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住宅瑕疵担保履行法の資力確保措置
住宅瑕疵担保履行法は、新築住宅の売主となる宅建業者に対し、資力確保措置を講じることを義務づけている。
新築住宅とは
建設工事完了の日から起算して1年を経過しておらず、かつ人の居住の用に供したことがないもの。
瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)とは、
売買契約の目的物に隠れた欠陥(瑕疵)が見つかったとき、売主が買主に対して負う責任のこと
*2020年4月の民法改正により、現在の民法では「契約不適合責任」という名称に変更
住宅品質確保法による瑕疵担保責任とは
民法を修正し、住宅のうち構造耐力上主要な部分等の瑕疵について、10年間の瑕疵担保責任を負うというもの
資力確保措置の義務者:
新築住宅の売主である宅建業者(住宅瑕疵担保履行法2条6項)
ただし、買主が一般消費者の場合に限る(買主が宅建業者の場合は、売主の宅建業者に資力確保の義務はない)
資力確保措置とは
「住宅販売瑕疵担保保証金の供託」又は「住宅販売瑕疵担保責任保険への加入」のいずれかを行うというもの
買主に対する説明
重要事項の説明(35条1項13号)
宅建業者は、建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保険契約の締結その他の措置を講じるかどうか、及びその措置の概要について、契約の締結前に、重要事項として説明を行う(35条1項13号)。
37条書面の任意的記載事項(37条1項11号)
宅建業者は、瑕疵担保責任の履行に関して講ずべき措置の定めについて、37条書面に記載し、交付しなければならない(37条1項11号)。
宅建業者による供託所の所在地等に関する説明(住宅瑕疵担保履行法15条)
供託宅建業者は、自ら売主となる新築住宅の買主に対し、その新築住宅の売買契約を締結するまでに、その住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしている供託所の所在地その他住宅販売瑕疵担保保証金に関する一定の事項について、これらの事項を記載した書面等を交付して説明しなければならない(住宅瑕疵担保履行法15条2項、10条2項)。
住宅販売瑕疵担保保証金の供託
宅建業者は、毎年、基準日(3月31日)から3週間を経過するまでの間において、当該基準日前10年間に自ら売主となる売買契約に基づき買主に引き渡した新築住宅について、当該買主に対する特定住宅販売瑕疵担保責任の履行を確保するため、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしていなければならない(住宅瑕疵担保履行法11条1項)
この供託をしている宅建業者(供託宅建業者)が特定住宅販売瑕疵担保責任を負う期間内に、住宅品質確保法に規定する隠れた瑕疵によって生じた損害を受けた新築住宅の買主は、その損害賠償請求権に関し、供託宅建業者が供託をしている住宅販売瑕疵担保保証金について、他の債権者に先立って弁済を受けることができる(住宅瑕疵担保履行法14条1項)。
供託する場所
*営業保証金の供託の話とほぼ似ている。
宅建業者の主たる事務所の最寄りの供託所(住宅瑕疵担保履行法11条6項)。
供託の方法
・金銭
・国債証券
・地方債証券
・その他の国土交通省令で定める有価証券
をもって、供託に充てることができる(住宅瑕疵担保履行法11条5項、施行規則11条、15条)
【有価証券の評価額】
国債証券:100分の100
地方債証券・政府保証債証券:100分の90
上記以外の有価証券:100分の80
供託の額
10年間の販売新築住宅戸数の数に応じて決まる(住宅瑕疵担保履行法11条2項、3項、別表)。
合計戸数の注意点
床面積55㎡以下は2戸で1戸とする
供託の届出
新築住宅を引き渡した宅建業者は、基準日ごとに、基準日から3週間以内に、その基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託の状況について、その免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事(信託会社等にあっては、国土交通大臣)に届け出なければならない(住宅瑕疵担保履行法12条1項、施行規則16条1項)。
供託の届出をしない場合
新築住宅を引き渡した宅建業者は、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をし、かつ、それに関する免許権者への届出をしなければ、その基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後においては、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結してはならない(住宅瑕疵担保履行法13条本文)。
引っ越しに伴い最寄りの供託所が変更になった場合の保管替え請求・二重供託
保証金を金銭のみで供託している場合:保管替え請求
主たる事務所を移転したため最寄りの供託所が変更したときは、遅滞なく、保証金の供託をしている供託所に対して、費用を予納したうえで、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への保証金の保管替えを請求しなければならない(住宅瑕疵担保履行法16条、8条1項)。
保証金を有価証券のみ・金銭と有価証券により供託している場合:二重供託
主たる事務所を移転したためその最寄りの供託所が変更したときは、遅滞なく、その保証金の額と同額の保証金の供託を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所にしなければならない(住宅瑕疵担保履行法16条、8条2項前段)。
この供託をしたときは、移転前の主たる事務所の最寄りの供託所に供託をしていた住宅販売瑕疵担保保証金を取り戻すことができる(住宅瑕疵担保履行法16条、8条2項後段)。
一般消費者が損害を受けた場合の還付手続き
住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしている宅建業者(供託宅建業者)が特定住宅販売瑕疵担保責任を負う期間内に、住宅品質確保法に規定する隠れた瑕疵によって生じた損害を受けた新築住宅の買主は、その損害賠償請求権に関し、その供託宅建業者が供託をしている住宅販売瑕疵担保保証金について、他の債権者に先立って弁済を受けることができる(住宅瑕疵担保履行法14条1項)。
還付を受けることができる場合は、次の場合に限定(住宅瑕疵担保履行法14条2項)
① 損害賠償請求権について債務名義を取得した場合
② 損害賠償請求権の存在及び内容について当該供託宅建業者と合意した旨が記載された公正証書を作成したとき等
③ 供託宅建業者が死亡した場合その他当該損害の賠償の義務を履行することができず、又は著しく困難である場合等において、権利を有することについて国土交通大臣の確認を受けたとき
還付された場合の不足額の供託・届出
住宅販売瑕疵担保保証金の還付その他の理由により、保証金が基準額に不足することとなった場合、宅建業者は、国土交通大臣から不足額の通知を受けた日から2週間以内に、その不足額を供託しなければならない(住宅瑕疵担保履行法16条、7条1項、住宅建設瑕疵担保保証金及び住宅販売瑕疵担保保証金に関する規則28条、12条)。
そして、不足額を供託した場合、宅建業者は、供託した日から2週間以内に、その免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない(住宅瑕疵担保履行法16条、7条2項、施行規則22条、10条)。
廃業など取戻し
供託宅建業者又は宅建業者であった者若しくはその承継人で住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしているものは、基準日において保証金の額がその基準日に係る基準額を超えることとなったときは、その超過額を取り戻すことができる(住宅瑕疵担保履行法16条、9条1項)。
ただし、供託宅建業者又は宅建業者であった者がその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事の承認を受けなければ、取り戻すことができない(住宅瑕疵担保履行法16条、9条2項、施行規則22条、12条)。
住宅販売瑕疵担保責任保険への加入
保険契約となるための要件
資力確保措置として認められる「住宅販売瑕疵担保責任保険契約」とは、以下に掲げる要件に適合する保険契約をさす(住宅瑕疵担保履行法2条6項)。
① 宅建業者が保険料を支払うことを約するものであること
② 保険の引受けを行う者が、次に掲げる事項を約して保険料を収受するものであること
・住宅品質確保法の規定による担保の責任(特定住宅販売瑕疵担保責任)に係る新築住宅に同項に規定する隠れた瑕疵がある場合において、宅建業者がその特定住宅販売瑕疵担保責任を履行したときに、宅建業者の請求に基づき、その履行によって生じた宅建業者の損害をてん補すること
・特定住宅販売瑕疵担保責任に係る新築住宅に住宅品質確保法に規定する隠れた瑕疵がある場合において、宅建業者が相当の期間を経過してもなおその責任を履行しないときに、新築住宅の買主(宅建業者であるものを除く)の請求に基づき、その隠れた瑕疵によって生じた買主の損害をてん補すること
③ 上記②の損害をてん補するための保険金額が2,000万円以上であること
④ 新築住宅の買主が売主である宅建業者からその新築住宅の引渡しを受けた時から10年以上の期間にわたって有効であること
⑤ 国土交通大臣の承認を受けた場合を除き、変更又は解除をすることができないこと
⑥ 上記①~⑤のほか、その内容が②の宅建業者及び②の買主の利益の保護のため必要なものとして国土交通省令で定める基準に適合すること
宅建業者の故意・重大な過失
本来は、故意・重過失があると保険金が支払われることはないが、買主保護のために修正されている。
新築住宅の瑕疵が売主である宅建業者の悪意・重大な過失に起因する場合であっても、宅建業者の倒産等により相当の期間を経過しても瑕疵担保責任が履行されないときは、買主に対して、保険金が支払われる(施行規則2条2号イ参照)。
保険の締結の届出
新築住宅を引き渡した宅建業者は、基準日ごとに、その基準日に係る住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について、基準日から3週間以内に、その免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事(信託会社等にあっては、国土交通大臣)に届け出なければならない(住宅瑕疵担保履行法12条1項、施行規則16条)。
保険の締結・届出をしない場合
新築住宅を引き渡した宅建業者は、保険に加入し、かつ、保険の締結の届出をしなければ、当該基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後においては、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結してはならない(住宅瑕疵担保履行法13条1項本文)。