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【大学入試】化学《電池と電気分解》重要語句と典型問題まとめ・総チェック

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【大学入試】化学~目次一覧~

第1編 物質の状態
粒子の結合と結晶の構造
物質の状態変化
気体 
溶液 

第2編 物質の変化
化学反応とエネルギー 
電池と電気分解 ⇒現在はここのページ
化学反応の速さとしくみ
化学平衡

第3編 無機物質
非金属元素
金属元素Ⅰ 典型元素
金属元素Ⅱ 遷移元素

第4編 有機化合物
有機化合物の分類と分析
脂肪族炭化水素
アルコールと関連化合物
芳香族化合物

第5編 高分子化合物
天然高分子化合物
合成高分子化合物

計17章ほど

化学《電池と電気分解》重要語句と典型問題まとめ・総チェック

【高校化学】一次電池と二次電池の覚えるべき具体例一覧

電池とは

★電池とは
金属の性質を利用し、酸化還元反応(電子のやりとり)による化学エネルギーを電気エネルギーに変えて取り出す装置

酸化剤と還元剤を離れた場所で反応させることができれば,その距離を電子が移動するため,電流を取り出すことができる。

★電池の仕組み
まず、イオンになりやすい金属から電子が放出される。
電子が放出された金属の側は負極となる。
次に放出された電子が、正極側へ移動し、水溶液中の陽イオンと反応する。

★活物質(反応に関与する物質のこと。)
結局、電池内では、①イオンになりやすい金属、②水溶液中の陽イオンだけが反応している。

★起電力
イオン化傾向の差が大きい組み合わせを使うと起電力も大きくなる。

【化学基礎】酸化還元反応(金属の反応性とイオン化傾向の関係)

ダニエル電池とは

【化学】ダニエル電池の仕組み

★ダニエル電池とは
負極(イオン化傾向が大きい)に亜鉛と硫酸亜鉛水溶液、正極に銅と硫酸銅水溶液を使った電池のこと。
負極と正極の水溶液の間には「素焼き板(イオンは何もしなければ通れない程度の穴が開いている板。強い引き付ける力があるとイオンは通る。)」で仕切られている。

★ダニエル電池を記号で表したもの
(−)Zn|ZnSO4 aq | CuSO4 aq|Cu(+)

負極の変化 (−)Zn → Zn2+ + 2e−
正極の変化 (+)Cu2+ + 2e− → Cu

★ダニエル電池の仕組み
まず、イオンになりやすい亜鉛から電子が放出される(電子を失った亜鉛イオンZn2+ が生じる)。
電子が放出された亜鉛の側は負極。
次に放出された電子が、正極側へ移動し、硫酸銅水溶液中の陽イオン(Cu2+)と反応し銅が析出する。
正極側で、銅が析出することで、硫酸銅水溶液中の陰イオン(SO4 2-)の割合が大きくなる
水溶液の電気的中性を保つために、素焼き板を通って、
正極の陰イオン(SO42-)は、負極側へ
負極の陽イオン(Zn2+)は、正極側へ移動する

★ダニエル電池を長持ちさせるには
まず亜鉛イオンがたくさん溶かすために、硫酸亜鉛水溶液の濃度を小さくしておく。
また、亜鉛イオンが放出した電子をたくさん受け取るために、正極の水溶液の銅イオンの濃度を大きくしておく。
以上より、負極(濃度小)と正極(濃度大)の濃度差を大きくすると電池が長持ちする。

ファラデーの法則

★ファラデーの法則
電極で変化する物質の物質量は,流れた電気量に比例する。

★ファラデー定数F(C/mol)
電子1molあたりの電気量の絶対値をさす。
その絶対値は、9.65×10^4 C/mol と言われている。
*電子1molあたり(6.0×10^-23個)で、9.65×10^4 C(クーロン)の電気が流れる、これが限界値(絶対値)という意味。

★電気量とは
単位はC(クーロン)
1Cは、1Aの電流が1秒間に運ぶ電気量をさす。
つまり、クーロンC=電流A×秒数 で求められる。

【化学】ファラデー定数Fとは

鉛蓄電池とは

【高校化学】鉛蓄電池のしくみ

★鉛蓄電池とは
負極(イオン化傾向が大きい)鉛 Pb
正極に酸化鉛 PbO2
水溶液に希硫酸 H2SO4aq
を使ったもの。

なぜ2種類の金属に鉛と酸化鉛を使っているのか?
鉛と酸化鉛のイオン化傾向を考えると、同じ鉛であるため、比較できないことから問題となる。
しかし、酸化数で考えると、鉛が単体なので0、酸化鉛が酸素-4なので鉛は+4
同じ鉛なので真ん中で酸化数が落ち着こうとすることから、
鉛が電子を放出して、+2に落ち着く
酸化鉛は電子を-2受け取り、+4-2=+2で落ち着く。

なぜ水溶液に希硫酸を使うのか?
Pb2+ は H2SO4aq 中の SO42 −と沈殿を作り,PbSO4 として電極に貼り付いて析出するので、逆反応(充電)を起こしやすいから。

★鉛蓄電池を記号で表したもの
(−)Pb|H2SO4aq|PbO2(+)

負極の変化 (−)Pb + SO42 − → PbSO4 + 2e −
正極の変化 (+)PbO2 + SO42 − + 4H+ + 2e − → PbSO4 + 2H2O
全体 Pb + PbO2 + 2H2SO4 → 2PbSO4 + 2H2O

*計算問題のポイント
電子が2個に対して、それぞれの係数比を考える。

復習~半反応式の作り方~

まず、反応物と生成物だけ書く
正極の変化 PbO2 + SO42 − → PbSO4

次に酸素原子の数を水でそろえる。
左辺が酸素原子6で、右辺が4なので、右辺に水分子を2つ加えてそろえる
正極の変化 PbO2 + SO42 − → PbSO4 + 2H2O

さらに、水素原子を水素イオンでそろえる。
右辺に水素4つで、左辺に水素0なので、左辺に水素イオンを4つ加える
正極の変化 PbO2 + SO42 − + 4H+ → PbSO4 + 2H2O

最後に電荷を電子でそろえる
左辺は+2、右辺は0なので、左辺に電子を2つ加える
正極の変化 (+)PbO2 + SO42 − + 4H+ + 2e − → PbSO4 + 2H2O

これで半反応式が完成。

【高校化学】鉛蓄電池の計算例題

燃料電池とは

★燃料電池とは
物が燃える(+O2)ときには熱エネルギーが放出されるが、それを電気エネルギーに変えて取り出す装置を燃料電池という
負極で生じる H+ が電解液中を移動し,正極の反応に利用される。

★燃料電池を記号で表したもの
(−)H2 |H3PO4aq|O2(+) 

負極の変化 (−)H2 → 2H+ + 2e −
正極の変化 (+)O2 + 4H+ + 4e − → 2H2O
全体 H2 + O2 → H2O ΔH =− 286kJ/mol

【高校化学】燃料電池のしくみ《負極が水素、正極は酸素》

リチウムイオン電池

起電力が大きく(約 4.0V),スマホやノートパソコンなどに幅広く利用されている。
負極と正極の間をリチウムイオン Li+ が移動して充放電が起こる。

電気分解

★電気分解とは
電池(直流電源)を利用し,電子を強制的に流して酸化還元反応を起こす。

★電気分解では、正極ではなく陽極という言葉を使う、というルール点に注意
陽極:電池の正極とつながっている極
陰極:電池の負極とつながっている極

電池では、正極では電流が流れる側であり、電子の流れはその逆となっている。(負極が電子が流れ出る側)
電気分解では、電子が流れ出る側を陽極として、陰極を電子を受け取る側となって、逆になっている。

【高校化学】電気分解(正極と陽極の違い、負極と陰極の違い)

★電気分解の各極の反応式を書くポイント
まず、各極のパターン優先順位が言えるかどうか暗記する。
次に、細かい係数やらが書けるかどうかチェック。

【高校化学】電気分解(正極と陽極の反応式の書き方のコツ)

陰極の反応(電池の負極とつながれて強制的に電子を受け取る側)

*まず、電池から強制的に電子が送られてくるので、電子を受け取る陰極から先に考える。

陰極では,電池の負極から送られてくる電子を処理(受け取る)反応,すなわち還元反応が進行する。
誰が電子を処理できるのか?

★パターン優先順位
①水溶液中の陽イオン(重金属)が電子を受けとる
例 硫酸銅水溶液、塩化銅水溶液など
*イオン化傾向 Zn 以下のイオンであれば電子を受け取る(重金属 Zn Fe Ni Sn Pb H Cu Hg Pt Au :あてにすんなひどすぎ借金)
*逆にイオン化傾向が大きいと、イオンになりたがるので電子を受け取らない

②水溶液中のH+が電子を受けとる
例 硫酸など

③水が電子を受け取る
例 2H2O + 2e − → H2 + 2OH−
*水が電子を受け取ると水素と水酸化物イオンができる

陽極の反応(電池の正極とつながれて強制的に電子を放出する側)

*陰極が電池から電子を受け取ると、電子の流れから陽極が電子の放出が強制される。

陽極では,電子を放出する反応,すなわち酸化反応が進行する。
誰が電子を放出できるのか?

★パターン優先順位
①陽極で使われている金属が電子を放出
例 銅の電極
イオン化傾向が大きい金属なら喜んでイオンを放出してくれる
*イオン化傾向 が小さい金Auや白金Ptの場合は、例外的に電子を放出しにくい
*そもそも陽極で使われているのが金属ではない、炭素棒だった場合はもちろん電子を放出しない

②水溶液中の陰イオンがハロゲンが電子を放出
例 塩化銅水溶液の塩素
*ハロゲン化物イオン、2X− → X2 + 2e −

③水酸化物イオンがあれば、OH-が電子を放出
例 水酸化ナトリウム水溶液 4OH- → O2 + 2H2O +4e−
*OH-が電子を放出すると酸素と水ができる

③水が電子を放出
例 2H2O → O2 + 4H+ +4e-
*水が電子を放出すると酸素ができる

電気分解の工業的利用

水酸化ナトリウムの製造(陽イオン交換膜法)

なぜ工業的に水酸化ナトリウムが作られているか?
水酸化ナトリウムは、水に溶けると強塩基性を示すことから、食品添加物としてのpH調整剤などに使われている。

★電気分解によって水酸化ナトリウムを生成する
陽極:電極 C,NaClaq
両極の電解液を陽イオン交換膜で仕切る
陰極:電極 Fe,希薄な NaOHaq

★陰極側(電子を受け取る側)について
水溶液中には重金属もH+も存在しないので、水が電子を受け取ることになる
2H2O + 2e − → H2 + 2OH −

*希薄な NaOHaqを使用する理由
陰極で反応するのは H2O なので,陰極の電解液は H2O のみで良いはずである。しかし,H2O はほとんど電離しておらずイオンが極めて少ない。よって,少量の NaOH を加えて電流を流れやすくしている。

★陽極側(電子を放出する側)について
炭素棒を使っており溶けて電子を放出してくれる金属が存在しないが、水溶液中にハロゲン化物イオンがいるので、この塩化物イオンが電子を放出することになる
2Cl− → Cl2 + 2e −

★陽イオン交換膜とは?
陽イオンだけ膜を通過させるために、膜がマイナスに帯電しており、陰イオンを寄せ付けないようになっている。

この膜によって、Na+ が陽極側から陰極側に移動することができ、陰極側でNaOH が生成する。

【高校化学】電気分解の工業的利用(水酸化ナトリウム)

アルミニウムの製造(溶融塩電解、融解塩電解)

【高校化学】電気分解の工業的利用(アルミニウム)

★電気分解によってアルミニウムを生成する
電極:両極とも C
電解液:Al2O3 融解液(+氷晶石 Na3AlF6)

★陰極側(電子を受け取る側)について
本来であれば、水溶液中の陽イオン(重金属)があるかどうかをチェックしていくが、
そもそも水溶液ではない。
融解液なので水が存在していない。
融解液中に、H+も存在しない。
よって、融解液に存在する軽金属(アルミニウムイオン)が電子を受け取って析出する。
Al3+ + 3e − → Al

溶融塩電解(融解塩電解)とは
そもそも融解液とは、水に溶かした液体(水溶液)ではなく、文字通り、その物質を熱で溶かして液体にしたものをさす。
金属を溶かすには多くの熱エネルギーが必要(2000度くらい)だが、氷昌石を混ぜることで、凝固点降下によって、低い温度で(1000度くらい)金属の固体を液体にすることができる。
凝固点降下とは(復習):氷を早く溶かすために塩をかけるのと同じように、粒の数を増やすことで圧力を下げることでき、溶けやすくすることができる。
*軽金属(イオン化傾向の大きい順でアルミニウムまで:Li K Ca Na Mg Al)の製造は、この溶融塩電解による。

★陽極側(電子を放出する側)について
陽極で使われているのがイオンになって電子を放出しやすい金属ではなく炭素棒である
次に融解液中にハロゲン化物イオンがなく、OH-も存在しない
溶解液中の酸化物イオンが電子を放出することになる。ただ、一酸化炭素や二酸化炭素が生成される点に注意。
C + O2 − → CO + 2e −
C + 2O2 − → CO2 + 4e −

銅の電解精錬

電解精錬とは
電解は電気分解のこと。精錬は不純物を取り除くこと。

自然界として鉱山で得られる銅(黄銅鉱 CuFeS2)から単体の銅(粗銅)を取り出しても、まだ不純物が多い。
そこで、電気分解を使って、不純物を取り除いた純銅にしていく。

★電気分解によって銅を生成する
陽極:電極 粗銅(Cu Zn Agだとする),
陰極:電極 純銅,
電解液:硫酸酸性の硫酸銅(Ⅱ)CuSO4 水溶液

★陽極側(電子を放出する側)について
粗銅が不純物を含むCu Zn Agだとすると、イオン化傾向の大きいZn から水溶液中に溶け始める。
次にイオン化傾向の大きいCu も溶け始める。
最後にイオン化傾向が1番小さいAg は溶けずに、下へ単体として落ちる(陽極泥)。
Cu → Cu2+ + 2e −

★陰極側(電子を受け取る側)について
水溶液中にZn2+ も、Cu2+ も重金属(Zn Fe Ni Sn Pb H Cu Hg Pt Au :あてにすんなひどすぎ借金)のイオンが存在するが、
イオン化傾向の大きいZn2+ 電子を受け取りにくく、よりイオン化傾向の大きい小さいCu2+ が電子を受け取り、電極の純銅に析出する。
*Zn2+ が電子を受け取りにくいといえども、電子を受け取る可能性があるため、電子を過大に送らないように電気分解の電圧を低電圧にする。
Cu2+ + 2e − → Cu

電気分解の計算のコツ

★電気分解の計算のコツ
①まず電極の変化の式がスラスラ書けることから始まる
②電極の式の係数比によって、物質の物質量は「流れた e −の何倍か」で表せる
③ファラデーの法則を理解していること(ファラデー定数F(C/mol)=9.65×10^4=電流A×時間秒/モル)
④電解装置の図を与えられたとき,一番最初に「電池」が探せること

【高校化学】電気分解の計算のコツ

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