【大学入試】化学《無機物質の総論》重要語句と典型問題まとめ・総チェック

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【大学入試】化学~目次一覧~

第1編 物質の状態
粒子の結合と結晶の構造
物質の状態変化
気体 
溶液 

第2編 物質の変化
化学反応とエネルギー 
電池と電気分解 
化学反応の速さ・化学平衡 

第3編 無機物質 
無機物質(総論) ⇒現在はここのページ
非金属元素
金属元素Ⅰ 典型元素
金属元素Ⅱ 遷移元素

第4編 有機化合物
有機化合物の分類と分析
脂肪族炭化水素
アルコールと関連化合物
芳香族化合物

第5編 高分子化合物
天然高分子化合物
合成高分子化合物

計17章ほど

無機物質《総論》重要語句と典型問題まとめ・総チェック

無機反応と気体の生成

例 硫化鉄(Ⅱ)FeS +希硫酸 H2SO の反応で、どんな気体ができるか?

反応物 ⇒ 生成物(気体)
まず、反応物を見て、何反応かわかること。
今回の例だと、弱酸である硫化水素 H2S の組み合わせが確認できるため,弱酸遊離反応(弱酸は電離しにくい=くっつきやすい)が起こることがわかる。
つまり、生成物は、弱酸である硫化水素H2S が生成。
FeS + H2SO4 → H2S(弱酸:硫化水素) + FeSO4

★無機反応の一覧・まとめ
弱酸遊離反応
酸化還元反応

無機反応(酸化還元反応)

★暗記する形
反応物(酸化剤と還元剤) ⇒ 生成物(気体)
*反応物に金属の単体(還元剤)があったら、酸化還元反応

★酸化還元反応とは
酸化剤と還元剤が反応し、酸化剤は弱い還元剤へ、還元剤は弱い酸化剤へ変化する反応をさす。

【化学基礎】覚えるべき酸化剤と還元剤(暗記一覧)

【化学基礎】覚えるべき酸化剤と還元剤(暗記一覧)

【化学基礎】酸化還元反応(金属の反応性とイオン化傾向の関係)

【化学基礎】酸化還元反応(金属の反応性とイオン化傾向の関係)

酸化還元反応と気体の生成

★水素(金属に酸性の液体をかける、水素イオンよりイオン化傾向大きい金属)
亜鉛+希硫酸→水素H2
Zn+H2SO4 → ZnSO4 +H2
左辺=反応物について
還元剤(電子を放出)は、亜鉛Zn(金属の単体) Zn → Zn2+ + e-
酸化剤(電子を受取)は、水素イオン(イオン化傾向が亜鉛より小さいので電子受け取りやすい) H+ + e- → H2

★塩素Cl2(有毒だから、実験でも発生に注意)
酸化マンガン(Ⅳ)+濃塩酸 → 塩素
MnO2+4HCl → MnCl2+2H2O+Cl2
左辺=反応物について
還元剤(電子を放出)は、酸化マンガン(Ⅳ) MnO2 + 2e- + 4H+ → Mn2+ + 2H2O
酸化剤(電子を受取)は、ハロゲン化物イオン 2Cl- + 2e- → Cl2

★二酸化硫黄SO2
銅+濃硫酸 → 酸化硫黄
Cu+2H2SO4 → CuSO4+SO2+2H2O
左辺=反応物について
還元剤(電子を放出)は、銅(金属の単体) Cu → Cu2+ + e-
酸化剤(電子を受取)は、熱濃硫酸 H2SO4 + 2e- + H+ → SO2 + H2O

★一酸化窒素NO
銅+希硝酸 → 硝酸
3Cu+8HNO3 → 3Cu(NO3)2+2NO+4H2O
左辺=反応物について
還元剤(電子を放出)は、銅(金属の単体) Cu → Cu2+ + e-
酸化剤(電子を受取)は、希硝酸 HNO3 + 3e- +3H+ + → NO + 2H2O

★二酸化窒素NO2
銅+濃硝酸 → 二酸化硝酸
Cu+4HNO3 → Cu(NO3)2+2NO2+2H2O
左辺=反応物について
還元剤(電子を放出)は、銅(金属の単体) Cu → Cu2+ + e-
酸化剤(電子を受取)は、濃硝酸 HNO3 + e- +H+ + → NO2 + H2O

無機反応(弱酸・弱塩基遊離反応)

★暗記する形
反応物(くっつけたら弱酸と弱塩基ができそうなとき) ⇒ 生成物(気体)+弱酸・弱塩基
*左辺の反応物において、数学でいうところの、内項をくっつけると弱酸、外項をくっつけると弱塩基が見えるとき、弱酸・弱塩基遊離反応となる

弱酸と弱塩基の暗記例
硫化水素H2S
炭酸H2CO3 ⇔ H2O + CO2 (化学反応式では多く存在する方で書くので、炭酸は水と二酸化炭素として表記する)
亜硫酸H2SO3 ⇔ H2O + SO2(化学反応式では多く存在する方で書くので、亜硫酸は水と二酸化硫黄として表記する)
アンモニアNH3

*「亜」がつくと酸素を1つとる
硫酸H2SO4 亜硫酸H2SO3
硝酸H2NO3 亜硝酸H2NO2

★弱酸基遊離反応とは
強酸と弱酸由来の塩から、弱酸と強酸由来の塩が生成する反応をさす。
弱酸は電離しにくい(逆に電子とくっつきやすい)ことから、強酸と反応して、強酸から電子を奪い弱酸が生成される。

★弱塩基遊離反応とは
強塩基と弱塩基由来の塩から、弱塩基と強塩基由来の塩が生成する反応をさす。
弱塩基は電離しにくい(逆に電子とくっつきやすい)ことから、強塩基と反応して、強塩基から電子を奪い弱塩基が生成される。

弱酸・弱塩基遊離反応と気体の生成

★二酸化炭素CO2
炭酸カルシウム+希塩酸 → 二酸化炭素CO2
CaCO3+2HCl → CaCl2+H2O+CO2
*左辺の反応物において、数学でいうところの、内項をくっつけると弱酸(炭酸H2CO3 )ができる
*化学反応式では多く存在する方で書くので、炭酸は水と二酸化炭素として表記

★硫化水素H2S
硫化鉄(Ⅱ)+希塩酸 → 硫化水素H2S
FeS+2HCl → FeCl2+H2S
*左辺の反応物において、数学でいうところの、内項をくっつけると弱酸(硫化水素)

★二酸化硫黄SO2
亜硫酸水素ナトリウム+希硫酸 → 二酸化硫黄SO2
2NaHSO3+H2SO4 → Na2SO4+2H2O+2SO2
*左辺の反応物において、数学でいうところの、内項をくっつけると弱酸(亜硫酸H2SO3 )
*化学反応式では多く存在する方で書くので、亜硫酸は水と二酸化硫黄として表記

★アンモニアNH3
塩化アンモニウム+水酸化カルシウム → アンモニアNH3
2NH4Cl+Ca(OH)2 → CaCl2+2NH3+2H2O
*左辺の反応物において、数学でいうところの、外項をくっつけると弱塩基(アンモニア)

無機反応(揮発酸遊離反応)

★揮発性とは
沸点が低く、常温でも蒸発してしまう性質のこと

具体的に暗記すべき「揮発性の酸」
硝酸HNO3(液体)
塩化水素HCl(気体)
フッ化水素HF(気体)

★揮発性の酸遊離反応とは
反応物と濃硫酸で、揮発性の酸(気体・塩化水素、フッ化水素)が生成する反応をさす。

例 2つなので、暗記しましょう。

①塩化ナトリウム+濃硫酸→塩化水素
NaCl+H2SO4→NaHSO4+HCl

②フッ化カルシウム+濃硫酸→フッ化水素
CaF2+H2SO4→CaSO4+2HF

無機反応(分解反応)

分解反応とは
1種類の物質が 2 種類以上に分かれる反応をさす。
※生成物の気体は安定的な物質。
※酸化還元反応でも,1種類の物質が2種類以上に分かれていたら分解反応と分類される。

★酸素
方法①過酸化水素+酸化マンガン(IV)→酸素
2H2O2→2H2O+O2

方法②
塩素酸カリウム+酸化マンガン(IV)→酸素
2KClO3→2KCl+3O2

※触媒としての酸化マンガン(IV)MnO2
塩素の発生以外では、触媒として使われることが多い。

★窒素
亜硝酸アンモニウム→窒素
NH4NO2→N2+2H2O

★一酸化炭素
ギ酸+濃硫酸(触媒)→一酸化炭素
HCOOH→CO+H2O
※濃硫酸は触媒として脱水性を持つ。

加熱が必要な反応

①濃硫酸を使った反応
例 銅+熱濃硫酸(SO2 の製法)

②固体+固体の反応
固体どうしは反応しにくいために、加熱が必要。
例 塩化アンモニウムと水酸化カルシウム(NH3 の製法)

③酸化マンガン(IV)MnO2を触媒ではなく、酸化剤として使う場合(塩素の発生)
例 酸化マンガン(IV)+濃塩酸(Cl2 の製法)

気体の性質

水溶性の気体

★水溶性の気体一覧
アンモニアNH3 ※圧力にかかわらずよく解けるのでヘンリーの法則適用外
塩化水素HCl※圧力にかかわらずよく解けるのでヘンリーの法則適用外
塩素Cl2
二酸化炭素CO2
二酸化窒素NO2
二酸化硫黄SO2
硫化水素H2S

刺激臭のある気体

★刺激臭のある気体
アンモニアNH3
塩化水素HCl
塩素Cl2
二酸化炭素CO2(無臭)
二酸化窒素NO2
二酸化硫黄SO2
硫化水素H2S(腐卵臭)

酸化力と還元力のある気体

★酸化力と還元力のある気体

弱い酸化力 酸素O2

強い酸化力 オゾンO3・二酸化窒素NO2・塩素Cl2
※強い酸化力を持つ気体は、ヨウ化カリウムKIデンプン紙を、青色にさせる。

例 オゾンとヨウ化カリウム
デンプンにヨウ素液を垂らすと青色になるのと同じで、酸化(電子を奪われた)されたヨウ化物イオンI-は、ヨウ素I2となることで、デンプンと反応し青色となる。

還元力ある気体
水素H2 (高温状態で)
一酸化炭素CO(高温状態で)
硫化水素H2S
二酸化硫黄SO2

漂白作用のある気体

漂白作用のある気体
塩素Cl2
二酸化硫黄SO2

有色の気体

有色の気体
塩素Cl2 黄緑色
二酸化窒素NO2 赤褐色
オゾンO3 淡青色

気体の捕集方法

★水溶性の気体
空気(分子量29)より軽いのはアンモニアN H3のみ。上方置換。水に溶けると塩基性。

他は空気より重いので、下方置換。
水に溶けると酸性。
塩化水素HCl
塩素Cl2
二酸化炭素CO2
二酸化窒素NO2
二酸化硫黄SO2
硫化水素H2S

★水に溶けないなら水上置換

水上置換と乾燥剤

★乾燥剤とは
水を吸収することのできる物質のこと。

★乾燥剤の具体例
濃硫酸…酸性
ソーダ石灰(CaO+NaOH) …塩基性
塩化カルシウムCaCl2…中性
など。

水上置換などで、気体を収集したときに、収集した気体は水との混合物になっていることから、目的の気体のみを収集したいので乾燥剤が必要となる

★乾燥剤の選び方まとめ
消去法により選択肢から選ぶ
まず、中和反応を起こさないもの。
次に、中和反応を起こさないが、例外的に酸化還元反応などを起こしてしまうものを除外


① アンモニアNH3
→乾燥剤はソーダ石灰を使う。
中和反応が起こってしまうので、濃硫酸はNG
また、塩化カルシウムは中性で中和反応は起こさないが、アンモニアがCaCl2 に吸着されるため不適


②硫化水素H2S
→乾燥剤は塩化カルシウムを使う
中和反応が起こってしまうので、ソーダ石灰はNG
濃硫酸とは中和は起こさないが、酸化還元反応を起こしてしまうのでNG

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以上で、化学《無機物質(総論)》が終了です。
お疲れ様でした。

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