【大学入試】化学基礎④《酸と塩基》重要語句と典型問題まとめ・総チェック

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【大学入試】化学基礎~目次一覧~

1,物質の構成と化学結合
A 物質の構成
B 物質の構成粒子
C 粒子の結合

2,物質の変化
A 物質量と化学反応式
B 酸と塩基の反応 ⇒現在はここのページ
C 酸化還元反応、電池と電気分触 

【大学入試】化学基礎④《酸と塩基》重要語句と典型問題まとめ・総チェック

酸とは、塩基とは

→アレーニウスの定義(水溶液)
酸 :水溶液中で水素イオン H+ を生じる物質
塩基:水溶液中で水酸化物イオン OH -を生じる物質

→ブレンステッド・ローリーの定義(水溶液以外)
酸 :水素イオン H +を与える物質
塩基:水素イオン H +を受け取る物質

→オキソニウムイオンとは

アレーニウスによる定義だと、水溶液中でH+を生じる物質のことを酸と呼ぶが、

そもそもH+は、電子が存在しないという不安定な物質である。
よってH+は、水の中でそのままH+のままで存在しているわけではなく、オキソニウムイオンという形で存在している。

例 塩酸
HCl → H+ + Cl-
↑この表記は水素イオンの不安定な状態なので、正確ではない。

↓正しくは、水素イオンは、オキソニウムイオンの状態で水の中に存在。
HCl + H2O → H3O+ + Cl-

【化学基礎】酸と塩基の判別

【化学基礎】酸と塩基の判別

酸化物とは

酸化物とは、酸素とくっついた化合物をさす。

酸性酸化物とは
水と反応して酸(H+)を生じるものをさす。
酸(H+)を生じない場合であっても、塩基と反応して塩を生じさせるものもさす。

塩基性酸化物とは
水と反応して塩基(OH-)を生じるものをさす。
塩基(OH-)を生じない場合であっても、酸と反応して塩を生じさせるものもさす。

【化学基礎】酸化物とは(酸性酸化物、塩基性酸化物)

【化学基礎】酸化物とは(酸性酸化物、塩基性酸化物)

【化学基礎】酸化物とは(酸性酸化物、塩基性酸化物)②

【化学基礎】酸化物とは(酸性酸化物、塩基性酸化物)②

酸と塩基の価数とは

酸の価数:酸がもっている水素イオン H +の数
塩基の価数:塩基がもっている水酸化物イオン OH -の数

基本的に化学式をみると価数も数えればわかるが、注意が必要なものが以下。

★二酸化炭素 CO2(2 価の酸)
水中で炭酸 H2CO3 となるため,2 価の酸
CO2 + H2O ⇄ H2CO3
★アンモニア NH3(1 価の塩基)
水中で OH -を 1 個生じるため,1 価の塩基
NH3 + H2O ⇄ NH4+ + OH-
★CH3COOH
化学式中には H 原子が合計 4 つあるが,H +になる H 原子は 1 つなので 1 価の酸 CH3COOH ⇄ CH3COO- + H+

電離度αとは(強酸・強塩基・弱酸・弱塩基)

電離度とは、溶解している酸・塩基の物質量に対する,電離している酸・塩基の物質量の割合のこと。

ほぼ全てが電離している、すなわち電離度α≒1(100%)の酸・ 塩基のことを、強酸・強塩基という。

◎暗記する強酸・強塩基
※「覚えた強酸・強塩基」以外は弱酸・弱塩基と判断。
※強酸・強塩基は,完全に電離してイオンになるため反応式では「→」で表記する

強酸
硫酸 H2SO4
塩酸 HCl
硝酸 HNO3

強塩基
水酸化カリウム KOH
水酸化ナトリウムNaOH
水酸化バリウム Ba(OH)2
水酸化カルシウム Ca(OH)2

◎弱酸・弱塩基は,電離しにくくイオンどうしがくっつく反応(電離の逆反応)も進行するため,反応式では「⇄」で表記する

例 アンモニア(弱塩基)
NH3 + H2O ⇄ NH4 + + OH –

水のイオン積とは

水自身が電離するイオン式は以下。
H2O⇄H+ +OH-
※H +と OH -は等量生じるため(係数 1:1),H +と OH -のモル濃度は等しい。

もっとも、水素イオンは電子がない状態で不安定であるから、ほぼ電離はしない。

どのくらい電離していないかというと、その割合は、
水25°Cの電離度α =1.8 × 10 – 9(1.8 × 10 – 11 %)

割合%ではなく、モル濃度で表現すると
水25°Cで[H+]と[OH-]はともに1.0×10-7(mol/L)しか溶けない。

これらをかけ算を考えてみる。
これを水のイオン積 Kw と呼ぶ。
つまり、
[H+]✖️[OH-]
=1.0×10-7 ✖️1.0×10-7
=1.0 × 10 – 14(mol2/L2)

これらの数字は、25°Cである限りどんな水溶液でも成立する。
つまり、水に何かを加えて[H+]と[OH-]の濃度バランスを崩したとしても、
かけ算した結果の、[H+]✖️[OH-]=1.0 × 10 – 14(mol2/L2)が一定に保たれる。

例えば、水に酸性を何かを加えると[H+]が大きくなるので[OH-]は減ることになる。総じてかけ算結果が同じになる。

これを利用して水溶液が酸性か塩基性か判断できる。以下

水溶液の中性、酸性、塩基性とは

水はもちろん中性である。

具体的な数字で
水自身の電離によって、
H2O⇄H+ +OH-

水の中の水素イオン濃度は、
水25°Cで[H+]=1.0×10-7(mol/L)しか溶けない。
これを中性とする。

とすると、これ以上水素イオンが溶けていれば酸性で、溶けていなければ塩基性と判断できる。
[H + ] = 1.0 × 10 – 7(mol/L)のとき → 中性
[H + ] > 1.0 × 10 – 7(mol/L)のとき → 酸性
[H + ] < 1.0 × 10 - 7(mol/L)のとき → 塩基性

水素イオン濃度の求め方

具体的にどのくらい酸性か、水素イオン濃度 [H + ] の求め方は、以下の3つの要素を掛け算すれば良い。

加える水溶液全体のモル濃度 C(mol/L)
加える水溶液の水素イオンの数 価数m
どのくらい水素イオンが溶けるか 電離度α

酸の水素イオンのモル濃度 [H + ] は
[H + ] = C × m × α

もし、塩基性水溶液の場合の、水素イオン濃度 [H + ] の求め方
まず水酸化物イオン濃度 [OH – ]を求めて
次に水のイオン積[H+]✖️[OH-]=1.0 × 10 – 14(mol2/L2)にちょうどなるように、そろえればよい。

pH(水素イオン指数)とは

pH(水素イオン指数)とは
水素イオンのモル濃度[H+] を,以下のようにわかりやすい表記で表したもの
[H+] = 1.0 × 10 - n(mol/L) → pH = n 

・pH = 7 のとき  →  中性
・pH < 7 のとき  →  酸性
・pH > 7 のとき  →  塩基性

*酸性雨とは
pH が5.6 より小さい酸性の雨。
雨水は,大気中の二酸化炭素CO2(酸)が溶解しているため,pH=5.6 程度の弱い酸性である。
しかし,化石燃料の燃焼により生じる硫黄の酸化物SOx や自動車の排ガスに含まれる窒素の酸化物NOx が雨水に溶けると,強い酸性の硫酸や硝酸に変化するため,雨水のpH は5.6 より小さくなる。

★酸や塩基の水溶液の希釈
水溶液を10倍に希釈すると,濃度が➗10されるため,pHは1変化する。
※pHは、7に近づき、「pH=7 を越えての変化」は起こらない。

pH指示薬

・フェノールフタレイン(PP)
→ 変色域 pH = 8.0 ~ 9.8 で無色から赤色に変化

・メチルオレンジ(MO)
→ 変色域pH=3.1~4.4で赤色から黄色に変化

中和反応とは

中和反応とは、酸と塩基の反応のこと。

水と塩が生成されるが、必ずしも水が生成されるわけではない。
例 塩化水素(気体)とアンモニア(気体)の中和反応
HCl + NH3 → NH4Cl

*水ができるときは、中和反応の化学反応式は、水の数を最初にそろえると良い。

塩とは

塩とは中和反応から生成されたもので、 「酸から生じる陰イオン」と「塩基から生じる陽イオン」からなるイオン結合の物質。

→イオン結合の物質なので、基本的に水に溶けて電離するが、例外としてAgCl のような沈殿もある。

酸性塩、塩基性塩、正塩とは
塩を化学式の見た目で判断した名称の分類。
※その名称と、塩が水溶液中で何性を示すかは一切関係ない。肺動脈と動脈血の違いみたいな感じ。

酸性塩 :酸の H が残っている塩
例 炭酸水素ナトリウム NaHCO3 ※塩基性

塩基性塩:塩基の OH が残っている塩
例 塩化水酸化銅(II)CaCl(OH)

正塩 :酸の H も塩基の OH も残っていない塩
例 塩化ナトリウム NaCl
例 酢酸ナトリウム CH3COONa※塩基性

塩の液性

塩の液性とは,塩が水に溶けたときに何性を示すかという問題

そもそも塩っていうのは、中和反応でできる物質なので、塩の化学式を見て、もともとの酸と塩基が何だったかを考える必要がある(暗記)

例 ナトリウムだったら、もともと水酸化ナトリウムだった(強塩基)

もともとのやつを思い浮かべたら

強い方に引っ張られる
強酸と弱塩基なら、酸性
強塩基と弱酸なら、塩基性

同じなら中性
強酸と強塩基→中性
ただし、Hが残っている塩なら酸性になる

★何が強酸で弱酸か?
→強酸と強塩基を暗記して、強酸じゃなかったら弱酸、強塩基じゃなかったら弱塩基って判断ができるように。

強酸
硫酸 H2SO4
塩酸 HCl
硝酸 HNO3

強塩基
水酸化カリウム KOH
水酸化ナトリウムNaOH
水酸化バリウム Ba(OH)2
水酸化カルシウム Ca(OH)2

中和点とは

中和点とは
酸と塩基が過不足なく反応する点。

中和反応の反応式より
H+ +OH- →H2O
H+の物質量 = OH-の物質量(モル比1:1)

H+とOH-のモルをそれぞれ1:1になるように考えるので価数も関係する。
つまり、
酸の物質量×価数 = 塩基の物質量×価数
となる点で中和する。

例 硫酸0.10molと過不足なく反応する水酸化ナトリウムの物質量は何molか?

0.10 × 2 = n × 1
n = 0.20(mol)

中和点の計算で、モル濃度mol/Lがヒントで出された場合

根本的に
H+の物質量 = OH-の物質量(モル比1:1)
の方程式が立てられればよいので、

モル濃度mol/Lのヒントは、モルに変換させればよい。
つまり、モル濃度✖️体積=モルに変換

例 0.10mol/Lの硫酸10.0mLと過不足なく反応する0.20mol/Lの水酸化ナトリウ ム水溶液は何 mL か。

0.10×10/1000×2=0.20×a/1000×1
a=10.0
10.0(mL)

中和点の計算で、質量パーセント濃度%がヒントに出された場合

根本的に
H+の物質量 = OH-の物質量(モル比1:1)
の方程式が立てられればよいので、

質量パーセント濃度%のヒントは、モルに変換させればよい。
つまり、
溶液のg →溶質のg→溶質のmolの手順

溶液の密度✖️体積=溶液の質量
溶液の質量✖️質量パーセント濃度=溶質の質量
溶質の質量➗分子量=モルに変換

例 10%の塩酸(密度1.2g/mL)10.0mLと過不足なく反応する8.0%の水酸化ナト
リウム水溶液 ( 密度 1.1g/mL) は何 mL か。ただし塩化水素の分子量は 36.5,水
酸化ナトリウムの式量は 40 とする。

1.2 × 10 × 10/100 ➗36.5 × 1 価
= 1.1 × a× 8/100 ➗40 × 1 価

a= 14.9

中和滴定、滴定曲線とは

中和滴定とは
濃度が正確にわかっている水溶液(標準溶液)で、濃度不明の酸や塩基を中和した体積mLから、中和点での量的関係を使って、未知の濃度を決定する操作のこと。

【化学基礎】中和滴定の実験の流れと実験器具の使い方

【化学基礎】中和滴定の実験の流れと実験器具の使い方

滴定曲線とは
中和滴定の実際をグラフにしたもので、
滴下した水溶液の体積をx軸
もともとのコニカルビーカー内の溶液 の pH の変化をy軸にしたもの

例 弱酸と強塩基
コニカルビーカーに酢酸を入れて、上から濃度を調べたい水酸化ナトリウムを滴下

化学反応式より
CH3COOH+NaOH
→H2O+CH3COONa (酢酸ナトリウム)

グラフは弱酸のPH3くらいからスタート
→中和が完了すると、酢酸ナトリウムという塩基性の正塩ができるのでPH8くらい
→滴下を続けると水酸化ナトリウムは強塩基なのでPH13くらいになる

滴定で使う指示薬は?
→中和で発生する塩の液性によって決まる

強酸と強塩基
塩の液性は中性→メチルオレンジも、フェノールフタレインも両方使える

弱酸と強塩基
塩の液性は塩基性→フェノールフタレインのみ使える

強酸と弱塩基
塩の液性は酸性→メチルオレンジのみ使える

弱酸遊離反応とは

*弱塩基遊離反応も同じ原理

そもそも、弱酸は、H+が電離しにくく、H+がくっつく反応(電離の逆反応)の方が強く進行する。
※反応式では「⇄」で表記する。

右矢印→は、H+が離れること
左矢印←は、H+がくっつくこと
←の方が強い

ここで、弱酸遊離反応とは、弱酸由来の塩がH+とくっついて、持っていた陽イオン(Na+など)を離してしまう反応をいう。

例 酢酸ナトリウムCH3COONaと塩酸HCl
CH3COONa + HCl → CH3COOH + NaCl

例 炭酸ナトリウム+塩酸
Na2CO3 + 2HCl → H2O + CO2 + 2NaCl
解説
弱酸はH+を電離しにくい(くっつきやすい)という性質上、弱酸である炭酸H2CO3ができる。
しかし、化学式は多く存在している方で表記をするというルールから、
炭酸
H2CO3⇄H2O➕CO2
※実際上、右辺の方が多く存在。つまり炭酸は水と二酸化炭素という形で多く存在。
よって、炭酸は、H2O➕CO2で表記する。

例 塩化アンモニウム+水酸化ナトリウム
NH4Cl + NaOH → NH3 + H2O + NaCl
NH3 + H2O⇄NH4+ + OH-
※アンモニアは弱塩基のため電離しにくいので、左辺の方が多く存在。化学式は左辺の形で表記

弱酸と弱塩基が生成されるので、代表的な弱酸と弱塩基を覚えておくと良い