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全体像~論点一覧~
基本的な流れ~実際の時系列~
宅建業法違反・不正行為等が発覚
↓
報告要求・立入検査・事実確認
↓
【処分前手続】
聴聞
★監督処分の相手方に意見を述べる機会を与える
★聴聞期日における審理は公開
↓
【監督処分】
指示・業務停止・免許取消
指示・事務禁止・登録消除
↓
【処分後の処理】
├─ 公告
├─ 免許権者・登録知事への通知
└─ 宅建士証の提出・返納
国土交通大臣や都道府県知事が、宅建業者や取引士が宅建業法の規定に違反した場合に行う処分のこと。
罰則とは
裁判官が出す命令のこと。
指導等・報告・検査
指導等
国土交通大臣はすべての宅建業者に対して、都道府県知事はその都道府県の区域内で宅建業を営む宅建業者に対して、宅建業の適正な運営を確保し、又は宅建業の健全な発達を図るため必要な指導、助言及び勧告をすることができる(71条)。
報告及び検査
国土交通大臣は、宅建業を営むすべての者に対して、都道府県知事は、その都道府県の区域内で宅建業を営む者に対して、宅建業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その業務について必要な報告を求め、又はその職員に事務所その他その業務を行う場所に立ち入り、帳簿、書類その他業務に関係のある物件を検査させることができる(72条1項)。
取引士に対する報告の求め
国土交通大臣は、全ての取引士に対して、都道府県知事は、その登録を受けている取引士及びその都道府県の区域内でその事務を行う取引士に対して、取引士の事務の適正な遂行を確保するため必要があると認めるときは、その事務について必要な報告を求めることができる(72条3項)。
聴聞
聴聞とは
行政機関が決定に先立ち、相手方に意見を述べる機会を与える手続のこと
監督処分をしようとする場合、国土交通大臣又は都道府県知事は、その処分の相手方となる宅建業者・取引士に対し、聴聞を行わなければならない(69条、行政手続法13条1項1号)。
なお、聴聞の期日における審理は、公開により行われる(69条2項、16条の15第5項)。
聴聞を行わなくてもよい場合
以下のような場合に、聴聞を行うことなく、監督処分として免許取消処分をすることがでる(67条)。
【聴聞を行うことなく免許取消処分ができる場合】
以下の①②のいずれかに該当し、官報又は都道府県の公報でその事実を公告し、その公告の日から30日を経過しても当該宅建業者から申出がないときは、当該宅建業者の免許を取り消すことができる
① 宅建業者の事務所の所在地を確知できないとき
② 宅建業者の所在(法人である場合においては、その役員の所在)を確知できないとき
宅建業者に対する監督処分
宅建業者に対する指示処分
指示処分とは
国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅建業者が「一定の事由(指示処分事由)」に該当する場合においては、その宅建業者に対して、必要な指示をすることができる(65条1項柱書)。
【指示処分事由】
① 業務に関し取引の関係者に損害を与えたとき又は損害を与えるおそれが大であるとき
② 業務に関し取引の公正を害する行為をしたとき又は取引の公正を害するおそれが大であるとき
③ 業務に関し他の法令に違反し、宅建業者として不適当であると認められるとき
④ 取引士が、監督処分を受けた場合において、宅建業者の責めに帰すべき理由があるとき
⑤ 宅建業法に違反したとき
⑥ 住宅瑕疵担保履行法の一定の規定に違反したとき
宅建業者に対する指示処分を行うことのできる者
免許権者、都道府県知事が指示処分をすることができる(65条1項柱書、3項)
都道府県知事が、
他の免許を受けた宅建業者に対し指示処分をした場合、遅滞なく、その旨をその宅建業者の免許権者に通知しなければならない(70条3項)
国土交通大臣が、
宅建業者に指示処分をした場合、遅滞なく、その宅建業者の事務所の所在地を管轄する都道府県知事に通知することとなっている(施行規則27条1項)。
宅建業者に対する指示処分に違反した場合
指示処分に違反した場合、業務停止処分の対象になる(65条2項3号)。
宅建業者に対する業務停止処分
国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅建業者が一定の事由(業務停止処分事由)に該当する場合においては、その宅建業者に対し、1年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる(65条2項柱書)。
【業務停止処分事由(主なもの)】
① 業務に関し他の法令に違反し、宅建業者として不適当であると認められるとき
② 取引士が、監督処分を受けた場合において、宅建業者の責めに帰すべき理由があるとき
③ 宅建業法又は住宅瑕疵担保履行法の一定の規定に違反したとき
④ 指示処分に違反したとき
⑤ 宅建業に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき
宅建業者に対する業務停止処分を行うことのできる者
業務停止処分は、業務停止処分事由に該当した宅建業者に免許を付与した者(免許権者)がすることができる(65条2項柱書)。
また、業務停止処分事由のうち、一定の事由に該当するときは、都道府県知事は、管轄区域内で業務を行っている他の免許を受けた宅建業者に対しても、業務停止処分をすることができる(65条4項)。
都道府県知事が他の免許を受けた宅建業者に業務停止処分をした場合、遅滞なく、その旨をその宅建業者の免許権者に通知しなければならない(70条3項)。
宅建業者に対する業務停止処分の公告
国土交通大臣又は都道府県知事は、業務停止処分をしたときは、その旨を公告しなければならない(70条1項)。
この公告の方法は、国土交通大臣の処分に係るものにあっては官報により、都道府県知事の処分に係るものにあってはその都道府県の公報又はウェブサイトへの掲載その他の適切な方法により行う(施行規則29条)。
宅建業者に対する業務停止処分に違反した場合
業務停止処分に違反した場合、免許権者は、必ず免許取消処分をすることとなっている(66条1項9号)。
また、罰則として、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金又は両者の併科が科されることがある(79条4号)。
なお、この罰則は、宅建業法上最も重いものとなっている。
宅建業者に対する免許取消処分
「免許取消処分」とは、
免許権者である国土交通大臣又は都道府県知事が、
宅建業者に対し、一定の事由(免許取消事由)に該当する場合においては行う免許を取り消す処分のこと(66条)。
免許取消事由には、
①必要的免許取消事由(該当するときは必ず免許を取り消さなければならないとされている事由、65条1項各号)と、
②任意的免許取消事由(該当するときは、免許を取り消すことができるとされている事由、65条2項)がある。
必要的免許取消事由
【必要的免許取消事由一覧】
① 免許の欠格事由に該当するとき
例・破産手続開始の決定を受けたとき・拘禁刑以上の刑に処せられることとなったとき
② 免許の手続に関し一定の事由に該当するとき
例・免許換えの手続を怠ったとき・廃業等の届出がなく、その事実が判明したとき
③ 免許を受けてから1年以内に事業を開始せず、又は引き続いて1年以上事業を休止したとき
④ 業務停止処分事由に該当し情状が特に重いとき又は業務停止処分に違反したとき
任意的免許取消事由
【任意的免許取消事由一覧】
① 免許に付された条件に違反したとき(66条2項)
② 営業保証金を供託した旨の届出をすべき旨の催告をしたにもかかわらず、宅建業者が1か月以内にその届出をしないとき(25条7項)
③ 宅建業者の事務所の所在地又は宅建業者の所在を確認することができない場合において、公告を行い、その公告の日から30日を経過しても申出がないとき(67条1項)
宅建業者に対する免許取消処分を行うことのできる者
免許取消処分は、免許権者に限りすることができる(25条7項、66条1項柱書・2項、67条1項)。
宅建業者に対する免許取消処分の公告
国土交通大臣又は都道府県知事は、免許取消処分をしたときは、その旨を公告しなければならない(70条1項)。
この公告は、国土交通大臣の処分に係るものにあっては官報により、都道府県知事の処分に係るものにあってはその都道府県の公報又はウェブサイトへの掲載その他の適切な方法により行う(施行規則29条)。
権限の委任
国土交通大臣は、監督処分等の権限の一部を、地方整備局長や北海道開発局長に委任することができる(78条の2第1項、施行規則32条)。
取引士に対する監督処分
取引士に対する指示処分
都道府県知事は、その登録を受けている取引士が一定の事由(指示処分事由)に該当する場合においては、その取引士に対し、必要な指示をすることができる(68条1項)。
【指示処分事由】
① 宅建業者に自己が専任の取引士として従事している事務所以外の事務所の専任の取引士である旨の表示をすることを許し、当該宅建業者がその旨の表示をしたとき
② 他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して取引士である旨の表示をしたとき
③ 取引士として行う事務に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき
取引士に対する指示処分を行うことのできる者
登録都道府県知事と管轄都道府県知事ができる。
指示処分は、指示処分事由に該当した取引士が登録している都道府県の知事により行われる(68条1項柱書)。
また、都道府県知事は、その都道府県の区域内において、他の都道府県知事の登録を受けている取引士が指示処分事由に該当する場合においては、その取引士に対して、必要な指示をすることができる(68条3項)。
なお、国土交通大臣が取引士に対し指示処分をすることはできない。
都道府県知事が他の都道府県知事の登録を受けた取引士に指示処分をした場合、遅滞なく、その旨をその取引士の登録をしている都道府県知事に通知しなければならない(70条4項)。
取引士に対する指示処分に違反した場合
指示処分に違反した場合、事務禁止処分を受けることがある(68条2項)。
取引士に対する事務禁止処分
事務禁止処分とは
都道府県知事は、その登録を受けている取引士が一定の事由(指示処分事由と同じ)に該当する場合又は指示処分に従わない場合(事務禁止処分事由)においては、その取引士に対し、1年以内の期間を定めて、取引士としてすべき事務を行うことを禁止することができる(68条2項)。
取引士に対する事務禁止処分を行うことのできる者
事務禁止処分は、事務禁止処分事由に該当した取引士が登録している都道府県の知事により行われる(68条2項)。
また、都道府県知事は、その都道府県の区域内において、他の都道府県知事の登録を受けている取引士が事務禁止処分事由に該当する場合においては、その取引士に対し、事務禁止処分をすることができる(68条4項)。
なお、国土交通大臣が取引士に対し事務禁止処分をすることはできない。
事務禁止処分をした場合、都道府県知事は、その内容及び年月日を、宅地建物取引士資格登録簿に記載する(施行規則14条の9)。
事務禁止処分を受けた取引士は、すみやかに、取引士証をその交付を受けた都道府県知事に提出しなければならない(22条の2第7項)。*事務禁止処分をした都道府県知事ではない。
取引士に対する事務禁止処分に違反した場合
事務禁止処分に違反した場合、その取引士の登録を行った都道府県知事は、登録の消除処分をしなければならない(68条の2第1項4号)。
取引士に対する登録消除処分
登録消除処分とは
都道府県知事は、その登録を受けている取引士が一定の事由(登録消除処分事由)に該当する場合においては、その登録を消除しなければならない(68条の2第1項柱書)。
登録消除処分事由
① 登録欠格事由に該当することとなったとき
② 不正の手段により取引士の登録を受けたとき
③ 不正の手段により取引士証の交付を受けたとき
④ 指示処分事由に該当し情状が特に重いとき又は事務禁止処分に違反したとき
宅地建物取引士資格登録簿に登録されているが、取引士証の交付を受けていない者に対する登録消除処分
都道府県知事が実施する宅地建物取引士資格試験に合格した者で、その都道府県知事の登録を受け、取引士証の交付を受けた者のこと
取引士の登録を受けている者で取引士証の交付を受けていないものが、一定の事由に該当する場合においては、登録をしている都道府県知事は、その登録を消除しなければなりません(68条の2第2項柱書)。
登録消除処分事由
① 登録欠格事由に該当することとなったとき
② 不正の手段により取引士の登録を受けたとき
③ 取引士としてすべき事務を行い、情状が特に重いとき
登録が消除されたら、受けた宅建士証をすみやかに宅建士証を交付を受けた都道府県知事に返納しなければならない。
返納を怠ると、10万円以下の過料がありうる。
登録消除処分をすることができる者
登録消除処分は、登録消除処分事由に該当した取引士が登録している都道府県の知事により行われる(68条の2第1項柱書、2項柱書)。
なお、国土交通大臣が取引士に対し登録消除処分をすることはできない。
罰則
宅建業者に対する罰則
宅建業法に違反した場合、いかなる場合においても罰則が適用されるわけではなく、宅建業法の規定に違反した場合に適用される罰則があるものと、罰則がないものがあります。
具体的には、以下。
【宅建業者に対する罰則】罰則があるもの
無免許営業
免許申請書・その添付書類に虚偽の記載
宅地建物取引業者名簿の変更の届出
標識の掲示義務違反・案内所等の届出違反
帳簿の備付け義務違反・従業者名簿の備付け義務違反
専任の取引士の設置義務違反
従業者証明書の携帯義務違反
営業保証金の届出をせずに営業を開始した
37条書面の交付
誇大広告等の禁止
秘密を守る義務(守秘義務)※ただし相手方の告訴が必要(83条2項)。
不当な履行遅延の禁止
事実の不告知・不実告知の禁止
手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為の禁止
不当に高額の報酬を要求する行為の禁止
報酬の制限に違反・報酬額の掲示
【宅建業者に対する罰則】罰則がないもの
媒介契約
重要事項の説明(重要事項説明書)
8種制限(他人物売買、クーリングオフ、損害賠償額の予定等の制限、手付の額の制限、担保責任についての特約の制限、手付金等の保全、割賦販売契約の解除等の制限、所有権留保等の禁止)
契約締結の時期に関する規制
取引態様の別の明示
供託所等に関する説明
断定的判断を提供する行為の禁止
威迫行為の禁止
相手方等の利益の保護に欠ける行為の禁止
取引士に対する罰則
取引士に対する罰則は、以下の事由に該当する場合において、10万円以下の過料に処するとされている(86条)。
【取引士に対する罰則】
① 登録が消除されたとき又は取引士証が効力を失ったときにおける取引士証の返納義務違反(22条の2第6項)
② 事務禁止処分を受けたときにおける取引士証の提出義務違反(22条の2第7項)
③ 重要事項の説明の際における取引士証の提示義務違反(35条4項)
両罰規定
宅建業者の従業員等が宅建業法違反となる行為をした場合、その行為者を処罰するだけでなく、雇用主である宅建業者にも罰金刑を科すことがある(84条柱書)。
これを「両罰規定」という。
ただし、秘密を守る義務(守秘義務)違反については、両罰規定は適用されず、行為者である従業員等のみが処罰される(84条2号かっこ書)。