よ」など呼びかけるような言葉や表現を用いて印象を強める。
省略法:「あなた…」など言葉をわざと省き、すべてを言いきらずに文を終えることで、余情を残すこと。
中止法:文をいったん止めた形で表現し、余情を残す。

短歌

枕詞一覧

枕詞とは、それ自体は直接の意味を持たず、ある特定の言葉にかかることばのこと。

茜さし (あかねさし) ⇒照る
茜さす (あかねさす) ⇒日・昼・紫・君
秋津島 (あきつしま) ⇒大和
梓弓(あづさゆみ) ⇒引く・張る(春)・射る・音
足引きの (あしひきの/あしびきの) ⇒山・峰
天離る (あまざかる) ⇒日・鄙(ひな)・向かふ
雨衣 (あまごろも) ⇒みの
新玉の (あらたまの) ⇒年・月・日
青丹よし (あをによし)⇒奈良
石の上 (いそのかみ) ⇒降る・古る
石走る (いはばしる) ⇒垂水(たるみ)・滝
空蝉の(うつせみの) ⇒命・世・人・命
烏羽玉の (うばたまの) ⇒黒・夜・夢・やみ
神風の (かむかぜの・かみかぜの) ⇒伊勢
唐衣 (からころも) ⇒着る・裁つ・かへす・紐・裾
草枕 (くさまくら) ⇒旅・度(たび)・結ぶ、結ふ・夕(ゆふ)
小波の・小波や (さざなみの・さざなみや) ⇒近江(あふみ)・大津・比良・寄る・夜・あやし
敷島の (しきしまの) ⇒大和
白妙の (しろたへの) ⇒衣・袂・紐・帯・袖・たすき・雲・雪
空に満つ (そらにみつ) ⇒大和
高照らす (たかてらす) ⇒日
玉の緒の (たまのおの) ⇒長き・短き・絶え・乱れ・継ぐ・惜し
垂乳根の (たらちねの) ⇒母・親
千早振る (ちはやぶる) ⇒神・宇治・氏(うぢ)
射干玉の (ぬばたまの) ⇒黒・夜・夕べ・夢・月・髪
柞葉の (ははそばの) ⇒母
春日の (はるひの) ⇒かすが
久方の (ひさかたの) ⇒天(あめ、あま)・雨・月・空・光
水鳥の (みずとりの) ⇒立つ・うき
八雲さす (やくもさす)八雲立つ (やくもたつ) ⇒出雲(いずも)

柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)

飛鳥時代ごろ(天武・持統・文武天皇のころ)の歌人。

ひさかたの…枕詞で「天」を導く
天(あま)の香具山(かぐやま)…奈良県にある丘
このゆふべ
霞(かすみ)たなびく
春立つらしも…立春(2月4日ごろ)

★歌の意味
天の香具山に
今日の夕方はじめて霞(春、野山にただようもやのこと)がかかっている。
ああ、これでいよいよ春になったようだ。

有間皇子(ありまのみこ)

家にあれば
笥(け)に盛る飯を …笥とは、物をいれる器のこと。
草枕 …枕詞で旅を導く
旅にしあれば
椎(しひ)の葉に盛る

家にいると器によそうご飯を、今は旅の途中なので椎の葉に盛ります。

与謝野晶子

金色の …銀杏の葉は扇形をしており、美しく黄葉することから短歌によく出てくる。
ちひさき鳥の …小さし
かたちして
銀杏ちるなり …「~なり」と終止形になっているので、四句切れ。
夕日の岡に

まるで金色の小さな鳥が舞うように
銀杏の葉が散っています
夕日に照らされて輝く岡に

北原白秋(きたはら はくしゅう)

明治期から昭和前期にかけて活躍した詩人・歌人。

病める児(こ)は
ハモニカを吹き
夜に入りぬ
もろこし畑の
黄なる月の出

病気の子供が
ハーモニカを吹く
その音を聞いていると
いつの間にか夜になってしまった
トウモロコシ畑の上に
黄色い月が東から昇って出ている

斎藤茂吉

大正から昭和前期にかけてのアララギの中心人物、精神科医。

彼岸(かのきし)に
何(なに)をもとむる
よひ闇(やみ)の
最上川(もがみがわ)のうへ(え)の
ひとつ蛍(ほたる)は

★歌の意味
月がまだ出ない夜の初めの時分のときに、蛍は、山形県を流れる最上川の、の向こう岸に(あの世を意味するヒガンを含意)、何を求めて飛んでいくのだろうか。
背景:斎藤茂吉が、終戦の翌年、自分の死を身近に感じながら、彼岸に向かっていく蛍にと自分自身の姿とを重ねて詠まれたといわれている。

俳句

俳句の切れ字一覧(切字十八箇条)

★切れ字 18個
「かな」「もがな」「ぞ」
「か」「や」「よ」
「けり」「ず」「じ」
「ぬ」「つ」「らむ」
「け」「せ」「へ」
「れ」「し」「いかに」

松尾芭蕉

櫓(ろ)の声波をうって
腸(はらわた)氷(こお)る
夜(よ)や涙

川を往来する舟の櫓を漕ぐ波の声が
はらわたが凍り付くような夜
あまりに寒くて涙が出そう

道のべの
木槿(むくげ)は馬に
食はれけり

道ばたの
むくげの花が咲いていたが
眺めるより早く、その花は馬に食われてしまったよ。